乳児湿疹の原因は母乳?母親の食事との関係と正しいケア・受診の目安をわかりやすく解説

乳児湿疹の原因は母乳?母親の食事との関係と正しいケア・受診の目安をわかりやすく解説

赤ちゃんの顔やほっぺに赤いブツブツが出てくると、「もしかして私の母乳が原因なのかな」と、思わず自分を責めてしまいそうになりますよね。「食べたものがよくなかったのかも」「母乳をやめたほうがいいのかな」と、不安に感じる親御さんは少なくありません。

この記事では、乳児湿疹と母乳・母親の食事の本当の関係を、公的機関や学会が示す情報をもとに整理します。あわせて、月齢ごとの変化・家庭でできるケア・受診の目安まで、順番にわかりやすく解説します。

読み終えるころには「何が原因で、これからどうすればいいのか」が整理でき、気持ちが少し軽くなるはずです。まずは深呼吸して、お子さんの肌とゆっくり向き合っていきましょう。

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目次

母乳が乳児湿疹の主な原因になるという医学的な根拠は現在のところ示されていない

母乳が乳児湿疹の主な原因になるという医学的な根拠は現在のところ示されていない_まとめ画像

母乳や母親の食事が乳児湿疹の主な原因になるという医学的な根拠は、現在のところ示されていません。

厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドでも、子どもの湿疹などの予防のために、授乳中の母親が特定の食品を避けたり摂りすぎたりすることの効果は示されていない、とされています。

そもそも「乳児湿疹」は、赤ちゃんに出るいろいろな湿疹をまとめた呼び方です。ちょうど母乳やミルクを飲む時期に増えるため、母乳のせいだと感じやすいのですが、これは「時期が重なっているだけ」と考えられています。

赤ちゃんの肌は、生まれてまもない時期にもともと湿疹を起こしやすい状態にあります。母乳がその湿疹を作り出しているわけではない、という点をまず知っておくと、必要以上に自分を責めずにすみます。

そもそも乳児湿疹とは?母乳を飲む時期に増える理由

乳児湿疹は特定のひとつの病気を指す言葉ではなく、赤ちゃんに起こる湿疹全体をまとめた総称です。次のようなものが含まれます。

代表的なものに、皮脂が多くて起こる乳児脂漏性湿疹、乾燥が関わる皮脂欠乏性湿疹、あせも、おむつかぶれ、そしてアトピー性皮膚炎などがあります。脂漏性皮膚炎は、生後まもない赤ちゃんに多いことが知られています。

では、なぜ母乳を飲む時期に湿疹が増えるのでしょうか。理由は、赤ちゃんの肌そのものの特徴にあると考えられています。

生後まもない赤ちゃんは、皮脂の分泌が一時的に多くなったり、肌を守るバリアの働きがまだ未熟だったりします。汗やよだれの刺激も受けやすく、乾燥もしやすい状態です。こうした肌の変化と授乳の時期がちょうど重なるため、「母乳が原因では」と感じやすいのです。

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「母乳が原因」と言われてきた誤解を整理する

母乳と乳児湿疹をめぐっては、昔から言い伝えのようなアドバイスが数多くあります。なかには、今の医学的な考え方とは合わないものも含まれています。

代表的な説を、現在の考え方とあわせて整理してみましょう。

昔から言われてきた説現在の医学的な考え方
脂っこい食事で母乳が詰まって湿疹が出る食べたものが母乳の質を大きく変えるという根拠は乏しいとされています
甘いものを食べると母乳がドロドロになる甘いものや脂で母乳の成分が大きく変わるわけではないと考えられています
湿疹を治すには母乳をやめたほうがよい母乳が原因という根拠はなく、やめる必要はないと考えられています
授乳中は卵や乳製品を控えるべき除去する効果は示されておらず、母親の栄養面からも勧められていません

こうした昔ながらの説は、良かれと思って伝えられてきたものです。ただ、今は研究が進み、母乳や母親の食事を主な原因とは考えないのが一般的になっています。

「知らずに続けていた」としても、自分を責める必要はありません。ここから正しい知識に切り替えていけば大丈夫です。

母乳やミルク・母親の食事が"直接の原因"になりにくい理由

母乳やミルク・母親の食事が直接の原因になりにくい理由_まとめ画像

なぜ、母乳や母親の食事は乳児湿疹の直接の原因になりにくいのでしょうか。いくつかの理由があります。

まず、母乳は血液を原料にして作られます。そのため、食べたものがそのまま母乳の質を大きく左右するわけではない、と考えられています。

次に、授乳中の食物除去についてです。食物アレルギー診療ガイドライン2021では、授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果が否定されているうえに母親の栄養状態に有害であり、勧められないとされています。

日本アレルギー学会も、妊娠中や授乳中にアレルゲンを除去する食事法は、有効でないことが示されていると説明しています。

栄養方法による違いも、はっきりとは確認されていません。母乳・ミルク・混合のいずれかで乳児湿疹になりやすい、なりにくいという明確な差は示されていないのが現状です。「母乳だから安心」「ミルクだから湿疹になる」と決めつける必要はありません。

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母乳が"関係する"数少ないケースを正しく知る

ここまでお読みになって、「では母乳はまったく関係ないの?」と感じた方もいるかもしれません。実は、母乳が「原因」ではなくても、「刺激」として肌に影響することはあります。

大切なのは、「体の中から湿疹を作る原因」と「肌の表面に触れる刺激」を分けて考えることです。

分けて考えるポイント内容と対応の目安
体の中から湿疹を作る原因母乳や母親の食事が主な原因になる根拠は示されていません
肌の表面に触れる刺激母乳・ミルク・よだれの拭き残しがかぶれの一因になることはあります
まれな食物アレルギーの関わり自己判断で食事を除去せず、医師に相談することが勧められます

授乳のあとに母乳やミルクが口のまわりに残ると、それが刺激になって赤みが出ることがあります。防ぐには、こすらずに、ぬれたガーゼでやさしく押さえるように拭くとよいでしょう。あらかじめ口のまわりに保湿剤を薄く塗って肌を守る方法もあります。

まれに、食物アレルギーが湿疹に関わっているケースもあります。ただし見分けは難しいため、気になるときは自己判断で食事を制限せず、医師に相談してください。

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月齢別に見る乳児湿疹の変化と母乳の関わり

乳児湿疹は、月齢によって出やすいタイプが少しずつ変わっていきます。時期ごとの特徴を知っておくと、必要以上に慌てずにすみます。

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時期の目安出やすい湿疹と特徴ケアの目安
生後2週〜1か月ごろ赤いブツブツ(新生児のニキビなど)が頬やおでこに出やすいやさしく洗って清潔を保つ
〜生後3か月ごろ皮脂が多く、黄色いかさぶたやフケ状の乳児脂漏性湿疹が出やすいよく泡立てて洗い、こすらず流す
生後3か月ごろ〜皮脂が減り、乾燥による湿疹(皮脂欠乏性湿疹)が増えやすい保湿を中心にケアする
離乳食が始まる時期よだれや食べこぼしの刺激で口のまわりが荒れやすい食後は押さえ拭きして保湿する

生後まもない時期の皮脂が多い状態は、母親から受け継いだホルモンの影響とされることがあります。これも母乳が作り出すものではなく、赤ちゃんの体の自然な変化のひとつです。

多くの乳児湿疹は、皮脂の分泌が落ち着く生後数か月ごろから、少しずつよくなっていくことが多いです。ただし個人差があり、乾燥しやすい時期に繰り返すこともあります。

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原因さがしより大切なのは"肌を整えるケア"|スキンケアとアレルギーの関係

母乳を疑って原因をさがすよりも、今の医学で大切とされているのは「肌を整えること」です。ここには、近年わかってきた考え方が関わっています。

たとえば保湿については、以前は新生児のころからの保湿がアトピー性皮膚炎の発症を抑えたとする研究報告もありました。ただし、その後の大規模な研究では発症を予防する効果は確認されず、現在は「保湿で発症そのものを防げる」とまでは言えないと考えられています。一方で、いったんできた湿疹の悪化を防ぎ、肌の調子を整えるうえで、日々の保湿が大切であることは変わりません。

さらに近年は、湿疹で荒れた肌から食べ物などの成分が入り込み、アレルギーの反応が起こりやすくなる「経皮感作(けいひかんさ)」という考え方が注目されています。経皮感作の仕組みについては、国立成育医療研究センターが解説しています。

つまり、荒れた肌を整えておくことは、湿疹そのもののケアとしてだけでなく、アレルギーとの関わりという点でも大切だと考えられています。ただし、スキンケアだけでアレルギーを確実に防げるわけではありません。「母乳のせい?」と原因をさがすよりも、「肌をどう守るか」に目を向けるほうが、今は役立つ考え方といえます。

食べ始めの時期についても知っておきたいことがあります。医師の管理のもとで、生後6か月ごろから少量の加熱した卵を始めることで、鶏卵アレルギーの発症を減らせたとする研究報告があります(日本小児アレルギー学会の提言などによる)。

ただし、これは湿疹をしっかり治療したうえで、医師の管理のもとで行うことが前提です。アレルギーが心配だからと、自己判断で特定の食べ物を早く与えたり、逆に避けたりするのは勧められません。

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家庭でできる乳児湿疹の基本ケア

乳児湿疹のケアは、「清潔」と「保湿」が基本になります。むずかしいことはなく、毎日の積み重ねが大切です。

  • よく泡立てた低刺激の洗浄料で、指の腹を使ってやさしく洗う
  • ぬるめのお湯で、洗い残しがないように流す
  • お風呂上がりはできるだけ早く、保湿剤をたっぷり塗る
  • 汗やよだれ、母乳の付着は、こすらずに押さえるように拭く

反対に、良かれと思ってやりがちでも、避けたほうがよいこともあります。

避けたいこと避けたほうがよい理由
ゴシゴシ強くこすって洗う肌のバリアを傷つけ、かえって湿疹が悪化することがあります
かさぶたを無理にはがす肌を傷つけ、雑菌が入る一因になることがあります
自己判断で薬を中止する医師の指示なく中断すると、悪化することがあります

保湿剤やステロイド外用薬などの薬は、医師の処方や指示のもとで適切に使えば、重い副作用が生じることはほとんどないとされています。ただし、自己判断で量を加減したり中止したりせず、副作用や使い方で気になることは医師や薬剤師に相談してください。

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こんなときは受診を。様子見の目安と急いで相談したいサイン

乳児湿疹の多くは家庭でのケアで落ち着いていきますが、受診したほうがよい場合もあります。目安を整理しました。

様子の目安対応の目安
軽い赤みやカサつきで、機嫌よく過ごせている清潔と保湿を続けながら、様子を見てよいことが多いです
ケアしても治らない・繰り返す・かゆがる早めに小児科や皮膚科で相談すると安心です
広がって眠れない・ぐったりしている・水ぶくれや膿・発熱を伴う感染などの可能性もあるため、早めに受診してください

かき壊したところから雑菌が入って、とびひなどにつながることもあります。じゅくじゅくしている、膿が出ている、急に悪化したといったときは、日数にかかわらず早めに相談してください。

なお、乳児湿疹が出ていても、母乳を続けて問題ないと考えられています。湿疹を理由に、あわてて授乳をやめる必要はありません。判断に迷うときは、続けながら医師に相談していきましょう。

よくある質問(FAQ)

母乳をやめれば乳児湿疹は治りますか?

母乳が乳児湿疹の主な原因という根拠は示されていないため、湿疹を理由に母乳をやめる必要はないと考えられています。多くの乳児湿疹は、肌を清潔に保って保湿するケアで落ち着いていきます。授乳を続けながらできることがたくさんありますので、自己判断で断乳する前に、気になるときは医師に相談してみてください。

授乳中は卵や乳製品を控えたほうがいいですか?

授乳中の母親が特定の食べ物を避けても、赤ちゃんの湿疹やアレルギーを防ぐ効果は示されていません。むしろ、極端な食事制限は母親自身の栄養バランスをくずすおそれがあるため、勧められていません。バランスのよい食事を心がけることが大切とされています。心配なときは、自己判断で除去せず医師に相談してください。

母乳とミルクで乳児湿疹のなりやすさに違いはありますか?

母乳・ミルク・混合のいずれかで乳児湿疹になりやすい、なりにくいという差は、はっきりとは確認されていません。「母乳だから安心」「ミルクだから湿疹が出る」と考える必要はないとされています。どの栄養方法でも、肌を清潔に保って保湿するケアが基本になります。

甘いものや脂っこいものを食べると、母乳が原因で湿疹が出ますか?

母乳は血液を原料に作られるため、食べたものがそのまま母乳の質を大きく変えるわけではないと考えられています。「甘いものでおっぱいがドロドロになる」「脂っこい食事で母乳が詰まる」といった説には、医学的な根拠は乏しいとされています。食べたものが湿疹の原因になると、心配しすぎる必要はありません。

乳児湿疹はいつまで続きますか?

多くの乳児湿疹は、皮脂の分泌が落ち着く生後数か月ごろから、少しずつよくなっていくことが多いです。ただし個人差があり、乾燥しやすい時期に繰り返すこともあります。長く続いたり、なかなか治らなかったりする場合は、アトピー性皮膚炎などの可能性もあるため、一度受診して相談すると安心です。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎はどう違いますか?

乳児湿疹は赤ちゃんの湿疹全体をまとめた呼び方で、アトピー性皮膚炎もそのひとつに含まれます。かゆみのある湿疹が、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら長く続く場合に、アトピー性皮膚炎と診断されることがあります。見分けが難しいことも多いため、気になるときは医師に相談してください。

保湿をすれば食物アレルギーは予防できますか?

新生児のころからの保湿については、アトピー性皮膚炎の発症を抑えたとする研究報告がある一方、その後の大規模な研究では予防効果が確認されず、見解はまだ定まっていません。また、保湿だけで食物アレルギーを確実に防げるとまではわかっていません。それでも、肌を整えておくことは湿疹の悪化を防ぐうえで大切と考えられています。アレルギーが心配なときは、自己判断でケアを進めず、医師に相談しながら進めていきましょう。

【まとめ】乳児湿疹の主な原因は母乳ではなく、毎日の肌のケアが大切です

乳児湿疹の主な原因は、母乳や母親の食事ではないと考えられています。授乳中の食事を気にしすぎたり、自分を責めたりするより、肌を清潔に保って保湿するケアに目を向けることが、今の医学で大切とされている考え方です。

この記事のまとめ
  • 乳児湿疹の主な原因は母乳や母親の食事ではないと考えられている
  • 授乳中の食事制限や断乳で湿疹を防いだり治したりする効果は示されていない
  • 母乳やミルクの拭き残しが肌への刺激になることはあるため押さえ拭きで防ぐ
  • 原因さがしよりも、清潔と保湿で肌を整える毎日のケアが大切
  • ケアしても治らない・繰り返す・ぐったりしているときは早めに受診する

赤ちゃんの湿疹は、親御さんのせいではありません。正しい知識をもとに、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。

夜間や休日など、すぐに病院へ行く時間がないときや、受診すべきか迷うときは、ご自宅からスマートフォンで医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」を活用するのも選択肢のひとつです。