インフルエンザには、法律で決められた「出席停止期間」というルールがあります。
この隔離期間は数え方が少し特殊で、間違えてしまうと周囲に感染を広げてしまう可能性も。
特に幼児では小学生以上の場合と解熱後の隔離期間の数え方が異なるため注意が必要です。
隔離期間には子どもの症状の変化に注意しつつ、自宅でしっかり体を休められるようにケアしていきましょう。

小児科専門医六郷 由佳
2012年福島県立医科大学卒業後、小児科専門医として先天性心疾患を専門に診療。現在はオンライン診療と都内小児科クリニックに勤務。
なぜ隔離期間がある?感染力の強いインフルエンザの基礎知識
インフルエンザの隔離期間は、学校保健安全法という法律で基準が定められています。
基本的には「発症した後の期間」と「解熱した後の期間」の2つの条件をクリアする必要があります。
熱が下がっても体の中にはまだウイルスが残っている可能性があるからです。
熱が下がって元気そうに見えても、数日間は周囲の人にうつしてしまうリスクが考えられます。
インフルエンザは一般的な風邪より症状が強い傾向がある
インフルエンザには一般的な風邪とは異なる特徴があります。
- 発熱、頭痛、悪寒、関節痛や筋肉痛などの症状が突然出る
- 気管支炎、肺炎、中耳炎などをおこし重症化しやすい
- 例年秋口から流行が広まる
一般的な風邪よりも全身症状が強くあらわれ、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人などは重症化のリスクがあります。
ウイルスの増殖するスピードが速く流行しやすい
インフルエンザは増殖するスピードが速く、体内に入った1個のウイルスが24時間で100万個に増えるとも言われています。
乾燥と低温を好むウイルスで、冬に感染者の体の外に出ても死滅しにくいのも特徴です。
毎年変異を繰り返すため、一度かかっても免疫ができにくいことも流行しやすい理由となっています。
特に園や学校などの集団生活において、爆発的な流行に注意が必要です。
インフルエンザの隔離期間の正しい数え方
インフルエンザのルールでは、症状が出た当日を「0日目」としてカウントします。
翌日が1日目となるため、たとえば月曜日に熱が出た場合は、火曜日が1日目、土曜日が5日目という数え方が基本です。
「発症した後5日を経過する」とは、最短でも発症日を含めて6日間は隔離期間となることを意味します。
この数え方を勘違いしていると、登園や登校のタイミングを間違えてしまうこともあるので注意しましょう。
年齢によって異なるインフルエンザ隔離期間の目安
インフルエンザの隔離期間は、子どもの年齢や通っている場所によって異なります。
特に乳幼児はウイルスを排出する期間が長いため、解熱後の期間が1日長く設定されていることに注意してください。
| 対象 | 発症後の期間 | 解熱後の期間 |
|---|---|---|
| 幼児(保育園・幼稚園) | 5日間経過していること | 3日間経過していること |
| 小学生・中学生・高校生 | 5日間経過していること | 2日間経過していること |
| 大人(社会人の目安) | 5日間経過していること | 2日間経過していること |
※最終的な判断は医師や所属組織の規定に従ってください。
学校保健安全法の基準に準じ、社会人の場合も上記の表が目安とされることが多いですが、勤務先の規定や医師の指示に従うようにしましょう。
解熱後に熱が上がった場合のインフルエンザ隔離期間の数え方
インフルエンザでは、一度熱が下がったあとに再び上がる「二峰性発熱」が見られることがあります。
この場合、再度熱が下がったタイミングから、改めて「解熱後〇日」を数え直しましょう。
一度下がったからといって最初の解熱日を基準にしてしまうと、感染を広げる可能性が高まります。
熱が上がったり下がったりして判断が難しいときは、かかりつけの医師に相談してみましょう。
隔離期間中の家での過ごし方
隔離期間中は子どもを家で看病することになります。
インフルエンザは全身症状が強いため、体を回復させるためにもしっかり睡眠とこまめに水分をとらせてあげてください。
自宅療養中のケアのポイント
隔離期間中は子どもがしっかり体を休められるように、環境を整えてあげましょう。
- こまめに水分補給をする
- 食欲がなければ無理に食べさせなくてよい
- 部屋を暖かくして加湿を心がける
- 薬は指示されたタイミングで服用させる
抗インフルエンザ薬を使い切る前に症状が治まっても、自己判断で中断せず指示された通りに服用させるようにしてください。
異常行動での事故を防ぐためにできること
インフルエンザでは、飛び降りなどの異常行動を起こすことがあります。
以前は抗インフルエンザ薬と関連があるとも言われていましたが、服用の有無や種類に関わらず異常行動が報告されているため注意が必要です。
- 発熱から少なくとも2日間は注意しておく
- 玄関やすべての部屋の窓を施錠する
- 格子窓がある部屋があれば、そこで寝かせる
- 戸建ての場合はできる限り1階で寝かせる
異常行動の発現は小学生以上の未成年で発熱から2日間以内に多いとされています。
事故を防ぐため、家庭内での隔離部屋を選ぶ際には参考にしてください。
早く受診したほうが良い子どもの症状
隔離期間で自宅での療養中でも、次のような症状がみられる場合は速やかな医療機関への受診を検討してください。
- 嘔吐や下痢があるが水分を摂れない
- 呼吸が苦しそうで肩で息をしている
- 意識がはっきりせず呼びかけへの反応が悪い
- けいれんが起きている、または起きた直後
受診するべきか判断を迷った場合は小児救急電話相談(#8000)も利用するとよいでしょう。
家庭内でインフルエンザの感染を広げないための工夫
家族の誰かがインフルエンザになったとき、家庭内での二次感染はできるだけ避けたいものです。
完全に感染を予防するのは難しいですが、リスクを減らすために意識しておくとよいことがあります。
- 看病する人を一人に決めて他の家族との接触機会を減らす
- 定期的に窓を開けて部屋の空気を入れ替る
- ドアノブやスイッチなど手が触れる場所をアルコールで拭く
- タオルや食器などの共用を避けて別々に洗う
加湿器などを使って湿度を50〜60%に保つことも、喉の健康の維持に役立ちます。
親御さんも無理をせず、こまめな手洗いやうがいを徹底してご自身の体調管理にも気を配りましょう。
家庭内で感染が広がっても自分を責めないで
インフルエンザは非常に感染力の高いウイルスなので、いくら気を付けていても感染が広がってしまうことはあります。
ご自身や他の家族が感染してしまったとしても、「対策が十分ではなかった」と自分を責めることのないようにしてください。
許可証は必要?登園・登校のルールは事前に確認を
隔離期間が終わって学校や園に戻るとき、「登園許可証」や「治癒証明書」などの医師が記入する書類の提出を求められることがあります。
最近は小学生以上では保護者が記入する「登校届」で済む場合も多いです。
厚生労働省のHPにも「児童生徒等が学校に復帰する際に治癒証明書や陰性証明書の提出は不要」と明記されています。
ただし、特に保育園や幼稚園では登園許可証が必要となる場合もまだ多いため、事前に通っている園や所属先のルールを確認しておきましょう。
隔離期間中の受診にはオンライン診療も選択肢となる
隔離期間中にはスマートフォンで自宅から受診できるオンライン診療も選択肢の一つとなります。
「上の子も感染したかも?」「いつから登園できるか相談したい」という場合などに使いやすい方法です。
ただし、オンライン診療では直接の検査ができないため、対面での診察が必要と判断される場合もあります。
子どもの症状に合わせて、上手に使い分けましょう。
インフルエンザ隔離期間に関するよくある質問
- 熱が下がって本人が元気なら、数日早く登園してもいいですか?
-
たとえ本人が元気でも、体内にウイルスが残っている可能性があるため、感染を広げてしまうことになりかねません。
法律で定められた出席停止期間の基準を参考に、自宅で療養することが推奨されます。
登園できるタイミングの判断が難しい場合には、医療機関に相談するとよいでしょう。
- 子どもの隔離期間中に大人が仕事へ行くのは問題ありませんか?
-
同居家族が感染していても、ご自身に症状がなければ一般的には出勤は可能となります。
潜伏期間の可能性があるため、マスク着用や検温など慎重に様子を見てください。
ただし、職場で独自のルールが決められている場合もありますので、事前に確認しておくようにしましょう。
- 隔離期間中に子どもを連れて買い物に行っていいですか?
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ウイルスを広げてしまわないためにも、病院を受診する以外の外出はできるだけ控えることが推奨されています。
「隔離期間」は登園・登校だけを制限するためのルールではありません。
ネットスーパーや宅配サービスなどを上手に利用するとよいでしょう。
- お風呂はいつから入っても大丈夫でしょうか?
-
高熱でぐったりしている時には体力を消耗するため避けたほうがよいでしょう。
発熱が多少あっても本人が元気であれば、短時間の入浴は問題ないと考えられます。
入浴後はしっかり水分を補給するよう心がけてください。
まだ入浴できるか心配な場合には、温かい部屋で蒸しタオルで体を拭くなどの方法もあります。
- 出席停止期間を数えるとき、土日も日数に含まれますか?
-
土曜日や日曜日も日数としてカウントします。
曜日や祝日などは考慮せず、発症した日を0日目として数えてください。
インフルエンザの隔離期間は発症後5日かつ解熱後2〜3日が経過するまで!オンライン診療も活用して
インフルエンザの隔離期間を正しく守ることは、子どもの体力を回復させ、周囲への感染を防ぐためにとても重要です。
隔離期間中はご自身や他の家族への感染予防をしつつ、落ち着いて子どもの様子を見守りましょう。
- 発症日を0日目として5日間が経過するまで自宅で安静に
- 解熱後も幼児は3日間、小学生以上は2日間が経過するまで待つ
- 最終的な復帰判断は園や学校のルールを必ず確認
- 隔離期間は体力の回復を最優先に様子を見守る
- 隔離期間を過ぎても本人の体調が戻らない、食事が摂れないなどの場合には、体調が戻るまではお休みをしましょう
もし数え方や子どもの体調のことで不安があれば、医療機関へ相談して適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
選択肢の一つとして小児科オンライン診療あんよの活用も検討してみてください。


小児科専門医
六郷 由佳
インフルエンザの隔離期間は、感染を蔓延させないためにも一人一人がしっかり守るようにしましょう。