「子どもがインフルエンザかもしれないけれど、まだ家で様子を見たい」と考える保護者の方は多いです。
特に夜間や休日、あるいは下の子がいる場合などは、外出させること自体が大きな負担になります。
しかしインフルエンザで受診しないと、単に熱が長引くだけでなく、思わぬ合併症を招く可能性も否定できません。
子どものインフルエンザで病院に行かないリスクを理解し、適切なタイミングで受診するようにしましょう。
インフルエンザで病院に行かないとどうなるのか?考えられるリスク
インフルエンザで病院に行かない場合には、リスクが多く存在することを知っておく必要があります。
特に子どもは健康な大人と比較して重症化する可能性も高くなるため、適切なタイミングでの受診を検討してください。
重症化や合併症のリスクが上がる可能性がある
インフルエンザは、普通の風邪よりも全身症状が強く出るのが特徴です。
特に5歳未満の子どもは、インフルエンザ脳症や肺炎といった命に関わる合併症を急激に発症することがあります。
- 脳症などの脳機能障害
- クループ症候群、気管支炎、肺炎
- 熱性けいれん
- 中耳炎
- 脱水症
- 心臓病や喘息などの悪化
病院を受診して抗ウイルス薬を使用することで、より深刻な合併症を軽減する可能性もあると考えられています。
医師の診断を受けないことで、重篤な状態への変化の兆候に気づくのが遅れてしまうこともあるでしょう。
抗ウイルス薬を使用しない場合の症状の持続期間が長くなりやすい
抗インフルエンザ薬を使用しない場合、使用した際と比較して発熱期間が長くなる傾向があると言われています。
実際に、海外の研究では抗インフルエンザ薬の一つであるオセルタミビル(タミフル®)の使用で罹患期間が36時間(中央値)短くなったとの報告も。
病院に行かないことで症状が長引くと子どもの体力を消耗させるだけでなく、看病する保護者の負担も増えることが考えられます。
家族や周囲の人に感染を広げるリスクが高まる
病院に行かないで適切な治療を受けることがない場合、体内のウイルス量が多い状態が続く傾向にあります。
その結果、看病をしている家族や、兄弟姉妹にウイルスをうつしてしまう可能性も。
早期の診断と治療は、周囲への二次感染を最小限に抑えるための大切なステップと考えられます。
医師による明確な指示をもらえず出席停止期間の判断を誤ることも
インフルエンザは園児と小学生以上で出席停止の期間が異なります。
医師による診断、指示を受けていないと、いつから登園・登校ができるのか判断があいまいになりやすいです。
他に感染を広げることにつながってしまう可能性も考えられます。
受診する場合と病院に行かない場合の比較表
子どものインフルエンザを病院に行かないことによるリスクについて、受診する場合と比較して見てみましょう。
| 項目 | 医療機関を受診する場合 | 自宅で様子を見る場合 |
|---|---|---|
| 発熱期間 | 薬により短縮が期待される | 長引く傾向があり体力を消耗 |
| 合併症のリスク | 早期発見と適切な対応が可能 | 脳症などの変化に気づきにくい |
| 登校・登園 | 医師による明確な基準がわかる | 判断がしにくく感染を広げる恐れ |
病院に行かない選択をすることで、さまざまなリスクが存在します。
健康な大人では病院に行かないで自然治癒することもありますが、特に年齢の低い乳幼児の場合は適切なタイミングで受診することを検討しましょう。
インフルエンザで病院に行くタイミング
周りでの流行や急な発熱や関節痛など、インフルエンザを疑う条件がそろっていても、病院に行くタイミングが早すぎると正確な検査結果が出ないこともあります。
せっかく病院に連れて行ったのに「明日もう一度来て」と言われるケースも珍しくありません。
インフルエンザの検査は、発症 12 時間以降 48 時間以内の施行が最適と考えられるという研究結果も出ているので、参考にすると良いでしょう。
検査可能なタイミングや受診方法を病院に確認しておくとよい
現在は、発熱があるときは受診前に電話連絡が必要な医療機関も増えています。
いきなり受付に子どもを連れて病院に行かないほうがよい場合もあるでしょう。
特にインフルエンザの可能性がある場合には、他の患者への感染を防ぐために入口を別にするなどの対処法をとっているところも。
事前に検査可能なタイミングと併せて受診方法を確認しておくとスムーズです。
発症から48時間以上経過した場合も早めの受診を
抗ウイルス薬は発症後48時間以内の使用が原則とされていますが、特に子どもの場合重症化のリスクもあり、過ぎていても処方されることもあります。
中耳炎や気管支炎などへの重症化が起こっていないかの確認もでき、鼻水や咳などの症状を抑える薬が処方される場合もあるでしょう。
少しでも子どもの症状を和らげるために、48時間を過ぎていても早めに受診することをおすすめします。
まだ早いかも?病院に行かないで自宅で様子を見る際の判断基準
「熱が出始めたばかりだから今日は様子を見よう」と決めた場合でも、お子さんの状態を慎重に観察することが求められます。
子どもの様子がいつもと違うときはすぐに受診を
インフルエンザのときは高熱が出ますが、熱の高さそのものよりも「全身の状態」に注目してください。
以下のような症状が見られる場合は、迷わず医療機関への相談や受診を検討してください。
- 意識がはっきりせず呼びかけへの反応が悪い
- 何度も繰り返し吐いてしまい水分が全く摂れない
- 呼吸が苦しそうで肩で息をしている
- けいれんが起きている、または起きた直後である
- 意味不明な言動や異常な行動が見られる
判断に迷う場合は子ども医療電話相談(#8000)も利用するとよいでしょう。
自宅で様子を見る際のケアのポイント
自宅で様子を見る場合は、少しでも子どもの体力を温存し、空気中のウイルスの増殖を防げるようなケアを心がけるとよいでしょう。
- こまめに水分を補給する
- 室温を20℃以上、湿度を50%程度に保つ
- 気持ち良いようならおでこや顔を冷やす
- タオルなどの共用は避ける
- 発熱や症状の経緯をメモしておく
家庭内で感染が広がる可能性があるため、手洗いうがいを行い、親御さんもこまめに体をやすめるようにしてください。
病院で処方される薬の種類
医療機関を受診すると、抗インフルエンザ薬だけでなく子どもの症状に合わせた薬が処方されることもあります。
処方薬を適切に使用することでつらい症状を緩和し、体が回復しやすい環境を整えることが期待できるでしょう。
抗インフルエンザ薬
インフルエンザの治療にはウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬が使用されます。
現在、小児科で抗インフルエンザ薬として選択されているのは次の5種類です。
- オセルタミビル(タミフル®)
- ザナミビル(リレンザ®)
- ラニナミビル(イナビル®)
- ペラミビル(ラピアクタ®)
- バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ®)
※抗インフルエンザ薬には、吐き気や下痢などの副作用、また稀に異常行動のリスクも報告されています。医師から説明を受け、服用後は保護者の方がお子さんの様子を注意深く見守るようにしてください。
一般的に12歳以下の子供にはオセルタミビルが処方されるケースが多いですが、最終的な選択は医師が症状や年齢を見て判断します。
6歳以上で吸入が可能な場合にはザナミビルやラニナミビルも使われます。
鼻水や咳など症状に合わせた薬
病院では、鼻水や咳など子どもの症状を抑える効果が期待できる薬を処方されることがあります。
鼻水にはポララミンなどの抗ヒスタミン薬、咳や痰にはメジコンやムコダインなどの薬が使われることが多いです。
自己判断で市販薬を使うことがないようにし、医師の指示に従って薬を飲ませるようにしてください。
解熱鎮痛剤
インフルエンザの解熱鎮痛剤にはアセトアミノフェン(カロナールなど)がよいとされています。
むやみに熱を下げるのも良くないという指摘もありますが、子どもの安眠を促す効果が期待できる場合もあります。
インフルエンザの症状である頭痛や関節痛などを和らげる効果も期待できるでしょう。
服用のタイミングは医師に相談し指示を受けるようにしてください。
インフルエンザを病院に行かないで治す場合の注意点
インフルエンザは自然治癒することもありますが、悪化しやすいため受診したほうが良い人もいます。
また、自己判断での服薬はリスクが大きいため、注意が必要です。
病院で診てもらったほうが良い人の条件
インフルエンザで重症化する可能性がある人の条件に当てはまる場合は、医師の診断を受けるようにしてください。
- 乳幼児
- 妊娠中・妊娠の疑いがある女性
- 高齢者
- 呼吸器・心疾患など基礎疾患がある人
- ステロイド内服などによる免疫機能不全のある人
家庭内に上記に当てはまる人がいる場合にも、感染を広げないために受診を検討しましょう。
自宅にある市販薬を自己判断で使うのは避けて
病院に行かないからといって、家に残っている解熱剤を安易に使うのは危険です。
インフルエンザには特定の解熱剤成分(アスピリンなど)が原因で「ライ症候群」という重篤な脳症を引き起こすリスクがあるためです。
ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸などの他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)についても、インフルエンザへの使用は禁忌とされています。
必ず医師の判断のもと、安全性が確認された薬を使用することが大切です。
学校や保育園を休む期間と出席停止のルール
インフルエンザには、法律で定められた出席停止期間があります。
診断を受けない場合の登校判断は慎重に行う必要がある
学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」が出席停止の基準です。
病院を受診して「診断」を受けていないと、この期間の起算日が曖昧になり、結果的に周囲への感染源となってしまう可能性があります。
病院に行けない時の選択肢となるオンライン診療
「病院に行かないリスクは分かったけれど、どうしても連れて行けない」という方には、オンライン診療という選択肢があります。
自宅にいながら医師の診察が受けられるメリット
オンライン診療なら、体調の悪い状態の子どもを外に連れ出す必要がありません。
ビデオ通話を通じて小児科医がお子さんの状態を確認し、必要に応じてお薬を処方する場合もあります。
- 自宅にいながら専門医の診察を受ける
- 院内感染や二次感染のリスクを軽減する
- 処方箋を近くの薬局に送信してもらう
- 適切な療養期間のアドバイスをもらう
検査が陰性であっても、周囲の流行状況や症状の経過から医師が必要と判断した場合には、診断および適切な治療(処方を含む)が行われることがあります。
インフルエンザの治療と受診に関するよくある質問
- 検査キットで陰性なら病院に行かなくて良いですか?
-
検査キットでは、偽陰性(感染していても陰性と出てしまうこと)となることがあります。
特に唾液を用いて検査すると、含まれるウイルスの数が少なく陰性と出てしまうことも。
また検査のタイミングが早く正確に結果が出ていない可能性も考えられます。
陰性であっても症状が強い場合は、医師の診察を受けることを検討してください。
- 解熱剤を使えば自然に治りますか?
-
解熱剤は一時的に熱を下げるもので、ウイルスそのものを退治する薬ではありません。
根本的な治療には、体の免疫力や、必要に応じた抗ウイルス薬の使用が検討されます。
インフルエンザでの熱には使ってはいけないものもあるため、解熱剤を使用する際は必ず専門家の指示に従ってください。
- オンライン診療でもインフルエンザの診断はできますか?
-
対面診療と同様に、医師が問診や周囲の流行状況を総合的に判断します。
医学的に必要と認められた場合には、検査結果を待たずに治療を開始することもありますが、まずは医師がお子さんの状態を詳しく確認していきます。
休日や夜間、他にも子どもがいる場合など病院に行くのが難しいときに、選択肢の一つとして検討してみてください。
子どものインフルエンザで病院に行かない場合のリスクを知っておこう!オンライン診療の活用も検討を
子どものインフルエンザで病院に行かない場合には、リスクがいくつもあると考えられます。
- インフルエンザで受診しないと合併症や重症化を見逃すリスクがある
- 病院に行かないと症状が長引きやすく二次感染のリスクが上がる
- 受診のタイミングは発症から12~48時間が適切
- 自己判断での薬の使用は避け必ず医師の指示を受ける
子どものインフルエンザは重症化のリスクもあるため、適切なタイミングで専門家へ相談することが安心につながります。
休日、夜間や子どもを連れての外出が大変な場合は、自宅から医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」をぜひ活用してみてください。

