小さなお子さんが咳き込んで苦しそうにしている姿を見ると、親としてはとても心配になりますよね。
特に咳が何週間も続くときは「ただの風邪じゃないのかも…」と不安になるものです。
今回は、長引く咳の原因のひとつである「子どもの百日咳」について、症状の見分け方から家庭でのケア、予防接種まで、わかりやすく解説します。
百日咳ってどんな病気?具体的な症状や特徴を紹介
百日咳は、百日咳菌という細菌が原因で起こる感染症で、2018年1月から感染症法に基づく5類感染症全数把握疾患に指定されています。

名前の通り咳が長く続き、ひどい場合は100日近く症状が続くこともあります。
咳やくしゃみで広がるため、家族の中で一人がかかると他の人にもうつりやすいのが特徴です。
特に生後6か月未満の赤ちゃんは、呼吸が止まったり重症化したりする危険があるため、咳が2週間以上続く場合は小児科の受診を検討しましょう。
百日咳の特徴的な症状の見分け方について
百日咳には、ほかの咳の病気とは異なる独特の症状があります。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 長引く咳 | ・風邪のような咳から始まり、1〜2週間経っても治まらない ・咳の強さが次第に増していく ・夜間に悪化し、親子ともに眠れないことがある |
| ヒューという音を立てて息を吸う | ・激しい咳込みの直後、深く吸うと「ヒュー/ヒューヒュー」と鳴る ・笛のような高い音・百日咳の代表的サイン |
| 吐いてしまうほどの咳込み | ・強い咳込みの後に嘔吐することがある ・食後の咳で食べた物を戻すことがある ・体力を消耗しやすく、栄養不足につながる恐れ |
ただし、これらの症状がすべて揃うとは限りません。
特に赤ちゃんや予防接種を受けている子どもでは、症状が軽く出ることもあるため注意が必要です。
年齢によって百日咳の症状は異なる?
百日咳は年齢によって症状の出方が異なります。
お子さんの年齢に合わせて、どんな症状に注意すればよいかを知っておきましょう。
生後0〜6か月の赤ちゃんの場合
この月齢の赤ちゃんは最も注意が必要です。典型的な「ヒュー」という音がしないこともあり、代わりに次のような症状が見られます。
- 呼吸が止まる(無呼吸発作)
- 顔色が悪くなる、唇が紫色になる
- けいれんを起こす
- ミルクや母乳が飲めなくなる
- ぐったりして元気がない
赤ちゃんは免疫力が未熟なため、重症化しやすく、入院が必要になることも多いです。咳がそれほどひどくなくても、呼吸の様子がおかしい、元気がないと感じたら、すぐに小児科を受診することをおすすめします。
1〜5歳の幼児の場合
幼児期になると、典型的な百日咳の症状が出やすくなります。
- コンコンと連続して咳き込む
- 咳き込んだ後に「ヒュー」と音を立てて息を吸う
- 咳で吐いてしまう
- 夜中に咳がひどくなり、眠れない
- 咳のしすぎで目が充血する
この年齢では予防接種を受けていることが多いため、症状が軽めに出ることもあります。それでも咳が2週間以上続く場合は、百日咳の可能性を考えて医療機関に相談することをおすすめします。
小学生・中高生・大人の場合
年齢が上がると、症状はさらに軽くなる傾向があります。
- 長引く乾いた咳
- 「ヒュー」という音はあまり聞かれない
- ただの風邪や気管支炎と間違えやすい
- 咳以外の症状(発熱など)はほとんどない
大人や年長児の場合、本人は「ちょっとしつこい咳だな」程度にしか感じていないことも多いのですが、この状態でも周囲にうつす力は十分にあります。
特に家族に赤ちゃんがいる場合は注意が必要です。
百日咳の感染サインの見極め方法は?小児科への受診判断と具体的な検査内容を解説
百日咳が疑われるときでも、特に以下のような症状が見られたら、速やかな医療機関の受診をお勧めします。
- 呼吸が止まる、呼吸のリズムがおかしい
- 顔色が悪い、唇や爪が紫色になる
- ぐったりして反応が鈍い、意識がはっきりしない
- けいれんを起こした
- 水分が取れない、おしっこが半日以上出ていない
- 呼吸が苦しそうで、胸やお腹が大きく動いている
特に生後6か月未満の赤ちゃんでは、これらの症状が急に現れることがあります。少しでも「様子がおかしい」と感じたら、すぐに受診をおすすめします。
小児科に行くタイミングは?病院へ行く前に事前連絡を!
緊急性が高くなくても、咳が2週間以上続く、徐々にひどくなる、夜眠れない、咳き込んで吐くといった症状があれば小児科の受診をおすすめします。
周囲に感染者がいた場合も同様です。
なお、百日咳は感染力が強いため、受診前には必ず電話連絡をするようにしましょう。
他の患者さんへの感染を防ぐため、別室へ案内するなど配慮してもらえます。合室を分けるなどの配慮をしてくれることがあります。
百日咳が疑われた場合の具体的な検査
小児科では、問診と診察で百日咳が疑われた場合、確定診断のためにいくつかの検査を行います。
- 鼻咽頭ぬぐい液検査
- 血液検査
- 胸部レントゲン
百日咳が疑われる際は、主に鼻の奥の粘液を採取する検査(PCR・培養)を行いますが、結果判明には数日〜1週間ほどかかります。
状況に応じて血液検査で抗体の変化を見たり、レントゲンで肺炎の合併を確認することもあります。
症状が典型的な場合は、結果を待たずに治療を開始することもあるため、早めの受診が大切です。
百日咳治療はどう進める?薬の使い方は?
百日咳の治療の中心は抗菌薬です。
マクロライド系という種類の抗菌薬を使うことが一般的で、代表的なものにはアジスロマイシンやクラリスロマイシンがあります。

抗菌薬の効果とタイミング
抗菌薬は、菌の増殖を抑えて周囲への感染を防ぐ効果があります。
ただし、咳の症状自体を劇的に改善するわけではありません。
抗菌薬を飲むことで感染力は大きく下がるため、処方された薬はきちんと最後まで飲み切ることが大切です。
咳止めは効くの?
残念ながら、百日咳の激しい咳には一般的な咳止め薬はあまり効果がありません。
医師の判断で処方されることはありますが、劇的な改善は期待できないことが多いです。
入院が必要な場合
特に赤ちゃんの場合、呼吸の管理や栄養の補給のために入院が必要になることがあります。
無呼吸発作が起こる可能性がある場合は、病院でモニタリングしながら様子を見ます。
家庭でできる百日咳のケア方法と家庭内感染の防ぎ方
百日咳のケアは環境と食事が大事です。加湿器で湿度を50〜60%に保ち、ホコリやタバコの煙など咳の誘引を避けましょう。
咳や嘔吐で水分が失われがちなので、水分は少量をこまめに与えます。
食事も消化の良いものを数回に分けて食べさせ、食後すぐに横にならないようにすると吐き戻しを軽減できます。
夜の咳への対応
夜中に咳が激しくなるのは百日咳の特徴です。上体を少し起こした姿勢で寝かせると、少し楽になることがあります。
枕を高くしたり、背中にクッションを入れたりして工夫してみてください。
咳き込んで目が覚めたら、起こして抱っこしてあげたり、少し水を飲ませたりすると落ち着くこともあります。
家庭内感染の対処方法について
家庭内での感染拡大を防ぐため、患者さんと部屋を分け、定期的な換気とマスク・手洗いを徹底しましょう。
特に重症化しやすい赤ちゃんがいる家庭では、医師の判断で家族全員が予防的に抗菌薬を内服することもあります。
兄弟の母子手帳を確認し、ワクチン未接種の場合は早めに医師へ相談することが大切です。
百日咳にかからないために必要な予防策とは?
百日咳を防ぐ最も確実な方法は予防接種です。乳幼児の定期接種が広がったことで、百日咳の患者数は大きく減少しました。
標準的な接種スケジュール
現在のワクチンは、3種混合(DPT)・4種混合(DPT-IPV)・5種混合の中に含まれており、生後2か月から始めて、0歳代に3回+1歳を過ぎて1回の追加=合計4回が標準です。
合計4回の接種で基礎免疫をつくります。
接種のタイミングが大切
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会では、生後2か月になれば、直ちに 5 種混合ワクチンの接種を行うことを推奨すると発表されています。
できるだけ早く1回目を接種しましょう。赤ちゃんが最も危険な時期は生後6か月までですので、この時期までにしっかり免疫をつけることが重要です。
幼少期以降の定期的に百日咳の予防接種が必要!?
百日咳ワクチンの効果は、時間とともに弱くなっていきます。
そのため、幼児期~学童期に抗体が下がり、4回接種済みでも感染報告が出ることがあります。
そのため日本小児科学会は、次の上乗せ接種を推奨しています。
- 就学前:3種混合(DPT)での追加接種
- 11~12歳:現在の2種混合(DT)の代わりに3種混合(DPT)を選択
妊娠中の方や、赤ちゃんと接する機会が多い方は、追加接種を検討してください。
妊娠後期に接種することで、赤ちゃんにも抗体が移行して、生まれてすぐの時期を守ることができます。
登園・登校はいつから?周囲への配慮
百日咳にかかったら、周囲への感染を防ぐために、登園・登校を控える必要があります。
出席停止の期間
学校保健安全法では「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで」が出席停止期間とされています。
抗菌薬を飲み始めてから5日間が経過し、医師が「もう人にうつす心配はない」と判断すれば、登園・登校できます。
保育園や幼稚園への連絡
百日咳と診断されたら、すぐに保育園や幼稚園に連絡しましょう。ほかの子どもたちにも注意喚起が必要になります。
復帰後の配慮
登園・登校を再開しても、しばらくは咳が続くことがあります。マスクを着用したり、激しい運動を避けたりするなど、無理のない範囲で生活しましょう。
子どもの百日咳と間違えやすい病気と特徴を紹介
長引く咳を起こす病気は百日咳だけではありません。似た症状の病気との違いを知っておくと役立ちます。
クループ(急性喉頭炎)
犬が吠えるような「ケンケン」という乾いた咳や、声のかすれが特徴です。
息を吸う時にヒューヒューと音がすることもありますが、百日咳特有の発作後の吸い込む音とは聞こえ方が異なります。
RSウイルス感染症
2歳未満の乳幼児に多く見られます。呼吸がゼーゼーと鳴るのが特徴で、鼻水や発熱を伴います。
百日咳のように長期間続くことは少なく、通常は1〜2週間程度で症状が改善に向かいます。
気管支喘息
季節の変わり目や風邪、運動後などに、ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音が出ます。
百日咳のような激しい咳込みとは異なり、呼吸そのものが苦しくなるのが特徴的です。
マイコプラズマ肺炎
学童期以降の子どもに多く、発熱とともに乾いた咳が長く続きます。
百日咳のような「ヒュー」という吸気音や、吐くほどの激しい咳き込みが見られることはあまりありません。
最終的に迷った際は、勝手に自己判断での対処はせず、小児科で相談することをおすすめします。
【まとめ】子供の百日咳は長引く咳とヒューという音で判断、初期は風邪と似ているため注意
長引く咳や夜間の発作は、百日咳の可能性があります。
特に赤ちゃんは重症化のリスクがあるため早めの対応が大切です。
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