インフルエンザは高い熱が数日間続くことが特徴の感染症です。
薬を飲ませているのに熱が下がらないと、何か重い合併症が起きているのではないかと心配になるのは当然のことです。
すぐに受診したほうがよい症状がないかを落ち着いて確認し、必要なら医療機関に相談するとよいでしょう。

小児科専門医六郷 由佳
2012年福島県立医科大学卒業後、小児科専門医として先天性心疾患を専門に診療。現在はオンライン診療と都内小児科クリニックに勤務。
インフルエンザの熱が下がらない期間と一般的な症状の経過
一般的には、インフルエンザで急激な高熱が出てから解熱するまでに3日から5日ほどかかるケースが多いようです。

抗インフルエンザ薬を服用した場合、多くの場合は服用しなかった場合と比較して1〜2日程度早く熱が下がり始めますが、ウイルスの勢いによってはそれ以上かかることもあります。
| 発症からの期間 | 一般的な熱の状態 |
|---|---|
| 発症から2日目 | 38度から40度の高熱が続きやすい |
| 3日から4日目 | 徐々に解熱するが再び上がることもある |
| 5日目以降 | 多くの場合は平熱に戻り快方に向かう |
このように数日間は高い熱が続き、約1週間で軽快することが予測されます。
熱が下がらないからといって、すぐに「薬が効いていない」と判断するのではなく、お子さんの全身状態を観察しながら経過を見守ることが大切です。
インフルエンザの熱が下がらないときに早めに相談すべき症状
「いつまで様子を見ていいのか」という判断は熱の高さよりも、子どもの「普段と違う様子」に注目してください。
以下の症状が見られる場合は、インフルエンザ脳症や肺炎などの合併症を起こしている可能性があるため、速やかに医療機関への相談を検討してください。
- 呼びかけに対する反応が鈍く視線が合わない
- 意味不明なことを言ったり怯えたりするような異常行動がある
- 呼吸が非常に苦しそうで肩で息をしている
- 水分を全く受け付けずおしっこが半日以上出ていない
- 5分以上続くけいれんや繰り返し起こる痙攣がある
特に意識の状態や呼吸の様子がおかしいと感じたときは、なるべく早めに医師の診察を受けることが推奨されます。
このような症状がなくても不安なときは無理をせず、オンライン診療などを活用して専門家に相談するのも一つの方法です。
薬を飲んでもインフルエンザの熱が下がらない理由
タミフルなどの抗インフルエンザ薬を飲ませても、すぐに熱が下がらないのには理由があります。
発熱は体の抵抗力を上げるためのもの
東京大学の研究により、「体温が38℃以上になるとインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスに対する抵抗力が上がる」ことが明らかになりました。
体温が38℃以上に上昇することにより腸内細菌叢(そう)が活性化し、ウイルスの増殖や感染による炎症反応を抑えているということが分かっています。
体がウイルスと闘っている証拠なので、よほどの高熱や他に心配な症状がない限り、「すぐに熱が下がらない」と焦らず様子をみましょう。
抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を防ぐもの
抗インフルエンザ薬はウイルスを直接殺すものではなく、体内でウイルスが増えるのを防ぐためのものです。
薬を飲み始めた時点で、すでに体内には一定数のウイルスが存在しており、死滅するにはある程度時間がかかります。
すでに存在するウイルスに対して子どもの免疫が働き、退治が終わるまでは熱が下がらない状態が続くということです。
インフルエンザウイルスは増殖スピードが速い
インフルエンザウイルスは非常に増殖スピードが速いため、発症から薬を飲むまでに時間がかかるほど、熱が下がらない期間が長くなる可能性もあります。
薬の効果には個人差があることも知っておきましょう。
また、薬を飲み切らずにやめてしまう、指示されたタイミングで飲まないなども薬が十分に効かず熱が下がらない原因になりかねません。
インフルエンザの熱が下がらないときに注意したい二峰性発熱
子どものインフルエンザでは、一度熱が下がったのに再度また上がってしまう二峰性発熱(にほうせいはつねつ)という現象がよく見られます。
これは特に乳幼児や学童期の子どもに起こりやすく、決して珍しいことではありません。
一度平熱近くまで下がったのに数日後に38度以上の熱が出ることもあり、インフルエンザ特有の経過のひとつと考えられています。
二度目の熱が下がるタイミング
二峰性発熱の場合、二度目の熱は一度目よりも短期間で下がることが一般的です。
再び熱が上がったとしても、水分が摂れていて本人の活気が戻ってきているようであれば、慌てずに様子を見ても良いケースが多いといえるでしょう。
家庭でできるインフルエンザの熱が下がらないときのケア方法
熱が下がらない間、子どもは体力を大きく消耗しています。
少しでも快適に過ごせるよう、家庭でのケアを工夫してみましょう。

体の回復を促すケア
効率的に体を冷やしてあげることで、本人の苦痛を和らげられる可能性があります。
- 脇の下や太ももの付け根など大きな血管がある場所を冷やす
- 子どもが嫌がらない場合は首の両脇も保冷剤などで冷やす
- 厚着をさせすぎず熱がこもらないような服装に調整する
少しでもよく眠れるように、心地よい状態を探してあげてください。
脱水症を防ぐ水分補給のポイント
高熱が続くと脱水症のリスクが高まります。
水分補給は一度にたくさん飲ませるのではなく、少しずつ回数を分けて与えるのがコツです。
- 体への吸収がスムーズなスポーツドリンクなどを活用する
- 糖分と電解質を補えるお子様用のイオン飲料を与える
- さっぱりとした薄めのリンゴジュースや麦茶で水分を摂る
経口補水液は脱水状態には適していますが、消費者庁は「脱水状態でない方が日常の水分補給に飲むものではない」と注意喚起しています。
飲ませる場合は医師や管理栄養士に相談し、指導に沿うようにしてください。
インフルエンザの熱が下がらないことに関するQ&A
- 解熱剤を使っても熱が下がらないときはどうすればいいですか?
-
解熱剤は熱を平熱まで下げる薬ではなく、一時的に1度から1.5度ほど下げて体を楽にするためのものです。
無理に平熱まで下げようとせず、本人が少しでも眠れたり水分を摂れたりすれば効果があったと考えましょう。
- 熱が下がらないときにお風呂に入れても大丈夫ですか?
-
高熱があってぐったりしているときは、お風呂は控えて体を拭く程度にするのが望ましいです。
解熱し始めて本人の元気が出てきたら、短時間の入浴から再開すると良いでしょう。
インフルエンザの熱が下がらないときも落ち着いて経過観察を!心配ならオンライン診療も検討して
インフルエンザの熱が下がらない期間は、通常3日から5日程度であることが一般的です。
薬を飲んでいても最初の1、2日は高熱が続くことがありますが、多くの場合、体内で免疫がウイルスと戦っている過程での反応です。
落ち着いて水分補給を行い、お子さんの全身状態をよく観察しましょう。
- インフルエンザの熱は発症から平均3日から5日で解熱に向かう
- 一度下がった熱が再び上がる二峰性発熱は子どもによく見られる
- 意識が朦朧としたり呼吸が苦しそうなときは早めに医師へ相談する
熱が下がらないと不安ですが、無理して抱え込まず、状況に応じて小児科オンライン診療あんよへの相談も検討してみてください。


小児科専門医
六郷 由佳
インフルエンザによる高熱は親御さんとして見ていて辛くなりますね。体がウイルスと戦っている証拠なので、体が楽になるように上手に解熱剤を使用したりホームケアを取り入れてサポートしましょう。