子どもがインフルエンザで高熱が出ているときは、まず水分を少しずつでも補給するよう心がけることが大切です。
解熱後は消化の良いものから少しずつ試してみるようにしましょう。
「食べないとインフルエンザが治らない」と無理に食べさせることで、かえって胃腸に負担をかける場合もあります。
水分を十分に摂れず脱水が疑われる場合は、早めに医療機関への相談を検討してください。

小児科専門医六郷 由佳
2012年福島県立医科大学卒業後、小児科専門医として先天性心疾患を専門に診療。現在はオンライン診療と都内小児科クリニックに勤務。
インフルエンザで「高熱がある時」は水分補給が第一
高熱が出ている間は、体内の水分が失われやすく、消化機能も低下しています。
この時期は「栄養を摂ること」よりも「水分と糖分を補うこと」を優先しましょう。
水分と糖分を補うのに適した食べ物
インフルエンザで喉に痛みがある子も多いため、喉越しがよく、飲み込みやすいものが適しています。
一度にたくさん与えず、本人が欲しがるタイミングで少しずつ進めるのがコツです。
- 薄めたスポーツドリンクや麦茶
- エネルギー源となる糖分が含まれたゼリー飲料やプリン
- 冷たいアイスクリーム(少量ずつ試す)
- 消化に負担をかけないすりおろしリンゴ
インフルエンザの高熱時は寝ている時間も長くなるため、目が覚めたとき、トイレに起きたときなどで一口ずつでも水分補給を心がけましょう。
脱水状態ではないときに経口補水液は適していない
脱水症のための「経口補水療法」に用いられる経口補水液は、脱水状態でない人が予防として飲むには適していないとされています。
一般的なスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムの量が多いため、脱水状態でない場合は塩分の摂り過ぎになる可能性も。
消費者庁は経口補水液を「感染性胃腸炎による下痢・嘔吐に伴う脱水状態の際に、水と電解質の補給のために利用できる食品」と定義しています。
中には発熱での脱水症に使用できる商品もありますが、医師、管理栄養士等の相談、指導を受けて使用するようにしましょう。
解熱後の回復期にインフルエンザで落ちた体力を戻す食べ物
インフルエンザの熱が下がり始めると、少しずつ食欲が戻ってくる子どもが多いでしょう。
熱が下がっても胃腸の働きが完全に回復するまでには、数日かかると考えられます。
「食べられるものから少しずつ」を基本として、様子を見ながら食べさせてみましょう。
消化の良い食べ物が基本
いきなり普段の食事に戻すのではなく、消化に良いものから段階的に進めましょう。
タンパク質は体の基盤となるので、体力の消耗が激しい時期の栄養補給として取り入れたい栄養素です。
- 柔らかく煮込んだうどんやおかゆ
- 卵や豆腐など脂質の少ないタンパク質
- カリウムや糖質を豊富に含み消化も良いバナナ
- 喉越しが良く栄養価も高い茶碗蒸し
まだ喉の痛みが残っている可能性もあるので、水分が多く飲み込みやすいものを中心にすると良いでしょう。
無理をさせず、様子を見ながら少しずつ食べさせてみてください。
インフルエンザの期間中に避けるべき食べ物と理由
体がインフルエンザのウイルスと戦っている間は、内臓への負担を最小限に抑えることが大切です。
良かれと思って出した食べ物が、吐き気や下痢を誘発してしまう可能性もあります。
以下の表にまとめた食べ物は、インフルエンザから完全に回復するまで控えることが望ましいでしょう。
| 避けるべきカテゴリ | 具体的な食べ物 | 避けるべき理由 |
|---|---|---|
| 脂質の多い食べ物 | 唐揚げ ラーメン ピザ | 消化に時間がかかり胃もたれの原因になる |
| 食物繊維が多い食べ物 | ごぼう きのこ 玄米 | 消化の負担になり、お腹を壊す原因になることがある |
| 刺激の強い食べ物 | カレー粉 柑橘類 炭酸 | 喉を刺激して、咳き込みや痛みを感じやすくなることがある |
基本的には「油分が少ない」「食物繊維が少ない」「刺激が少ない」食べ物を選ぶようにしましょう。
体に良さそうでも柑橘類は控えめに避けるとよい
果物は体に良さそうなのですが、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類は回復するまではたくさん食べるのはやめましょう。
食物繊維が消化の負担になることや、喉への刺激になることがあるためです。
特に嘔吐や下痢の症状があった場合には、胃腸への負担が大きいです。
柑橘類はビタミンCが豊富で日頃の健康維持や体調管理には適していますが、インフルエンザから回復するまではたくさん食べるのはやめましょう。
子どもがインフルエンザで薬を嫌がる時に試したい食べ物
インフルエンザの治療薬や解熱剤は、独特の苦味があるものも少なくないため、薬を嫌がって飲んでくれない時は、食べ物に混ぜてみるのも一つの方法です。
薬の種類によっては、特定の食べ物と混ぜると苦味が増す場合もあります。
- ゼリー状のオブラートを使用する
- 一口サイズのプリンに薬を入れる
- 服薬専用のゼリーを活用する
また一部の薬では、チョコアイスやココアに混ぜることで飲みやすくなる場合があります。
薬剤師さんに確認しつつ、子どもが飲みやすい組み合わせを見つけてあげてください。
食べ物の工夫をしても十分に水分補給できない時は受診を検討して
家庭で食事や水分の工夫をしても、水分を全く受け付けない状態が続くと、脱水症のリスクが高まります。
インフルエンザの子どもの様子が以下のような場合は脱水が疑われるため、早めに医師の判断を仰ぐことが大切です。
- 全く水分を摂ることができない
- 何度も繰り返し嘔吐してしまう
- おしっこの回数が極端に減っている
- 泣いても涙が出ず、口が渇いている
- 呼びかけへの反応が鈍い
救急で受診するべきか迷う場合は、子ども医療電話相談(#8000)に電話してみるのも良いでしょう。
インフルエンザの高熱でぐったりしている子どもを連れて外出するのが難しい場合は、自宅から相談できるオンライン診療の活用も検討してください。
インフルエンザの子どもの食べ物でよくある質問
- 子どもがアイスクリームばかり欲しがるのですが大丈夫でしょうか?
-
インフルエンザの高熱で食欲がない時期であれば、アイスクリームはエネルギー補給の助けになります。
アイスクリームは喉越しが良く、食欲がない時のエネルギー補給に適しているため、無理に止めなくてもよいでしょう。
ただし、食べ過ぎると体が冷えてしまうため、量を調節しながら与えてください。
- お粥やうどんを嫌がる時はどんな食べ物を食べさせればいいですか?
-
炭水化物であれば、パン粥などもインフルエンザの子どもにとっては食べやすい選択肢となるでしょう。
無理に特定のものを食べさせる必要はありません。
本人が「食べたい」と思うものを優先し、一口ずつゆっくり進めることで、徐々に食欲が戻るのを待ちましょう。
- 牛乳を飲ませても良いでしょうか?
-
牛乳は栄養価が高い反面、人によっては下痢を引き起こしやすい飲み物です。
特にインフルエンザで胃腸が弱っている時は、普段より慎重に与える必要があります。
本人が飲みたがる場合は温めて少しずつ与え、お腹の調子が悪くなるようなら控えましょう。
- 感染していない家族と一緒に食事をしたがるのですが大丈夫ですか?
-
家庭内でのインフルエンザの感染を広めないようにするためにも、できるだけ隔離している部屋で食べさせるのが望ましいです。
食事の際は特に感染のリスクが高くなってしまいます。
看病をする家族は一人に決めて、できるだけ他の家族との接触は避けるほうがよいでしょう。
子どもが寂しくならないよう、穏やかに声をかけつつ様子を見守ってあげてください。
インフルエンザの子どもに選ぶとよいのは消化の良い食べ物!困ったらオンライン診療を活用して
インフルエンザの時は、まず脱水を防ぐための水分補給を最優先に行いましょう。
無理に食べさせようとせず、様子を見ながら段階的に消化の良いものへ移行するのが理想的です。
- 水分補給は麦茶などを利用して少量ずつ頻回に行う
- 発熱期はゼリーやアイスなど喉越しの良いものを与える
- 回復期はうどんやおかゆなど脂質の少ないメニューから徐々に慣らす
もしインフルエンザによる高熱で水分がしっかり摂れないようであれば、無理をせず医師に相談するようにしましょう。
「病院に行くべきかどうか迷う」という場合には、スマホで医師とつながることができる小児科オンライン診療「あんよ」をぜひ活用してみてください。


小児科専門医
六郷 由佳
食欲がないお子さんに無理に食べさせる必要はありません。脱水にならないようにこまめに水分補給を行いましょう。安心ですね。