新生児期はまとまった睡眠が取りづらく、「ミルクをあげたのに、なぜか寝てくれない」という状態になりやすいため、親御さんの体力も精神力も削られてしまう時期です。
抱っこを続けても寝ない新生児を前に、「少しの間だけほっとくのはいけないこと?」と思い悩んでしまうこともあるでしょう。
結論から申し上げますと、新生児の安全が確保されていれば、短時間目を離すことは悪いことではありません。
親御さんが冷静さを取り戻すための大切な見守りの時間と捉えることも、健やかな育児には必要です。
本記事では、授乳後に新生児期の赤ちゃんが寝ない背景として考えられるものや、安全に「ほっとく」ための条件について詳しく解説します。
授乳後に新生児がなかなか寝ないのはなぜ?
授乳が終わればスッと寝てくれるのが理想ですが、実際には目が冴えてしまう新生児は少なくありません。
授乳後の新生児がなかなか寝ない場合には、いくつかの背景が考えられます。
- お腹にガスが溜まって苦しい
- お腹が十分に満たされていない
- おむつが濡れていて不快感がある
- モロー反射などで目が覚めてしまう
- 睡眠の環境が整っていない
新生児が寝ない主な要因として考えられるものを一つずつ詳しく見ていきましょう。
お腹にガスが溜まって苦しい場合
赤ちゃんは授乳の際に、ミルクと一緒に空気もたくさん飲み込んでしまいます。
授乳後に上手くゲップが出せないと、胃や腸に空気が溜まってお腹が張り、不快感から寝付けないことがあります。
横に寝かせた途端に新生児が泣き出す場合は、お腹の圧迫感や違和感が要因の一つかもしれません。
特に哺乳瓶でミルクを与えている場合には、空気を飲み込みやすいので、ゲップをさせてあげるようにしましょう。
お腹がいっぱいになっていない可能性
新生児は胃袋が小さいため、一度にミルクをたくさん飲むことができません。
特に母乳や混合の場合は、どのくらい飲んだのかが分かりにくいため、授乳後に一度満足したように見えてもまだ足りないということもあるでしょう。
ミルクの量も新生児期には1回60~100ml、1日6~8回程度が目安とされていますが、個人差もムラも大きいものです。
「毎回この量」と決めてしまわず、赤ちゃんの体重の増え方やおしっこの量を確認しつつ、ミルクを足すことも検討するとよいでしょう。
おむつが濡れて不快感があるケース
新生児期はとにかくおしっこの回数が多いため、交換したばかりでも授乳後はすぐにおむつが濡れてしまっている可能性があります。
「さっき替えたばかりだから大丈夫」と思わずに、おむつを確認してみましょう。
優しく声をかけながらおむつを確認し、肌に触れることで赤ちゃんも安心することにつながるかもしれませんね。
モロー反射などの生理現象で目が覚めてしまう場合も
新生児期特有のモロー反射により、自分の意思とは関係なく体がビクッと動くことがあります。
授乳後にウトウトして眠りに入りそうなタイミングでこの反射が起こると、驚いて目が覚めてしまうことも。
大人よりも睡眠のサイクルが短く眠りが浅いため、小さな刺激でも覚醒しやすいという特徴があります。
個人差はありますが、新生児は1日のうちの16~17時間を眠って過ごし、昼夜を問わず3~4時間おきに目を覚ますので、夜中に覚醒してしまうこともあるのです。
睡眠の環境が整っていない可能性もある
生まれたばかりの新生児にとって、外の世界は刺激で溢れています。
部屋の照明が明るすぎたり、テレビの音が聞こえたりするだけでも、脳が興奮して寝付けなくなることがあります。
また、暑すぎたり寒すぎたりする室温の調整不足も、新生児が覚醒し続ける要因となり得ます。
新生児にとって眠りやすい環境を整えてあげるようにしましょう。
体調不良かも?すぐに受診を検討すべき新生児の様子
「新生児が授乳後に寝ない」という状況の裏に、体調不良が隠れている場合もあります。
単なるぐずりではなく、新生児に以下のような様子が見られる場合は、早めに医療機関への相談を検討してください。
- 37.5度以上の発熱があり体が熱い
- ミルクを噴水のように何度も激しく吐く
- 泣き声が普段と明らかに違い弱々しい
- 顔色が悪くぐったりとして活気がない
新生児の様子がこれらに当てはまる場合は、速やかに医師の判断を仰ぐことが重要です。
寝ない新生児を少しの間ほっとくのは悪いこととは限らない
体調不良ではなさそうなのに寝ない新生児を前にして「もう無理」と感じた時、一時的に距離を置くことは推奨される場合もあります。
これは放置ではなく、事故を防ぐための安全な回避という考え方です。
親の心の安定を保つための適切な距離
親御さんが極度の寝不足や疲労でイライラが限界に達すると、思わず赤ちゃんを強く揺さぶってしまうリスクが高まります。
これは乳幼児揺さぶられ症候群という重篤な事態を招く恐れがあり、最も避けなければなりません。
イライラが止まらない時は、一度新生児を安全な場所に寝かせ、別室で深呼吸をして心を落ち着かせることが大切です。
一人で抱え込もうとせず、相談できる相手を確保したり、公的な支援を頼ったりすることも決して恥ずかしいことではありません。
短時間ほっとくことが新生児に与える影響
「新生児が泣いているのにほっとくのは、愛着形成に響くのではないか」と心配される方もいるでしょう。
しかし、安全な環境で数分から十数分程度泣かせたからといって、将来の性格や発達に悪影響を及ぼすといった報告は一般的になされていません。
むしろ、親御さんが笑顔で再び接することができるようになることのほうが、新生児にとってはプラスに働くでしょう。
一度心を落ち着けて、ゆとりを持って新生児に接することができるような工夫をしたいですね。
安全に授乳後の新生児をほっとくために必ず確認したいポイント
新生児期の赤ちゃんから一時的に離れる際には、物理的な安全が確保されていることが絶対条件となります。
以下の表を参考に、新生児の現在の寝床が安全な状態であるかを確認してください。
| 確認項目 | 安全な状態の目安 | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 寝具の硬さ | 体が沈み込まない硬いマット | 柔らかなクッションは窒息の恐れあり |
| 周囲の物品 | 枕、ぬいぐるみ、タオルがない | 顔に被さる可能性のあるものは置かない |
| 寝かせ方 | 常に仰向けの状態で寝かせる | うつ伏せはSIDSのリスクが高まる |
SIDSや窒息を防ぐための寝床の環境
乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防や窒息事故の防止のため、寝床の環境整備は非常に重要です。
以下のポイントに気を付けて新生児が安全に過ごせる環境を整えてあげましょう。
- 仰向けに寝かせる
- 身体が沈まない硬めの布団やマット使用する
- かけ布団ではなくスリーパーや空調で快適になるよう調節する
- ベビーベッドの柵が正しく上がっているか、隙間に挟まる危険がないか確認する
特にうつ伏せはSIDSのリスクが高まる危険因子とされています。
不慮の事故を防ぐためにも、少しでもリスクになるものは取り除くようにしたいですね。
授乳後の吐き戻しに注意する工夫
授乳後に寝ない新生児を横にする際、気を付けたいのがミルクの吐き戻しによる窒息です。
ゲップを十分に出させることが基本ですが、出ない場合は背中を優しくさすりながら5分から10分ほど縦抱きを続けます。
その後、顔を少し横に向けて寝かせることで、万が一吐き戻しても喉に詰まりにくくなると考えられます。
寝ない新生児をほっとく前に試したい寝かしつけのコツ
ただ寝かせるだけでは泣き止まない時、少しの工夫で新生児が落ち着くことがあります。
寝かしつけのポイントをチェックしておきましょう。
以下の対応をしても寝ない場合は、新生児を無理に寝かそうとせず、一度安全な場所に置いて親御さんが休息を取る判断をすることも大切です。
寝室を睡眠に適した環境に整える
赤ちゃんに適した室温は、冬なら20~22度、夏なら26~28度が目安とされています。
湿度は50~60%が目安なので、エアコンや加湿・除湿器などを使って調節してあげましょう。
夜間にはできるだけ暗く、暖色系のライトを使って目が覚めてしまわないようにしてあげたいですね。
おくるみを使って体を包む
おくるみを使って、お腹の中にいた時のような安心感を与えてあげることも、寝かしつけのポイントです。
新生児期のモロー反射を抑えることも期待できます。
おくるみを使うときには、きつく締め付けてしまうことのないように気を付けましょう。
ホワイトノイズを聞かせる
生活音がどうしても出てしまう時間帯には、ホワイトノイズを聞かせるのも一つの手段です。
ホワイトノイズとは、赤ちゃんがお腹の中で聞いた音に近いとされていて、換気扇の音やラジオのノイズのようなものを指します。
突発的な音にびっくりして目覚めてしまうのを防ぎ、安心して眠る環境づくりに役立つ方法の一つと考えられています。
新生児が授乳後に寝ないときに活用するとよい相談窓口
新生児期は思い通りにいかないことも多く、誰かに相談したいこともありますよね。
「一人で何とかしなければ」と抱え込まず、ちょっとした悩みも吐き出してみるとすっきりすることもあるでしょう。
身近に頼れる人がいない場合には、公的な相談窓口なども積極的に利用してみるといいですね。
- 親子のための相談LINE(こども家庭庁)
- 各自治体の相談窓口(子ども家庭110番、保健センターなど)
- こども医療電話相談「#8000」(厚生労働省)
新生児の体調が良くないように見えるけれど、すぐに受診するべきか判断できないときは、こども医療電話相談やオンライン診療などに相談することも検討してください。
新生児が授乳後に寝ないことに関するよくある質問
- 授乳後の赤ちゃんをほっとく場合、何分くらいまでならいいですか?
-
一般的には数分から十数分程度、親御さんの気持ちが落ち着くまでが目安といわれています。
その間、親御さんは別室で飲み物を飲んだりして、気持ちを落ち着かせてください。
もちろん、泣き声が異常ではないか、時々様子を確認することは忘れないようにしましょう。
- 寝ないからといって、暗い部屋に一人きりにするのは可哀想ではありませんか?
-
赤ちゃんを危険から守り、親御さんの心の健康を維持するための一時的な措置であれば、可哀想なことではありません。
安全が守られていれば、暗い静かな環境の方が、赤ちゃんも刺激が減って眠りにつきやすくなるという側面もあります。
親御さんが可哀想だと感じて罪悪感でつらくなってしまう場合は、離れずにそばにいてあげるなど、その時に応じて判断するとよいでしょう。
新生児が授乳後に寝ない時は安全を確保した上でほっとくのも一つの選択肢!育児の悩みや受診の目安を相談したい場合はオンライン診療も活用を
新生児期の赤ちゃんが授乳後に寝ないのは、体の発達段階においてよく見られる現象です。
「寝かせ方が適切ではないんだ」と自分を責めることのないようにしてください。
- 親がイライラを感じたら硬い寝具と仰向け寝で窒息やSIDSの対策を徹底し、10分程度別室で距離を置いてもよい
- 新生児の体の様子や顔色に異変を感じたら迷わず医師に相談する
- 公的な相談窓口なども利用して、新生児が寝ない悩みを一人で抱え込まないようにする
新生児期は昼夜を問わず赤ちゃんが目を覚まし、親御さんの生活リズムも振り回されることも少なくありません。
対面で受診するべきか迷う場合は小児科オンライン診療サービス「あんよ」に自宅から相談することも検討してみてください。
医療機関や周りのサポートを借りながら、親御さんもできる限り身体と心を休めつつ、この大変な時期を乗り越えていきましょう。
