寝ている赤ちゃんを真上からのぞいて、後頭部が平らなことに気づくとドキッとしますよね。
「うちの子だけ絶壁かな」「このまま形が残ったらどうしよう」と、不安になる親御さんは少なくありません。
この記事では、赤ちゃんの絶壁が起こる理由と月齢ごとの経過、家庭でできる工夫、ヘルメット治療が検討される時期、そして受診を考える目安を解説します。
慌てずに、まずはお子さんの今の様子を確かめるところから始めてみてくださいね。
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赤ちゃんの絶壁とはどんな状態を指すのか

「絶壁」は医学用語ではなく、後頭部が平らに見える頭の形を指す言い方です。医療の場では、頭の後ろ全体が平たくなり前後に短い形を短頭(たんとう)と呼びます。左右どちらかだけが平らになる形は斜頭(しゃとう)と呼び分けられます。
赤ちゃんの頭の骨は、生まれたときにはまだ何枚かに分かれています。骨と骨の間にすき間があるおかげで、産道を通るときに頭の形を変えられるのです。
この柔らかさは脳が急に大きくなる時期に必要なもので、裏を返すと外からの力で形が変わりやすい時期でもあります。
こうした、寝る向きや姿勢のかたよりによって生じる頭の形の変化は、位置的頭蓋変形(いちてきずがいへんけい)と総称されます。
病気そのものではなく、成長の過程で起こる形の個人差として扱われることがほとんどです。頭の形の全体像については、赤ちゃんの頭の形の見方をまとめた記事もあわせてご覧ください。
絶壁と病気の頭の形は同じではありません
まれに、頭の骨のつなぎ目が早く閉じてしまう頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)という状態があります。
この場合は、寝る向きと関係なく形がゆがんだり、頭のつなぎ目に硬い盛り上がりが触れたりすることがあります。
判断には診察と画像の検査が必要ですので、気になるときは小児科で相談し、必要に応じて脳神経外科などへの紹介を受けてください。
赤ちゃんの絶壁が起こる主な原因
いちばん多いのは、同じ向きで寝ている時間が長いことです。赤ちゃんは一日の大半を横になって過ごしますから、床に触れている部分に体重がかかり続けます。柔らかい頭の骨は、その力を受けた場所から少しずつ平らになっていきます。
向き癖そのものにも理由があります。生まれる前の子宮内での姿勢、首の筋肉の左右差、部屋の明るい方向やドアの位置などが影響すると考えられます。首の片側の筋肉が硬く、いつも同じ方向を向いてしまう筋性斜頸(きんせいしゃけい)が背景にあることもあります。
また、赤ちゃんの睡眠は昼夜を問わず細切れで、寝かしつけの都合から寝床の向きが固定されやすいという事情もあります。夜の寝つきに悩んでいる場合は、新生児が寝ないときの向き合い方をまとめた記事も参考になります。
あお向け寝は続けてください
「絶壁になるならうつ伏せで寝かせたほうがよいのでは」と考える方がいますが、これは避けてください。眠るときの姿勢は、月齢にかかわらずあお向けが基本です。
こども家庭庁は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクを下げるために、医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合を除き、1歳になるまでは寝かせるときにあおむけに寝かせるよう呼びかけています(こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」)。
頭の形は時間をかけて整えていける課題ですが、睡眠中の安全はその前に置かれるべきものです。うつ伏せの姿勢は、後で述べるとおり、赤ちゃんが起きていて大人が目を離さずにいられる時間だけにとどめます。
寝床の環境については赤ちゃんの寝るときの服装をまとめた記事もご覧ください。
赤ちゃんの絶壁は月齢でどう変わっていくのか
頭の形は、頭の成長が速く、まだ寝て過ごす時間が長い時期ほど変わりやすく、赤ちゃんが自分で姿勢を変えられるようになるにつれて、寝かせ方の工夫は届きにくくなっていきます。月齢ごとのおおまかな見取り図は次のとおりです。
| 時期 | 頭の形の傾向 | 家庭での関わり方 |
|---|---|---|
| 生後0〜3か月ごろ | 首がすわる前で自分では向きを変えにくく、向き癖の影響がもっとも出やすい時期です | 寝床の向きや声をかける位置を変え、左右にかたよらないようにします |
| 生後3〜6か月ごろ | 首がすわり、寝返りが始まっていく時期です。赤ちゃんが自分で向きを変えるようになるため、寝かせ方の工夫は少しずつ届きにくくなります | 起きている時間の姿勢を増やし、気になる場合は早めに医療機関に相談します |
| 生後6〜12か月ごろ | 寝返りやお座りで頭が床に触れる時間が減り、形は少しずつ落ち着いていきます | 髪が生えて目立ちにくくなることも多く、経過を見守る段階に入ります |
表の時期の区切りは、乳児の運動機能の目安にもとづくものです。厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」の運動機能通過率では、首のすわりは生後4〜5か月未満、ねがえりは生後6〜7か月未満、ひとりすわりは生後9〜10か月未満で、それぞれ90%以上の乳児ができるとされています。
ねがえりができる割合は生後4〜5か月未満で52.7%、生後5〜6か月未満で86.6%と報告されており、寝返りが出そろう前後で、頭が床に触れている時間は大きく変わっていきます。
ただし発達には幅がありますので、同じ月齢のお子さんと比べて焦る必要はありません。上の数値はあくまで生後12か月ごろまでの乳児全体の分布であり、お子さん一人ひとりの目標ではないという点にご注意ください。
寝返りが出そろうと、頭が床に接している時間そのものが短くなり、寝かせ方でできることは少なくなっていきます。気になる状態が続いているなら、寝返りが始まる前の段階で一度相談しておくと、選べる方法が多く残ります。
家庭でできる赤ちゃんの絶壁と向き癖の工夫
やることは難しくありません。日中の起きている時間に、後頭部が床に触れない時間をつくること。そして寝るときは、あお向けのまま向く方向にだけ変化をつけることです。
まず、寝床の位置や向きを定期的に入れ替えてみてください。赤ちゃんは光や声のするほうを向きますので、ベビーベッドの頭と足の向きを日ごとに逆にするだけでも、向きやすい方向が変わります。
声をかける位置や、おもちゃを置く側を意識して変えるのも同じ効果をねらった工夫です。
抱っこや授乳の向きも見直してみましょう。抱く腕をいつも同じにしていると、赤ちゃんの体がねじれる方向も固定されます。左右を交互にすることで、首や体幹の使い方のかたよりがやわらぎます。授乳の姿勢は無理のない範囲で構いません。
タミータイムは起きている時間だけに行います
タミータイムは、赤ちゃんが起きていて機嫌のよいときに、うつ伏せで遊ばせる時間のことです。後頭部が床から離れるうえ、首や背中の筋肉が育ち、寝返りの土台にもなります。首がすわる前でも、短い時間から始められます。
守っていただきたい約束は二つあります。一つは、必ず大人が目の届く範囲で付き添うこと。もう一つは、平らで硬めの面で行い、途中で赤ちゃんが眠そうになったら中止してあお向けに戻すことです。
柔らかい布団やクッションの上、そして大人がうとうとしている状況では行わないでください。
はじめは数十秒でも構いません。おむつ替えの後や機嫌のよい時間に少しずつ回数を重ね、赤ちゃんが嫌がらない範囲で伸ばしていきます。泣いてしまう日は無理に続けなくて大丈夫です。

赤ちゃんの絶壁でやってはいけないことと注意したい思い込み
よかれと思って行った対策が、かえって安全上の心配につながることがあります。とくに寝床まわりのグッズは、頭の形よりも先に窒息の危険を考える必要があります。
| よくある行動 | どこが心配か | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 向き癖を直すためにうつ伏せで寝かせる | 睡眠中のうつ伏せはSIDSの発症との関連が指摘されています | 眠るときはあお向けを守り、うつ伏せは覚醒中のタミータイムに限ります |
| ドーナツ枕や向き癖防止クッションに頼る | 顔が沈み込んだりずれたりして、鼻や口がふさがるおそれがあります | 寝床には何も置かず、体位の工夫と日中の姿勢で対応します |
| タオルや丸めた布で頭を固定する | 赤ちゃんが動いたときに顔にかぶさる危険があります | 寝床の向きを変えるなど、固定しない方法を選びます |
| 頭の形を手で押して直そうとする | 骨や皮膚への負担になり、期待した効果も見込めません | 気になる場合は自己判断せず医療機関で相談します |
こども家庭庁も、1歳未満の赤ちゃんの睡眠中の窒息を防ぐ工夫として、寝具は硬めで平坦なものを使うこと、寝床にはぬいぐるみやタオルなどを置かずにすっきりと整えることを挙げています(こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」)。
消費者庁も、0歳児の不慮の事故死のうち就寝時の窒息が多いことを示したうえで、柔らかい敷き布団やマットレス、枕はうつぶせになったときに顔が埋まって鼻や口がふさがるおそれがあること、寝ている子どもの顔の近くに枕・タオル・ぬいぐるみなどを置かないことを呼びかけています(消費者庁「0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!」(平成28年10月24日))。
ドーナツ枕のような商品は、頭の形が治ると断定できるものではありません。とくに寝返りが始まる時期は、赤ちゃんが枕の上で予期しない姿勢になることがあります。寝床の中には掛け具以外のものを置かない、という原則を優先してください。
もう一つ知っておきたいのは、頭を打ったときの対応です。
動きが活発になると転倒や転落も起こります。0〜1歳児では大人用ベッドやベビーベッドからの転落による受傷が数多く報告されており、数十センチメートルの高さでも頭蓋骨骨折や頭蓋内損傷のおそれがあるとされています(消費者庁「0~1歳児のベッドからの転落事故に御注意ください!」(令和2年11月13日))。
頭部の打撲については赤ちゃんが頭を打ったときの見方をまとめた記事で詳しく扱っています。
赤ちゃんの絶壁でヘルメット治療が検討される時期と仕組み

ヘルメット治療は、頭の形に合わせて作った装具をかぶることで、成長する方向をゆるやかに導く方法です。平らな部分にすき間を作り、へこんでいるところが伸びる余地を残す、という考え方に基づいています。骨を押して形を変えるものではありません。
この方法が検討できるのは、頭が大きく育つ時期に限られます。開始できる月齢の範囲は使用する装具の種類や医療機関の方針によって異なり、一律の数字で示せるものではありません。
そのため、月齢の目安をご家庭で判断しようとせず、気になり始めた時点で医療機関に確認していただくのが確実です。目安として、赤ちゃんが自分で寝返りをするようになる前、つまり生後6〜7か月未満で90%以上の乳児がねがえりをできるようになる時期(厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」)よりも早い段階で、一度相談しておくことをおすすめします。
適応の判断には、頭の形の計測と、病気による変形ではないかの確認が必要です。装具を使うかどうかは、形の程度、月齢、お子さんの状態、ご家庭の考え方を合わせて決めていきます。
装具を使わずに経過をみる選択も、同じように尊重される選択肢です。まずは頭の形を診ている小児科や脳神経外科で相談し、必要な検査と見通しを聞いてみてください。
受診の際には、装具を使う場合の費用と、装具の作製から終了までにどれくらい通院が必要かを、あわせて医療機関に確認しておくと計画が立てやすくなります。
なお、装具を使う場合は、汗やあせも、皮膚のこすれといった付き合い方の課題も出てきます。
医療機関では、かぶる時間や皮膚の手入れの方法もあわせて説明されます。気になることは遠慮なく担当の医師に確認してくださいね。
赤ちゃんの絶壁で受診を考える目安
頭の形そのもので急いで病院へ行く必要があることは、ほとんどありません。ただし、頭にまつわる症状の中には急を要するものもありますので、緊急度の高いものから順に整理します。
① ためらわず119番通報をする状態
けいれんが続く、呼びかけても反応が鈍い、意識がはっきりしない、呼吸が苦しそうといった様子があるときです。頭を強く打った後にぐったりして顔色が悪い、何度も吐くといった場合も同じです。迷っている時間を優先せず、救急要請をしてください。
② その日のうちに受診を考える状態
頭を打った後で機嫌が戻らない、いつもと違う泣き方が続く、たんこぶが大きく広がっていくといったときです。頭の形とは別に、首がいつも同じ方向にしか向かず、反対を向かせようとすると強く嫌がる場合も、筋性斜頸などの確認のため早めに相談する価値があります。
③ 翌日以降の受診でよい状態
元気で機嫌もよく、飲みや眠りがふだんどおりで、頭の形だけが気になるという場合です。乳幼児健診の機会に相談するか、かかりつけの小児科で日中に時間を取って診てもらうとよいでしょう。頭の形の相談は、まず小児科が入口になります。
④ 判断に迷うとき
夜間や休日に判断がつかないときは、こども医療電話相談「#8000」で小児科医師・看護師に相談できます。お住まいの都道府県の受付時間内であれば、電話で症状への対処の仕方や受診の要否について助言をもらえます(厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」)。
⑤ 日中に病院へ行く時間が取りにくいとき
オンライン診療という選択肢もあります。ただし画面越しでは、頭のつなぎ目を触って確かめることも、画像の検査を行うこともできません。ヘルメット治療の適応判断のように、計測や診察が欠かせない場面は対面での受診が前提になります。オンラインは、受診の要否や家庭での工夫を整理するための相談として使うのが現実的です。なお、相談の結果によっては、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
赤ちゃんの絶壁についてよくある質問【FAQ】
- 赤ちゃんの絶壁は自然に治りますか?
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寝返りやお座りが始まって頭が床に触れる時間が減ると、形が目立ちにくくなるお子さんは多いと考えられます。ただし変化の程度には個人差があり、元どおりになると言い切れるものではありません。気になる状態が続く場合は医療機関で相談してください。
- 何か月まで様子をみてよいのでしょうか?
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はっきりした線引きがあるわけではありませんが、赤ちゃんが自分で寝返りをするようになると、寝かせ方の工夫は届きにくくなっていきます。ねがえりは生後6〜7か月未満で90%以上の乳児ができるとされていますので(厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査 調査結果の概要」)、それより前の、迷っている段階で一度相談しておくほうが、選べる方法が多く残ります。
- うちの子が絶壁かどうか、家庭で確かめられますか?
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赤ちゃんを平らな場所であお向けに寝かせ、真上から見下ろすと左右差や後頭部の平たさがわかりやすくなります。同じ位置から定期的に写真を撮っておくと、変化の有無を比べやすくなります。ただし家庭での見た目は目安であり、程度の判断は診察と計測によります。
- ドーナツ枕を使えば絶壁を防げますか?
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頭の形が整うと断定できる根拠はありません。加えて、寝床に枕やクッションを置くことは、顔が沈み込んで鼻や口がふさがる危険につながります。寝床には何も置かず、体位の工夫と日中のタミータイムで対応するほうが安全です。
- タミータイムはいつから始められますか?
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首がすわる前の時期からでも、赤ちゃんが起きていて機嫌のよいときに短時間から始められます。大人が必ずそばで見守り、眠そうになったらあお向けに戻してください。時間の長さより、毎日少しずつ続けることのほうが大切です。
- 頭の形の相談は何科に行けばよいですか?
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まずはかかりつけの小児科で問題ありません。装具による治療や病気の可能性の検討が必要と判断された場合には、頭の形を専門に診ている小児科や脳神経外科を紹介してもらえます。
【まとめ】赤ちゃんの絶壁とはどう向き合えばよいのか
赤ちゃんの絶壁の多くは、寝る向きのかたよりによって生じる頭の形の変化です。眠るときのあお向けを守りながら、起きている時間の工夫を積み重ねることが基本になります。
- 赤ちゃんの絶壁は後頭部が平らになった状態を指し、多くは病気ではないと考えられます。
- 眠るときはSIDSの発症リスクを下げるため、1歳になるまではあお向けを守り、うつ伏せは大人が見守る覚醒中のタミータイムに限ります。
- ドーナツ枕やクッションは頭の形が治るとは言えず、寝床に置くと窒息につながるおそれがあります。
- 寝返りができる乳児は生後6〜7か月未満で90%以上とされ、それより前のほうが寝かせ方の工夫は届きやすく、相談しておくと選べる方法が多く残ります。
- ヘルメット治療を始められる月齢の範囲は装具の種類や医療機関の方針で異なります。ご家庭で判断せず、寝返りが始まる前に医療機関で適応・費用・通院回数を確認してください。
夜間や休日など病院に行く時間がないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
最終的な判断は医師に相談してください。

