お風呂上がりに赤ちゃんの背中や顔を見て、小さな黒い点に気づいたことはありませんか。
「昨日までなかったのに」「これって病院に行くべき?」と、胸がざわつく親御さんは少なくありません。
この記事では、赤ちゃんのほくろができる時期、自然に薄くなることがあるのか、皮膚科に相談する目安を順番に整理します。
慌てて自己判断せず、まずは落ち着いて読み進めてみてくださいね。
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赤ちゃんのほくろはいつからできる?先天性と後天性の違い

ほくろは医学的に「色素性母斑(しきそせいぼはん)」と呼ばれ、皮膚の色をつくるメラノサイトという細胞が一か所に集まったものです。生まれつきあるものを先天性色素性母斑、生まれたあとに現れるものを後天性色素性母斑と呼び分けます。
日本皮膚科学会は、ほくろには、ヒトの成長の過程で学童期から思春期以降に出現してくるもの(後天性色素性母斑)と、生まれつきあるもの(先天性色素性母斑)とがあり、前者が大多数を占めるとしています。
また、後天性色素性母斑は数mm以下の小型のものが多いとしています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q1 ほくろとはどんなものですか?)。
同学会の説明にしたがえば、ほくろの大多数は学童期から思春期以降に出てくるもので、赤ちゃんの時期にすでにある黒い点については、生まれつきのもの(先天性色素性母斑)である可能性もあわせて考えることになります。
「昨日までなかったのに」と感じても、慌てて自己判断せず、どんな色や形をしているのかを落ち着いて確かめるところから始めましょう。
生まれつきのほくろで押さえておきたいこと
日本皮膚科学会によれば、先天性色素性母斑は後天性のものにくらべて大きさが大きく、形もやや不整であるのが特徴です。
そのうえで同学会は、乳児期にすでに10cmから20cmを超えるような大きさのもの(先天性巨大色素性母斑)については、メラノーマが発生する確率が高いという研究結果があると説明しています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q1)。
乳児期にこの大きさに当てはまるほくろがあるときは、皮膚科や形成外科で継続して診てもらってください。
大きさの判断は見た目だけでは難しく、赤ちゃんの体が小さいうちは実寸以上に大きく見えることもあります。
気になる場合は自分で測って結論を出さず、乳幼児健診の場で医師に見てもらうのが確実です。
乳幼児健診は母子保健法にもとづいて市町村が行うもので、1歳6か月児健診と3歳児健診の実施が義務づけられているほか、3から6か月児健診・9から11か月児健診なども実施されています(こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」)。
赤ちゃんのほくろとまぎらわしい皮膚の変化の違い
赤ちゃんの皮膚に現れる色の変化は、ほくろだけではありません。
青あざや茶色い平たいしみ、赤い盛り上がりなど、見た目が似ていて混同されやすいものがいくつかあります。呼び名が違えば経過も相談先も変わるため、まずは整理しておきましょう。
| 名前 | 見た目の特徴 | 一般的な経過 |
|---|---|---|
| ほくろ(色素性母斑) | 小さく色が均一な茶色〜黒色の点 | ゆっくり数が増えることが多い |
| 蒙古斑(青あざ) | おしりや背中に出る青灰色の広がり | 学童期までに薄くなることが多い |
| 扁平母斑(茶あざ) | 平らで境界のはっきりした薄茶色の面 | 自然には薄くなりにくい |
| 乳児血管腫(赤あざ) | 生後まもなく現れる赤い盛り上がり | 数年かけて色が引くことが多い |
表のとおり、色と形と現れる時期がそれぞれ違います。おしりの青あざ(蒙古斑)は、ほくろとは別のものです。赤い盛り上がりが急に育つように見えるときは、ほくろではなく乳児血管腫のことがあります。
乳児血管腫については、治療法や治療を始める時期・やめる時期が診療ガイドラインで整理されています(血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022(第3版・2023年3月31日発行))。自己判断で様子を見続けず、皮膚科か小児科で相談してください。
なお、新生児期の顔まわりには、ほくろとは無関係の一時的な皮膚トラブルも重なりやすい時期です。赤いポツポツや小さなふくらみが混ざっていると、どれがほくろか見分けづらくなります。

赤ちゃんのほくろは自然になくなる?大きくなるのはなぜ

「そのうち消えますか」というのは、とてもよく聞かれる質問です。
ほくろ(色素性母斑)は、皮膚に良性の母斑細胞が集まってできたものです。自然になくなることは多くありません。
色の薄い平たいものが、皮膚が育つにつれて周囲となじんで目立ちにくくなることはありますが、「消えるのを待つ」という考え方で経過を見るのは適切ではありません。
反対に、ほくろが少しずつ大きくなることもあります。赤ちゃんの体そのものが大きくなるため、見た目の大きさが変わっていくこともあります。
日本皮膚科学会は、後天性色素性母斑は数mm以下の小型のものが多いため、大きさが6mm以上を超えてかつどんどん大きくなる傾向があるものはメラノーマの可能性も考えられ注意が必要だとしています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q1)。
ただし、この6mmという目安は年齢を限定せず一般向けに示されたもので、乳幼児にそのまま当てはまるとは限りません。赤ちゃんの場合は数字だけで判断せず、大きさが変わってきたと感じたら皮膚科で相談してください。
判断のポイントは「大きくなったかどうか」よりも「どのくらいの速さで変わったか」です。
数か月単位のゆるやかな変化と、数週間で目に見えて変わる変化では、意味合いが違います。
だからこそ、家庭での記録が役に立ちます。定規やコインを横に置いて撮った写真が1枚あるだけで、次の受診時に医師へ伝えられる情報が格段に増えますよ。
赤ちゃんのほくろで病院に行く目安を段階で確認
ほくろに気づいたときは、皮膚以外の変化が重なっていないかもあわせて確かめておくと、どこへ連絡すればよいかで迷わずに済みます。次の表で段階ごとに確認しておきましょう。
| 段階 | お子さんの様子 | 連絡先・行き先 |
|---|---|---|
| 救急の対応が必要 | 呼びかけへの反応が弱い、顔色が悪いなど皮膚以外の変化がある | ためらわず119番に通報 |
| 数日以内に相談 | 短期間で大きくなった、色にむらが出た、こすれて出血やじくじくが続く | 皮膚科または小児科を受診 |
| 次の機会でよい | 色も形も落ち着いていて、変化があってもごくゆるやか | 乳幼児健診やかかりつけで相談 |
| 判断に迷う夜間・休日 | 受診すべきか決めかねる | 小児救急電話相談#8000に電話 |
#8000は、休日や夜間にお子さんの症状にどう対処したらよいか、病院の診療を受けたほうがよいかなどの判断に迷ったときに、小児科医師・看護師へ電話で相談できる公的な窓口です。
全国同一の短縮番号「#8000」をプッシュすると、お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送されます。相談できる日時は都道府県によって異なります(こども家庭庁「もしものために」)。
変化を見るときの観察のポイント
日本皮膚科学会は、ほくろやしみについて次の4点をチェックし、2つ以上あてはまるようなら皮膚科専門医の受診をすすめています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q3 どんなほくろやしみに気をつけたらいいのですか?)。
- ほくろ・しみの形が左右対称性でない
- ほくろ・しみの境界がギザギザしている
- ほくろ・しみの色調が均一でなく、濃淡が混じっている
- ほくろ・しみの直径が6mm以上ある
この4点は年齢を限定せず一般向けに示されているもので、乳幼児にそのまま当てはまるとは限りません。赤ちゃんの場合は数字だけで判断せず、皮膚科で相談してください。
あわせて日本皮膚科学会は、後天性色素性母斑は数mm以下の小型のものが多いため、6mm以上を超えてかつどんどん大きくなる傾向があるものは注意が必要だとしています(同Q1)。家庭で診断をつけるためのものではありませんので、医師に伝える情報を整理するきっかけとして使ってください。
悪性黒色腫(メラノーマ)について
ほくろの話題では、悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚のがんの名前を目にすることがあります。
メラノーマは、皮膚のメラニン色素をつくるメラノサイト(色素細胞)ががん化した腫瘍と考えられており、発生しやすい部位や形態によって末端黒子型・表在拡大型・結節型・悪性黒子型の4つのタイプに分けられています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q2 メラノーマとはどんな皮膚がんですか?)。
大切なのは、写真や記事の情報だけで良性か悪性かを判断しようとしないことです。
皮膚科ではダーモスコピーというライトのついた拡大鏡で皮膚表面を拡大して観察し、それでも確定できないときは病変の一部または全部を採取して顕微鏡で調べる生検を行います(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q5 ダーモスコピー検査とは何ですか?)。
ご家庭でできるのは、変化に気づいて医師に伝えるところまでと考えてよいでしょう。
赤ちゃんのほくろによくある誤解とNG行動
不安が大きいテーマだけに、根拠のはっきりしない情報も広がりやすい分野です。よく見かける誤解と、そのときにおすすめしたい行動を並べておきます。
| よくある誤解 | 実際のところ | おすすめの行動 |
|---|---|---|
| 家庭のケアで薄くできる | 家庭でこすったり削ったりすると皮膚が傷つく | 触らず、気になるなら皮膚科で相談する |
| 大きくなったら悪いもの | 体の成長に伴って広がることも多い | 変化の速さを写真で記録して伝える |
| 日焼け止めを塗っていれば長時間日光を浴びても大丈夫 | 日焼け止めは長時間日光にあたるために使うものではない | 時間帯・日陰・帽子・衣類と組み合わせる |
とくに避けたいのは、ばんそうこうやテープでほくろを覆い続けることです。赤ちゃんの皮膚はやわらかく、密閉された状態が続くと蒸れて肌荒れを起こしやすくなります。市販のクリームやパッチのたぐいを自己判断で肌に使うことも、皮膚を傷める原因になりますので控えてください。
ほくろそのものが気になるときや、見た目のことで迷うときも、家庭で何かを試すのではなく、皮膚科で直接相談してください。医師に見てもらったうえで、どうするかを考えていくのが安全です。
赤ちゃんの肌を紫外線から守るために家庭でできること
環境省は、紫外線の浴びすぎを防ぐ対策として、①紫外線の強い時間帯を避ける、②日陰を利用する、③日傘を使う・帽子をかぶる、④衣服で覆う、⑤サングラスをかける、⑥日焼け止めを上手に使う、の6つを挙げています(環境省『紫外線環境保健マニュアル2020』2020年3月改訂版)。
日焼け止めや日よけでほくろの数そのものを減らせるかどうかは確かめられていませんが、赤ちゃんは大人と比べて皮膚が薄く紫外線による悪影響を受けやすいため、日差しを避ける習慣そのものには意味があります。
同マニュアルのコラム「赤ちゃんと紫外線」では、赤ちゃんの外出について次のように示されています。
- 日差しの強い9時から15時ごろを避け、朝夕の涼しい時間帯に外出する
- 薄い長袖を着せ、帽子やベビーカーの日よけを利用する
- 乳児(1歳未満)の場合は、紫外線の強い時間帯には外へ出さない、覆いをするなどの工夫をすれば、日焼け止めを使わなくてもよいとされている
日焼け止めを使う場合について、日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会は、集団生活での紫外線対策としては「SPF15以上」「PA++〜+++」を目安とし、「無香料」「無着色」の表示があるものが推奨されるとしています(日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会「保育所・幼稚園での集団生活における紫外線対策について」令和7年5月)。
むやみにSPFの高いものを使う必要はなく、帰宅後はその日のうちに洗い落としましょう。
入浴のときは、ほくろを強くこすらないことが基本です。泡でやさしく包むように洗い、洗い終わったら保湿をして乾燥を防ぎます。乾燥してかゆみが出ると、赤ちゃんが無意識にかいてほくろを傷つけてしまうことがあるためです。

オンライン診療で相談できることとできないこと
「受診したほうがよいのか」を決めかねているとき、画面越しに医師へ相談するという選択肢があります。皮膚の変化は言葉だけで伝えるのが難しいため、写真や動画を見てもらいながら話せることは、判断材料を増やすうえで役立ちます。
一方で、できないこともはっきりしています。画面越しでは拡大鏡(ダーモスコピー)を当てて表面の細かな構造を見ることができず、組織を採って調べる検査も行えません。触って硬さを確かめることもできないため、良性か悪性かを画面だけで確定させることはできない、という前提を共有しておく必要があります。
そのため、オンラインでのやり取りは「対面の皮膚科を受診すべきかどうかを整理する場」として使うのが現実的です。医師の判断によりお薬を処方できない場合もありますし、対面での診察が必要と判断されれば、その旨を案内されます。急ぐ状況かどうかの見立てを一緒に立ててもらえるだけでも、次の一歩が決めやすくなりますよ。
赤ちゃんのほくろに関するよくある質問【FAQ】
- 赤ちゃんのほくろはいつからできますか?
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生まれつきあるもの(先天性色素性母斑)と、成長の過程で出現してくるもの(後天性色素性母斑)があります。日本皮膚科学会は、後天性のものは学童期から思春期以降に出現してくるとしたうえで、こちらが大多数を占めると説明しています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)」Q1)。
- ほくろが自然になくなることはありますか?
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ほくろ(色素性母斑)そのものが自然になくなることは多くありません。色の薄い平たいものが皮膚の成長にともなって目立ちにくくなることはありますが、消えるかどうかを気にするよりも、変化の速さに目を向けるほうが役に立ちます。
- 顔にできたほくろはどうすればよいですか?
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顔は目につきやすいぶん気になりやすい部位ですが、ご家庭でできるのは、色や形や大きさの変化を記録して医師に伝えるところまでです。短期間で変わってきたと感じるときは皮膚科か小児科で相談してください。変化がなくても気になるときは、自己判断せず皮膚科で説明を受けると安心です。
- 親にほくろが多いと赤ちゃんにも多くなりますか?
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体質や生活環境が関係するかどうかを、この記事で示せる根拠はありません。気になるときは皮膚科で相談してください。なお、紫外線対策そのものは、日やけによる皮膚への影響を防ぐうえで役立ちます。
- ほくろが服にこすれて出血したときはどうすればよいですか?
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まずは清潔なガーゼでしっかり押さえ、こすらないようにしてください。押さえる時間の目安は傷の状態によって変わるため、この記事では分数を示していません。しばらくしっかり押さえても血が止まらないとき、出血を繰り返すとき、傷が深そうなときは、その日のうちに皮膚科か小児科を受診してください。血が止まったあとも同じ場所が繰り返し傷つくようであれば、位置や衣類の見直しも含めて皮膚科で相談しましょう。判断に迷う夜間や休日は#8000に電話するという方法もあります。
【まとめ】先天性と後天性に分かれ、後天性は生後数か月ごろから増える
赤ちゃんのほくろは、生まれつきのもの(先天性色素性母斑)と、成長の過程で出現してくるもの(後天性色素性母斑)に分かれます。判断のポイントは大きさそのものよりも変化の速さで、記録を残して医師に伝えることが家庭でできる一番の役割です。
- ほくろは先天性と後天性に分かれ、後天性は学童期から思春期以降に出現してくるものが大多数を占める
- ほくろそのものが自然になくなることは多くなく、目立ちにくくなることはある
- 短期間で大きさや色が変わったときは皮膚科か小児科で相談する
- 乳児期に10cmから20cmを超えるような大きさのほくろは、皮膚科・形成外科で継続して診てもらう
- 時間帯・日陰・帽子・衣類を組み合わせた紫外線対策を毎日の習慣にする
- 家庭で良性か悪性かを判断しようとせず、写真の記録を医師に渡す
夜間や休日など病院に行く時間がないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。気になる症状があるときは自己判断せず、医師に相談してください。
最終的な判断は医師に相談してください。

