夜になって子どもの熱が上がり、引き出しに買い置きしたインフルエンザの検査キットがある。箱の裏を読んでも「医療機関を受診してください」としか書いていなくて、今これを使っていいのかが分からない。そんな夜がありますよね。
- キットを使う時刻の目安は、熱が上がり始めた時刻から数えます。発症してすぐは、インフルエンザにかかっていても陰性と出やすいことが国の通知に明記されています。
- 小学生以下の子どもに熱があるなら、陰性でも受診する前提です。冒頭の「まず確認」に挙げたサインがあれば朝を待たずに119番を呼び、迷うときは♯8000・♯7119に相談します。
- 陽性でも、園を休む判断や薬の判断をするのは医師です。キットは、医師に渡す材料という位置づけになります。
- 手元のキットの箱に「第1類医薬品」か「体外診断用医薬品」の表示があるかを見てください。どちらも、国が承認した検査薬であることを示す表示です。「研究用」とだけ書かれたものは国の承認を受けていません。
急いでいる場合は、目次から「陰性だったとき・陽性だったときの動き方」へ進んでください。
本記事の編集方針について
あんよマガジンは、編集方針に基づき、公的機関の発表資料や学会ガイドライン等の一次情報を確認したうえで記事を制作しています。
※本記事には、当社が運営する小児科オンライン診療「あんよ」のサービス紹介(広告)を含みます。
本記事は、疾患や症状に関する一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。また、特定の医薬品・医療機器・治療法の効果を保証・推奨するものでもありません。気になる症状やご不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。
なお、本記事の内容は公開時点の情報に基づいており、最新の医学的知見や制度改正により変わる場合があります。
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まず確認|キットより先に119番・受診が必要なサイン
キットを開ける前に、子どもの様子を見てください。次のような状態のときは、判定を待つ場面ではありません。総務省消防庁が救急車利用リーフレット(こども版)[1]で挙げているのは、こうした状態です。
- 意識がない、返事がない、もうろうとしている
- けいれんが止まらない。けいれんが止まっても意識が戻らない
- くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い
- 激しい咳やゼーゼーで呼吸が苦しそう、呼吸が弱い
- 激しい下痢や嘔吐で水分がとれず、意識がはっきりしない
- 生後3か月未満の乳児で、様子がおかしい
同リーフレットは最後に「その他、お母さんやお父さんから見て、いつもと違う場合、様子がおかしい場合」も挙げています。119番を呼ぶか判断に迷ったときは、電話相談窓口(♯8000・♯7119)に相談するよう、というのが同リーフレットの案内です。
インフルエンザで特に気をつける意識障害・けいれん・異常な言動
厚生労働省のインフルエンザ脳症研究班がまとめたインフルエンザ脳症ガイドライン【改訂版】[2](平成21年9月)は、インフルエンザ関連脳症の主な初発神経症状として意識障害・けいれん・異常言動および異常行動を挙げ、なかでも意識障害を「最も重要なもの」と位置づけています。
異常な言動について、厚生労働省の令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A[3](令和7年12月19日版)は、突然立ち上がって部屋から出ようとする、興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする、といった例を示しています。「少なくとも発熱から2日間は、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じて下さい」という一文も、同Q&Aの記載です。
判断に迷ったときの電話相談
救急車を呼ぶほどではない気がする。でも朝まで待っていいのかは分からない。その中間のための窓口が用意されています。
厚生労働省の子ども医療電話相談事業(♯8000)[4]は、休日・夜間に子どもの症状へどう対処するか、受診したほうがよいかに迷ったとき、小児科医師や看護師に電話で相談できる仕組みです。全国共通の♯8000を押すと、住んでいる都道府県の窓口へ自動転送されます。受付時間は都道府県ごとに違うため、厚生労働省の都道府県別一覧で今夜の受付時間を確かめてください。
もう1つの番号として、総務省消防庁の救急安心センター事業(♯7119)[5]があります。救急車を呼んだほうがいいのか、今すぐ病院に行ったほうがいいのかに迷ったとき、医師・看護師・救急救命士に電話で相談できる窓口です。
子どもの症状への対処を聞くなら♯8000、救急車を呼ぶかどうかを聞くなら♯7119、という使い分けになります。ただし♯7119を実施していない地域や、15歳未満の相談を♯8000へ案内している地域もある点には注意が必要です。
インフルエンザ検査キットはいつ使う?検査タイミングは発症からの時間で見る
キットを使う時刻は、熱が上がり始めた時刻から数えて決めます。発症してすぐは、かかっていても陰性と出やすいためです。

「発症」は熱が上がり始めた時刻のこと
こども家庭庁の保育所における感染症対策ガイドライン[6]は、出席停止期間の数え方の説明のなかで、インフルエンザの「発症」について「一般的には『発熱』のことを指します」と書いています。
夜9時40分に熱が上がり始めたなら、そこが起点です。園から連絡をもらった時刻でも、病院にかかった時刻でもありません。解熱剤を使った時刻をメモしている場合も、起点は解熱剤を使った時刻ではなく、その前に熱が上がり始めた時刻のほうです。
発症してすぐに使うと、陰性になりやすい
キットが調べているのは、ウイルスの抗原(ウイルスのからだを作るたんぱく質)が鼻の中にあるかどうかです。
国の資料は、発症してすぐの検査について次のように書いています。
- 厚生労働省の販売時における留意事項についての事務連絡[7](令和4年12月9日。国立感染症研究所のインフルエンザ診断マニュアルを引用):「インフルエンザウイルス感染は、発症後早期はウイルス量が少なく偽陰性になる可能性が比較的高い」
- 国が示した一般用検査薬の添付文書例[8](厚生労働省 薬生機審発1129第1号・令和4年11月29日の別紙2):「特にインフルエンザは、発病初期はウイルス量が少なくウイルス抗原を検出できない場合があることが知られています」
偽陰性とは、本当はインフルエンザにかかっているのに、検査では陰性と出ることです。
理由は精度の良し悪しではありません。鼻の中にいるウイルスの量が、検査で捕まえられる量にまだ達していない、ということです。
医療機関で行う迅速抗原検査(鼻から採った検体で、その場で抗原を調べる検査)を対象にした国内の単一施設の観察研究(2021年)では、インフルエンザにかかっていた人のうち検査で陽性と出た割合が、発症からの時間で次のように変わっていました[9]。
- 発症から12時間未満:38.9%
- 12〜24時間:40.5%
- 24〜48時間:65.2%
- 48時間以降:69.6%
日本臨床検査専門医会の解説も、インフルエンザでは症状が始まってから24時間以内だと抗原検査が陽性にならないことがある、としています[10]。
同じ研究で、48時間以降の陽性の割合は24〜48時間と比べて下がっていませんでした。48時間という区切りが関係するのは、検査ではなく、薬を飲み始める時期のほうです。
発症から何時間後に使うか|今が何時なら、次はいつか
発症時刻から数えて、おおまかに次のように考えられます。この目安で決まるのはキットを使う時刻だけで、受診は前提です。子どもの様子で決まるのは受診を急ぐかどうか(朝を待たずに今夜相談・受診するか)で、診断と薬は医師が決めます。
| 発症からの経過 | キットを使うのに向くか | この時間にやっておくこと |
|---|---|---|
| 0〜24時間 | 向きません。ウイルス量が少なく、かかっていても陰性と出やすい時間帯です | 熱が上がり始めた時刻を記録する。意識・呼吸・水分を見る |
| 24〜48時間 | 上の研究では、陽性と出る割合が上がっていた時間帯です | 検査するなら時刻も一緒に記録し、判定部分の写真を撮っておく |
| 48時間より後 | 使えます。ただし抗インフルエンザ薬は、添付文書上は発症から48時間以内に飲み始める薬です | 医師に経過(発症からの時間)を伝える |
どの時間帯に測っても、小学生以下の子どもに熱があれば、陰性でも受診する前提です。
夜9時40分に熱が出た子であれば、翌朝の時点でようやく12時間ほどで、まだ陰性と出やすい時間帯です。深夜に起こして急いで測る必要はありません。朝の機嫌のいいうちに測る場合も、まだ陰性と出やすい時間帯なので、結果が陰性でもそのまま受診につなげてください。
病院やクリニックで検査を受ける場合にいつ行けばよいかは、インフルエンザ検査はいつ受けるのが正解?で扱っています。朝いちで受診するか、少し待ってから行くかを決めるときは、そちらを参照してください。
キットの使い方と、子どもに使うときの実際
説明書は、使う人が自分で自分の鼻から検体を採ることを前提に書かれています。4歳の子に使う場面は、そこには書かれていません。
使う前に箱を確認|第1類医薬品か体外診断用医薬品か
箱を開ける前に、外箱の表示を見てください。厚生労働省の新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報のページ[11](令和7年2月20日更新。インフルエンザも同時に調べるキットも掲載)は「新型コロナの検査キットは『研究用』ではなく国が承認した『体外診断用医薬品』又は『第1類医薬品』を選びましょう!」「『第1類医薬品』の表示が目印です」と案内しています。
- 第1類医薬品:薬剤師が説明して販売する薬として、国の承認を受けたもの。使える(使う時刻は前の章の目安で決める)
- 体外診断用医薬品:病気の検査に使う薬として、国が性能を審査し承認したもの。使える(使う時刻は前の章の目安で決める)
- 研究用:国の承認を受けておらず、性能が確かめられていない。使えない(使う時刻にかかわらず使わない)
箱に「研究用」としか書かれていなければ、そのキットは使わずに、熱が上がり始めた時刻を記録して受診の材料にしてください。
表示を確かめたら、使用期限も見ます。前掲の添付文書例は、使用期限の過ぎたものは使用しないこと、使用直前に開封することを挙げています。使用期限が書かれている場所は外箱です。保管温度の範囲は製品ごとに違い、説明書の保管の注意に書かれています。確認した範囲の製品説明書には、冷えた場所に置いていた場合は室温に戻してから使う、という指示のある製品もありました。
鼻腔から綿棒で検体を採る
医療機関で行う検査のなかには、鼻の奥の鼻咽頭から採るものがあります。市販のキットが採るのは、そこまで入らない鼻腔(鼻の入口に近い部分)です。
国が示した添付文書例と、確認した範囲の製品説明書には、鼻の穴から綿棒を約2cm挿入し、鼻の内壁に沿わせて数回転させて数秒静置し、引き抜いたあとに綿棒が十分に湿っていることを確認する、という手順が書かれています。回転数と静置の秒数は製品ごとに決められているため、手元の説明書の数字に従ってください。
浅く入れてすぐ抜くと、綿棒が湿りません。添付文書例は「採取方法、採取部位が異なると、正しい結果が得られないことがあります」と書いています。採り方に自信がないまま陰性が出たときは、その陰性を「かかっていない」根拠にせず、受診のときに採り方も医師に伝えてください。
採った綿棒は、付属のチューブに入った抽出液(綿棒に付いた検体を溶かし出すための液)にすぐ浸して回し、綿棒を取り出します。そのチューブから決められた滴数を本体の滴下部に落とし、製品ごとに決められた時間を置くと判定窓に線が出る、という流れです。
線の出方を読む
判定窓に出る線の配置と記号は、製品によって違います。国が示した判定の例では、判定窓に2種類の線があります。1つはコントロールライン(例示では「C」と書かれた線)で、もう1つはウイルスの種類ごとの判定ライン(例示では新型コロナが「S」、インフルエンザA型が「A」、B型が「B」)です。手元の説明書で、どの記号がどの線かを先に確かめてください。
国の例示では、線の出方を次のように読みます。
- Cの線と、判定ラインのどれかが出ている:その判定ラインのウイルスが陽性(Aの線ならインフルエンザA型、Bの線ならB型)
- Cの線だけが出て、判定ラインが1本も出ていない:陰性
- Cの線が出ていない(判定ラインが出ていても):無効。「新しい検査キットを用いて、もう一度、検査を行ってください」とされています
- 線が薄くて陽性か陰性か決めきれない:添付文書例の判定に関する注意は「陽性であった場合と同様に適切に医療機関の受診等を行ってください」としています
つまり線が1本だけのときは、それがCの線なら陰性、C以外の線なら無効です。読み取れない結果を陰性の側に寄せて考えない、ということです。
検査が終わったら、片づけまでが手順に入っています。前掲の添付文書例が挙げている注意は次の2つです。
- 使用後の綿棒などは感染性を有するおそれがあるため、ごみ袋に入れてしっかりしばって封をする
- 抽出液には防腐剤(アジ化ナトリウムなど)が入っているため、皮膚に付いたり、誤って目や口に入ったりしたときは水で十分に洗い流す
子どもが手を伸ばす場所に抽出液を置いたまま判定を待たない、ということになります。
寝ている子を起こしてまで使うべきか
ここは多くの保護者が迷うところです。確認した範囲の資料(厚生労働省の事務連絡、国の添付文書例、市販キット3製品の添付文書・説明書)には、この問いへ直接答えた記載は見当たりませんでした。
判断の材料になるのは2つです。1つは、前の章で見たとおり、発症してすぐの時間帯はもともと陰性と出やすいこと。もう1つは、説明書と国の事務連絡が求めているのが、症状が出てからキットを使うまでの時間を記録しておくことであって、夜間に急いで検査することではない、という点です。
呼吸が苦しそうな様子がなく眠れているなら、検査のために起こすよう求める記載は上の資料にありません。起きてから測り、発症時刻と測った時刻を記録すれば足ります。逆に、ずっとうとうとしている、揺すっても反応が薄いという状態は、眠っているのとは違います。その場合は検査より先に、意識の状態を見る場面です。
泣く・暴れるとき、そして「今回は使わない」という選び方
確認した範囲の製品説明書には、子どもが暴れる場合の押さえ方に関する記載はありませんでした。書かれていたのは、鼻血が出たときの扱いです。綿棒に鼻血が付いた場合はその綿棒で検査をしない、という注意のある製品がありました。血液が検査結果に影響を及ぼすおそれがあるという注意は、複数の製品に書かれています。
無理に押さえつけて鼻血が出れば、その検体は使えません。子どもは次から鼻を触らせてくれなくなります。うまくいかなかったときに失うものが、思ったより大きいのがこの検査です。
使わずに受診する、という選択が最初からあります。キットは受診を省くための道具ではなく、受診のときに医師へ渡す材料だからです。
無理そうなら測らずに連れていく。キットの結果は受診の条件ではないため、結果がなくても受診できます。そのときは、熱が上がり始めた時刻と子どもの様子を伝えてください。判断に迷う段階で、測るかどうかを含めて医師に相談することもできます。
市販キットと病院の検査の違い|小学生以下は結果によらず受診・費用
市販のキットが返してくるのは、抗原が検出されたかどうかという1つの情報です。診断ではありません。国が示した添付文書例には「検査結果から自分で病気の診断をすることはできません」とはっきり書かれています。
検査の種類を並べて比べる
スマホで右の列が切れて見えるときは、表を横にスクロールすると読めます。
| 検査の種類 | 検体 | どこで受けるか | 向いている場面と限界 |
|---|---|---|---|
| 市販の抗原検査 | 鼻腔のぬぐい液(自分で採る) | 自宅 | 受診前の材料になる。発症してすぐは陰性と出やすい |
| 医療機関の迅速抗原検査 | 鼻腔・鼻咽頭のぬぐい液など | 医療機関 | その場で結果が出る。医師が症状とあわせて判断する |
| PCR検査 | 鼻腔・鼻咽頭のぬぐい液など | 医療機関 | 遺伝子を増やして調べる。専用の機器が要り、自分で行う検査には使われない。抗原検査より少ないウイルス量でも検出できる |
| 抗体検査 | 血液(期間をあけて2回採る) | 医療機関 | 2回の抗体の量を比べて、あとから診断を確かめる方法。今夜の判断に使う検査ではない |
抗原検査とPCR検査の違いは日本臨床検査専門医会の解説(2025年10月)に、2回採った血液で抗体の量を比べる方法(ペア血清)が診断を確かめる方法の一つであることは前掲のインフルエンザ脳症ガイドライン(平成21年9月)に書かれています。
市販のキットと医療機関の迅速抗原検査は、どちらも抗原を調べる同じ仕組みの検査です。違うのは、市販のキットは自宅で保護者が鼻の入口から採り、医療機関では医師や看護師が採って、医師が症状とあわせて結果を読む点です。自分で採る分、受診のときに時刻と採り方を伝えることが大事になります。
小学生以下の子どもは、結果によらず受診が求められています
そもそも、このキットは子どもを主な使い手として売られていません。前掲の事務連絡(令和4年12月9日)は、一般用の同時検査のキット(インフルエンザと新型コロナを1回で調べるキット)を、重症化リスクの高い人や小学生以下の子ども以外の人がセルフチェックとして使うもの、と位置づけました。そのうえで、小学生以下の子どもが発熱などの症状を生じた場合は、キットの結果によらず医療機関等を受診すること、と明記しています。
この通知は、同時検査で調べる2つの感染症が同じ時期に流行した場合に備えて、販売時の注意点をまとめたものです。小学生以下の子どもに熱などの症状があるなら、今夜のキットの結果が陽性でも陰性でも、医療機関を受診する前提で動いてください。
費用の目安
市販のキットは自分で買うものなので、健康保険は使えません。厚生労働省の承認情報のページ(前掲)に載っている市販のキットのうち、インフルエンザを調べられるのは、インフルエンザと新型コロナを1回で調べる同時検査のキット(第1類医薬品)です。価格は製品と販売店によって幅があり、1回分でおおむね1,700〜2,800円です(2026年9月時点・ドラッグストアやメーカーの公式通販の1回用の表示価格、税込)。
医療機関で受ける検査は、保険診療の中で行われます。窓口で払う額は、加入している保険と、住んでいる自治体の子ども医療費助成の内容で変わるため、一律には言えません。助成の範囲は自治体ごとに違うので、お住まいの窓口で確認してください。
陰性だったとき・陽性だったときの動き方
判定部分に線が出ました。陽性でも陰性でも、次に何をするかで迷うのはこの場面です。

考え方の芯は1つです。キットは判断の材料で、決めるのは医師。役割が分かれています。下の表も、右の列は横にスクロールすると読めます。
| 結果 | まず何をするか | 決めるのは誰か | どこへ連絡するか |
|---|---|---|---|
| 陽性 | 医療機関を受診する。時刻と判定部分の写真を持っていく | 診断と治療は医師 | 医療機関。園への連絡は診断がついてから |
| 陰性 | 小学生以下の子どもに熱などの症状があれば、結果によらず受診する | 診断と治療は医師 | 医療機関。受診を急ぐか迷うなら♯8000 |
| 線が薄くて判断がつかない | 陽性だった場合と同じ扱いで受診する | 同上 | 同上 |
陰性だったとき
陰性と出て、かえって不安になることもあるでしょう。何のために測ったのか分からなくなる、という感覚は自然なものです。
国が示した判定文言の例は、陰性の場合の説明を「いずれも検出されませんでした。偽陰性(過って陰性と判定されること)の可能性も考慮し、適切に医療機関の受診等を行ってください」としています。つまり陰性でも、受診する前提は変わりません。受診するまでの間は、熱が続くか、呼吸が苦しそうか、意識がはっきりしているか、水分がとれているかを見ていきます。
厚生労働省のARI総合対策Q&Aは「高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう」としています。
朝を待たずに119番を呼ぶか、今夜のうちに相談する目安は、記事冒頭の「まず確認」に挙げた様子です。熱が下がらない経過が気になるときは、インフルエンザの熱が下がらないときに考えることもあわせて読んでみてください。
陽性だったとき
陽性が出ても、それで診断が確定したわけではありません。園を休む手続きも、薬の判断も、診察した医師が行います。
抗インフルエンザウイルス薬(抗インフルエンザ薬)については、飲み始める時期に関する記載があります。
- 抗インフルエンザ薬のひとつ、オセルタミビルの添付文書[12]:「インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること。症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。」
- 日本小児科学会の2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針[13]:発症後48時間以内の使用を原則としつつ、重症化のリスクが高く症状が長引く場合は48時間を過ぎていても投与を考慮する
処方するかどうかは、診察した医師が症状や経過をみて判断します。薬が出るとは限りません。
薬を飲み始めたあとの注意点もあります。同学会の指針によると、すべての抗インフルエンザ薬の添付文書には、重要な基本的注意として「抗インフルエンザウイルス薬の服薬の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。」と追記されています。薬の副作用というより、インフルエンザそのものに伴って起こりうる症状という整理です。前述のとおり、厚生労働省は少なくとも発熱から2日間、転落などの事故防止策をとるよう求めています。具体策の例は次のとおりです。
- 玄関とすべての部屋の窓を確実に施錠する(内鍵や補助錠があれば使う)
- ベランダに面していない部屋で寝かせる
- 一戸建てなら、できる限り1階で寝かせる
園や学校を休む期間には、決まった数え方があります。
- 休む期間:学校保健安全法施行規則第19条は「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで」と定めています[14]。保育所については、こども家庭庁のガイドラインが、この基準に準じて登園のめやすを確認しておくよう求めています
- 日数の起点:こども家庭庁のガイドラインは、発熱が始まった日と解熱した日は数えず、翌日を1日目とする、と説明しています
詳しい日数の数え方と登園再開の手続きは、インフルエンザは何日で治る?登園・登校の決まりにまとめました。
園へ「インフルエンザで休みます」と伝える前提になる診断は、医師が行います。市販のキットの結果だけで出席停止の手続きが進むわけではないため、書類が要るかどうかは在籍先に確認してください。
判定が読み取れないときと、受診のときに伝える3点
コントロールラインが出ていない場合は無効なので、新しいキットで測り直します。線が薄くて判断がつかない場合は、前述のとおり陽性と同じ扱いで受診します。
手元のキットが1つだけで無効が出た場合、今夜は測り直せません。無効だったこと、使った時刻、判定部分の写真を控えて、そのまま受診のときに伝えてください。
キットを使ったなら、受診時に渡す情報は決まっています。前掲の事務連絡と製品の手引きが挙げているのは次の3点です。
- 症状が出た時刻
- キットを使った時刻
- 判定部分の写真
事務連絡は、キットの結果をオンライン診療などに活用する場合にも、症状発現から検査までの時間を記録し、判定結果を撮影しておくよう書いています。深夜にメモを1行書いておけば、朝の診察で、発症から何時間たって測った結果なのかを医師に正確に伝えられます。
オンライン診療でできること・できないこと
先に、できることです。あんよは子どもを対象にした小児科のオンライン診療サービスで、6時から23時まで、LINEから予約して提携医療機関の医師に相談できます。
一方で、できないこともあります。オンライン診療は、映像と音声のやりとりによる診療です。厚生労働省のオンライン診療の適切な実施に関する指針[15]は、触診等を行うことができず、得られる情報が視覚と聴覚に限られることを明記しています。
したがって、鼻から検体を採る抗原検査そのものを、オンラインで行うことはできません。どのオンライン診療サービスを使う場合も同じです。
- オンラインでできること:問診と視診、家庭で行ったキットの結果と時刻を医師に伝えること
- オンラインではできないこと:触診、検体採取を伴う抗原検査そのもの
薬についても、確実に処方されると約束できるものではありません。日本医学会連合はオンライン診療の初診に関する提言[16](2022年11月24日版)で、抗ウイルス薬を「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」に挙げています。一律に処方できないという意味ではなく、医師が個別に判断するという整理です。
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、オンライン診療が適切でないと判断した場合は速やかに対面診療につなぐこと、緊急性が高い症状の場合は速やかに対面受診を促すことも定めています。
インフルエンザの検査キットについてよくある質問【FAQ】
- 唾液で検査できるキットはありますか。
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- 厚生労働省の承認情報のページ(令和7年2月20日更新)に載っている、インフルエンザも調べられる一般用キットの検体は、いずれも鼻腔のぬぐい液です。唾液で行う検査について一般向けの説明を見かけることがありますが、手元の製品で何を検体にするかは説明書に書かれています。
- 添付文書例は「採取方法、採取部位が異なると、正しい結果が得られないことがあります」としており、説明書にない方法で採った結果は判断の材料になりません。
- 鼻の検査は痛いですか。子どもでも大丈夫でしょうか。
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- 市販のキットが採るのは鼻の入口から約2cmの範囲で、医療機関で鼻の奥から採る場合とは深さが違います。それでも、じっとしていられない年齢の子にとっては不快な処置です。
- 無理に進めて鼻血が出ると、その検体は使えなくなります。
- 嫌がって難しいときは無理に進めず、測らずに受診して構いません。キットは受診を省くための道具ではないためです。
- キットの結果を、園に出す証明として使えますか。
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- 使えません。前掲の事務連絡は、陰性証明として用いることはできないことを、薬剤師が説明すべき事項として挙げています。
- 園や学校へ出す書類が必要かどうかは在籍先に確認し、書類は診察した医師が書きます。
- 陰性だったので、朝まで様子を見てもいいでしょうか。
-
- 小学生以下の子どもに熱があるなら、陰性でも受診する前提です。記事冒頭の「まず確認」に挙げたサインがあれば、朝を待たずに119番を呼んでください。迷うときは♯8000・♯7119に相談できます。
- 急ぐかどうか判断に迷う場合は♯8000で相談できます。
- 新型コロナとの同時検査で、両方とも陰性でした。
-
- 前掲の事務連絡は、両方陰性の場合について、偽陰性の可能性のほか、他の感染症にかかっているおそれもあるため、症状に応じて適切に医療機関の受診等を検討するよう示しています。2つ陰性が出たことは、2つ分の安心にはなりません。
- 小学生以下の子どもに熱があるなら、この場合も受診する前提は同じです。
- 市販のインフルエンザ検査キットは、薬局やドラッグストアのどこで買えますか。
-
- 薬局・ドラッグストアのほか、インターネットでも購入できます。市販のキットは第1類医薬品なので、薬剤師が説明したうえでの販売です。
- 前掲の事務連絡は、薬剤師が説明すべき内容として、小学生以下の子どもや症状が重い場合は結果によらず医療機関を受診すること、どちらの判定結果にも偽陰性の可能性があること、陰性証明としては使えないことなどを挙げています。ネット販売では、説明事項ごとの個別のチェックボックスを設けるなどして理解を確認するよう求めています。
- 箱に「研究用」と書かれたキットは、なぜ使わないのですか。
-
- 国が性能を承認していないためです。消費者庁の抗原定性検査キットに関する注意喚起[17](2021年10月13日公開・2022年9月9日リーフレット改訂)も、新型コロナの抗原定性検査キットについて、国が承認した体外診断用医薬品を選ぶよう呼びかけています。
- 厚生労働省は、「研究用」と表示されていても実態として診断目的で売られているキットが、医薬品を規制する国の法律(薬機法)の上で体外診断用医薬品に当たるかどうかの判断基準を、ガイドライン[18](医薬監麻発0331第1号・令和8年3月31日)で示しました。当たると判断されたキットは、承認を受けていない医薬品として取締りの対象になります。
朝いちばんに誰へ相談するかを夜のうちに決めておくと、朝の動き出しが軽くなります。キットを使うかどうかそのものを、医師への相談の議題にして構いません。
小児科のオンライン診療「あんよ」が役に立つのは、次のような場面です。
- 熱はあるものの、冒頭の「まず確認」に挙げたサインはなく、朝まで家で様子を見られそう
- キットを今使うか、出た結果をどう受け取るかを、朝の早い時間に医師へ聞きたい
- 熱が上がり始めた時刻・キットを使った時刻・判定部分の写真を控えてあり、医師に伝えたい
冒頭の「まず確認」に挙げたサインがあるときは、オンライン診療を待たずに119番、迷う段階なら♯8000・♯7119へ。鼻から検体を採る検査を受けたいときも、医療機関での受診が必要です。
明日の朝いちで動けるようにしておきたい、測るかどうかを含めて一度相談したい。そう感じたときは、小児科オンライン診療サービスあんよへ相談を検討してみてはいかがでしょうか。
- 診療時間は6時から23時まで。朝6時から、家にいながら提携医療機関の医師に相談できます
- 予約はLINEから。友だち追加をすると、LINEの画面のまま診察の予約へ進めます
- 相談内容に特段のルールはないため、「このキットを今使うべきか」という聞き方でも構いません
- 診察の結果、提携医療機関の医師が必要と判断すれば、お薬の処方も受けられます。ただし、医師の判断により処方できない場合もあります
- あんよを使うこと自体に、サービスの利用料はかかりません。かかるのは診察を受けた場合の診療料と、薬が処方された場合の薬代で、通常の小児科と同じように健康保険が使えます
子ども医療費助成が使えるかどうかは、お住まいの地域によって違います。あんよの対応地域は順次広がっているため、自己負担額とあわせて、あんよの案内と自治体の窓口で確認してください。
オンラインで検査そのものはできない、という点は前の章で見たとおりです。そのぶん、手元の時刻と写真が医師への材料になります。診察の中で対面での診察が必要と医師が判断した場合は、前述の国の指針のとおり、対面の受診へつなぐことになります。
登録だけ今のうちにすませて、相談は朝にする。そういう使い方ができます。
【まとめ】インフルエンザの検査キットは材料、決めるのは医師です
- キットを開ける前に、意識・けいれん・呼吸・顔色を見てください。当てはまるものがあれば119番です。迷う段階なら♯8000と♯7119があります。
- 時刻の起点は、熱が上がり始めた時刻です。発症してすぐはウイルス量が少なく、かかっていても陰性と出やすいことが国の通知に書かれています。
- 手元のキットの箱に「第1類医薬品」か「体外診断用医薬品」の表示があるかを見ます。「研究用」は国の承認を受けたものではありません。
- 検体は鼻腔から約2cm。綿棒が十分に湿るまで説明書どおりに採れていないと、正しい結果が出ないこともあります。無理そうなら、測らずに受診するのも1つの選び方です。
- 小学生以下の子どもに熱があるなら、陰性でも受診します。国の通知が、結果によらず受診するという位置づけを示しているためです。冒頭の「まず確認」に挙げたサインがあれば、朝を待たずに119番を呼び、迷うときは♯8000・♯7119に相談してください。
- 受診のときに伝えるのは、症状が出た時刻・検査した時刻・判定部分の写真の3点です。
- オンライン診療では検体を採る検査そのものはできません。できるのは、問診と視診、そして手元の結果を医師に伝えることです。
今夜のうちにできるのは、熱が上がった時刻を書き留めておくことと、朝どこに連絡するかを決めておくことです。測るのは、明日の朝でも遅くありません。
最終更新:2026年9月30日
参考文献
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- 総務省消防庁「救急車利用リーフレット(こども版)」(PDF本体に発行日の記載なし。掲載ページ https://www.fdma.go.jp/publication/portal/post9.html に「平成26年度に作成した「子供版」「成人版」」とある・確認日2026年9月23日)|https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal009_kodomo2.pdf ↩
- 厚生労働省インフルエンザ脳症研究班「インフルエンザ脳症ガイドライン【改訂版】」(平成21年9月)|https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/09/dl/info0925-01.pdf ↩
- 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(令和7年12月19日版)|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html ↩
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」 https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/8000.html /都道府県別実施時間|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/newpage_55223.html ↩
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)」(確認日2026年9月23日)|https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html ↩
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版・2023年10月一部修正)|https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/ ↩
- 厚生労働省 事務連絡「一般用新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原定性検査キットの販売時における留意事項について」(令和4年12月9日)|https://www.mhlw.go.jp/content/001022692.pdf ↩
- 厚生労働省 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知 薬生機審発1129第1号「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットに係る一般用検査薬の製造販売承認申請の取扱いについて」別紙2 添付文書例(令和4年11月29日・PMDA掲載)|https://www.pmda.go.jp/files/000264076.pdf ↩
- 明石祐作ほか「発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究」感染症学雑誌95巻1号(2021年)|https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi/95/1/95_9/_article/-char/ja/ ↩
- 日本臨床検査専門医会「インフルエンザ・新型コロナウイルスの検査―抗原検査とPCR検査―」(ラボ NO.561・2025年10月発行)|https://jaclap.org/guests/guests-2949/ ↩
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報」(令和7年2月20日更新)|https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27779.html ↩
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報「オセルタミビルリン酸塩カプセル 添付文書」(2024年10月改訂 第2版)|https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/450045_6250021M1027_1_40 ↩
- 日本小児科学会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」(2025年10月7日)|https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20251022_2025-2026_infuru_shishin.pdf ↩
- e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」第19条|https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018 ↩
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月・令和8年4月改訂)|https://www.mhlw.go.jp/content/001685701.pdf ↩
- 日本医学会連合「オンライン診療の初診に関する提言」(2022年11月24日版)|https://files.jmsf.or.jp/uploads/medium/file/280/20221124163108.pdf ↩
- 消費者庁「新型コロナウイルスの抗原定性検査キットは国が承認した『体外診断用医薬品』を選んでください!」(2021年10月13日公開・2022年9月9日リーフレット改訂)|https://www.caa.go.jp/notice/entry/025912/ ↩
- 厚生労働省 医薬局監視指導・麻薬対策課長通知 医薬監麻発0331第1号「研究用と称する検査キット等の体外診断用医薬品の範囲に関するガイドラインについて」(令和8年3月31日)|https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260401I0080.pdf ↩

