寝ているお子さんの胸元やのどが、息を吸うたびにペコペコとへこんでいるのに気づいて、ドキッとしたことはありませんか。
「でもぐっすり眠れているし、朝まで待っても大丈夫かな」「明日の朝いちばんで受診すればいいのかな」と迷ってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、陥没呼吸の見分け方と、眠れている場合の考え方、そして緊急度別の受診の目安を、公的機関の情報をもとに解説します。
判断に迷ったときの相談先もまとめましたので、お子さんの様子を確認しながら読み進めてみてくださいね。
本記事は、疾患や症状に関する一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。気になる症状やご不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。
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陥没呼吸とは|息を吸うときに胸やのどがへこむ呼吸

陥没呼吸(かんぼつこきゅう)とは、息を吸うときに胸やのどの一部が内側にへこむ呼吸のことです。
東京都こども医療ガイドでは、呼吸困難のサインのひとつとして「息を吸うときに首の正面やあばら骨の間がへこむ呼吸」が挙げられています。
空気の通り道が狭くなっていると、いつもより強い力で吸い込む必要が出てきます。その結果、骨と骨のあいだのやわらかい部分が引っ張られてへこむ、という仕組みです。
へこむ場所と見分け方
| へこむ場所 | 見え方 | 確認しやすいタイミング |
|---|---|---|
| 鎖骨の上・首の正面 | 息を吸うたびにくぼみが深くなる | あお向けで寝ているとき |
| あばら骨のあいだ | 骨のすじがくっきり浮き出る | 上半身の服を上げたとき |
| みぞおち・肋骨の下 | おなかの上部が吸い込まれる | 静かに呼吸しているとき |
服を着たままだと気づきにくいため、確認するときは上半身の服をめくって、明るい場所で見てみてください。
同じタイミングで、鼻の穴がふくらんだり縮んだりしていないか、肩を上下させて呼吸していないかもあわせて見ておくと、医師に伝えやすくなります。
眠れていても陥没呼吸があれば受診の対象になります
眠れているかどうかにかかわらず、陥没呼吸が見られる場合は受診の対象と考えてください。
東京都こども医療ガイドは、あばら骨の間がへこむ呼吸を呼吸困難のサインとして挙げたうえで、「すみやかに小児科を受診しましょう」としています。眠れていれば様子を見てよい、という位置づけにはなっていません。
また、こどもの救急(厚生労働省研究班・公益社団法人日本小児科学会監修)でも、「胸が凹むペコペコした呼吸をしている」は、せきやゼーゼーの緊急度を判断するチェック項目に含まれています。
眠れていることは、お子さんの状態を伝えるうえで大切な情報のひとつです。ただ、それだけで陥没呼吸というサインが打ち消されるわけではない、と考えておくのが安全です。
月齢によって考え方が変わります
生後3か月未満のお子さんは、こどもの救急でも独立した判定項目として扱われています。この時期は、陥没呼吸の有無にかかわらず、呼吸の変化に早めに対応することが大切です。
生後6か月以下のお子さんも注意が必要です。東京都こども医療ガイドによると、2歳未満、特に6か月以下の乳児ではRSウイルスなどによって細気管支炎を起こし、重症化して入院が必要になる場合もあるとされています。
なお、こどもの救急が対象としているのは生後1か月〜6歳のお子さんです。生後1か月未満の場合は、出産した産科や、かかりつけの小児科に直接ご相談ください。
今すぐ救急車(119番)を呼ぶことを考えたいサイン
次のような様子が見られる場合は、時間帯にかかわらず119番への通報を検討してください。
- 唇や顔色が青白い、または紫がかっている
- 呼びかけても反応が鈍く、ぐったりしている
- 息が苦しくて声が出せない、会話ができない
- 呼吸が止まりそうになる、または一時的に止まる
- 陥没呼吸に加えて、うめくような呼吸をしている
判断に迷う場合でも、これらに当てはまるときは救急要請をためらわないでください。
今日中の受診を考えたいサイン
命に関わる状態ではなさそうでも、次のような場合は当日中の受診をおすすめします。
- 安静にしていても陥没呼吸が続いている
- いつもより明らかに呼吸が速い、肩で息をしている
- ゼーゼー、ヒューヒューという音が続いている
- 水分がほとんど取れない、おしっこの回数が減っている
- 生後3か月未満で、呼吸の様子がいつもと違う
夜間や休日にあたる場合は、次の判断材料も参考にしてください。東京都こども医療ガイドは、気管支炎の疑いがあるときは日中の診療時間内の受診をすすめつつ、「呼吸がとても苦しそうならば、時間帯にかかわらずすみやかに受診しましょう」としています。
翌日以降の受診でもよいと考えられるケース
- 陥没呼吸が消えていて、呼吸の速さも落ち着いている
- 水分が取れていて、おしっこもいつもどおり出ている
- 顔色と機嫌がよく、遊べている
ただし、これは陥没呼吸がすでに見られなくなっている場合の目安です。判断に迷うときは、次の章の相談先を利用してください。
陥没呼吸の背景に考えられる主な原因
| 考えられるもの | 特徴 | 注意したい時期 |
|---|---|---|
| 細気管支炎 | RSウイルスなどが細い気管支に炎症を起こす | 2歳未満、特に6か月以下 |
| 気管支炎 | 風邪に続いて痰のからんだ咳が出る | 乳幼児期〜小児期全般 |
| 気管支喘息 | ゼーゼーを繰り返す、夜間に強まりやすい | 診断済みの場合は指示を確認 |
| 肺炎 | 発熱と呼吸の速さをともなうことがある | 年齢を問わず |
原因を家庭で見分けることはできません。ここに挙げたのは、医師が診察の際に確認していく候補です。すでに喘息と診断されているお子さんの場合は、小児喘息とは?症状や治療法をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
先天性の心臓や呼吸器の病気があるお子さんでは重症化することもあるため、該当する場合は早めにかかりつけ医へご相談ください。
受診までのあいだに家庭でできること

東京都こども医療ガイドが挙げている家庭でのケアを整理しました。
| できること | 具体的には | ねらい |
|---|---|---|
| 姿勢を整える | 上体を起こし加減にする | 呼吸を楽にする |
| 衣類をゆるめる | 胸まわりを締めつけない | 胸の動きを妨げない |
| 水分をこまめに | 一度に多くではなく少しずつ | 痰を出しやすくする |
| 部屋の乾燥を防ぐ | 加湿器やぬれタオルを使う | 気道への刺激を減らす |
東京都こども医療ガイドによると、室温は秋から冬は20℃前後、夏は26〜28℃程度が適温とされています。大人が快適に感じる室温を目安にしてください。
受診の際に医師へ伝えられるよう、へこむ場所、呼吸の速さ、顔色、水分が取れているか、おしっこの回数をメモしておくと役立ちます。動画を撮っておくと、言葉で説明するよりも正確に伝わります。
判断に迷ったときの相談先
夜間や休日に受診すべきか迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)を利用できます。お住まいの都道府県の相談窓口につながり、小児科医師や看護師から症状に応じたアドバイスを受けられます。
緊急性が高いと感じるときは、#8000ではなく119番へ直接連絡してください。


これらに当てはまらず、受診したあとの経過の相談や、次に同じ症状が出たときの備えについて話しておきたいという場合には、小児科オンライン診療「あんよ」をご利用いただくこともできます。
「あんよ」は健康保険が適用される保険診療です。自己負担額やこども医療費助成の取り扱いは、サービス紹介ページでご確認ください。
ただし、オンライン診療では聴診や検査ができないため、得られる情報が限られます。呼吸が苦しそうな状態は対面での診察が必要になりますので、その場合は医師から対面受診をご案内します。また、医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。
子どもの陥没呼吸についてよくある質問【FAQ】
- 眠っているあいだだけ陥没呼吸が出ます。起きているときは普通なのですが、受診は必要ですか。
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眠っているあいだに見られる場合も、陥没呼吸としての受診の対象になります。眠っているときは気道が狭くなりやすく、症状が目立つことがあります。起きているときの様子とあわせて、医師にお伝えください。
- どのくらいへこんでいたら陥没呼吸ですか。
-
へこみの深さで線引きする基準は、公的機関からは示されていません。息を吸うたびに繰り返しへこむ様子が確認できるかどうかを目安にしてください。判断に迷うときは、動画を撮って受診時に見てもらうと伝わりやすくなります。
- 鼻づまりがひどいときも陥没呼吸のように見えますか。
-
鼻がつまっていて息を吸いにくいときにも、胸元がへこんで見えることがあります。ただし家庭で原因を切り分けることは難しいため、へこみが続く場合は受診してください。
- 喘息と診断されています。吸入薬を使えば様子を見てよいですか。
-
処方されている薬の使い方や、使用後にどう判断するかは、お子さんごとに医師が指示しています。手元の指示書やお薬手帳を確認し、指示どおりに対応してください。指示の内容がわからないときは、処方を受けた医療機関にご確認ください。
【まとめ】陥没呼吸は眠れていても受診の目安になります
陥没呼吸は、息を吸うときに胸やのどがへこむ呼吸で、公的機関が呼吸困難のサインとして挙げているものです。眠れているかどうかは大切な情報ですが、それだけで様子見と判断する根拠にはなりません。
- 陥没呼吸は鎖骨の上やあばら骨のあいだがへこむ呼吸を指す
- 眠れていても陥没呼吸があれば受診の対象と考える
- 顔色が悪い、反応が鈍い、声が出せない場合は119番を検討する
- 生後3か月未満と生後6か月以下は特に早めの対応が必要になる
- 迷ったときは#8000で相談でき、緊急時は119番へ直接連絡する
夜間や休日で受診の判断に迷うときは、まず#8000にご相談ください。呼吸が苦しそうな様子があるときは、時間帯を問わず医療機関を受診しましょう。
最終的な判断は医師に相談してください。

