マイコプラズマ肺炎とは?子どもの長引く咳の原因と登校目安について解説

近年、子どもの間で「マイコプラズマ肺炎」が非常に増えています。

マイコプラズマ肺炎を放置すると症状が長引いたり、周囲へ感染が広がったりする可能性があるため、早めの医師への相談が大切です。

マイコプラズマ肺炎の正しい知識を持って、適切なタイミングで治療を始めることが、マイコプラズマ肺炎の症状の改善が期待される場合があります。

この記事では、マイコプラズマ肺炎に関してわかりやすく丁寧に解説します。

目次

マイコプラズマ肺炎とはどんな病気?

「肺炎」という名前を聞くと、とても怖い病気に感じてしまいます。

マイコプラズマ肺炎は、一般的に肺炎マイコプラズマという細菌に感染することで引き起こされると考えられています。

この菌は、ウイルスと細菌、両方の性質を持った少し変わった存在です。

マイコプラズマ肺炎が「歩く肺炎」と呼ばれる理由

マイコプラズマ肺炎は、別名「Walking Pneumonia(歩く肺炎)」と呼ばれます。

その理由は、マイコプラズマ肺炎は肺炎なのに「意外と元気そうに見える」ことが多いからです。

熱があっても家の中を歩き回ることができたり、肺炎のわりに、顔色がそこまで悪くなかったり、激しく咳き込んでいない時は、普通に見えるなど。

こうした特徴があるため、マイコプラズマ肺炎は周囲も本人も、肺炎だと気づくのが遅れがちです。

マイコプラズマ肺炎の最近の流行の傾向

昔は「4年に一度、オリンピックの年に流行する」と言われていました。

しかし最近では、その周期が崩れ、一年中見られるようになっています。

特に2024年から2025年にかけては、全国的に大きな流行が続いています。

また、薬が効きにくい「耐性菌」も増えています。

マイコプラズマ肺炎の症状チェックリスト

お子さんの今の症状と、以下のマイコプラズマ肺炎を疑うサインを比べてチェックをしてみましょう。

マイコプラズマ肺炎を疑うサイン
  • 38度以上の熱が出て、数日経っても下がらない
  • 日が経つにつれて、咳がどんどん激しくなってきた
  • 熱が下がったのに、咳だけがむしろひどくなっている
  • 胸を痛がったり、息苦しそうにしたりしている

マイコプラズマ肺炎と風邪やインフルエンザとの違い

マイコプラズマ肺炎を見分けるのは、医師でも難しいことがあります。

一般的な風邪やインフルエンザとの違いを、表にまとめました。

特徴マイコプラズマ肺炎一般的な風邪インフルエンザ
咳の強さ非常に激しく、長引く軽いことが多い出るが、熱がメイン
熱の期間1週間以上続くこともある2〜3日で下がることが多い3〜5日ほど高熱が出る
鼻水少ない、または出ないたくさん出る出ることが多い
発症の仕方じわじわと悪くなるゆっくり始まる急激に高熱が出る

一般的な傾向として、マイコプラズマ肺炎の最大の特徴は咳といわれています。

「熱は下がったのに咳が止まらない」という状況は、マイコプラズマ肺炎の一つの目安になることがあります。

マイコプラズマ肺炎の感染経路と潜伏期間

「マイコプラズマ肺炎にどこでうつったんだろう?」と不思議に思う親御さんも多いです。

マイコプラズマ肺炎は、とてもうつりやすく、潜伏期間が長いのが特徴です。

マイコプラズマ肺炎はどのようにしてうつる

マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は、咳やくしゃみによる「飛沫感染」です。

マイコプラズマ肺炎に感染した子が咳をした時に、マイコプラズマ肺炎の菌が飛び散ることで、その菌を、近くにいる子が吸い込んでしまう。

マイコプラズマ肺炎の菌がついた手で、自分の口や鼻を触る。

共有しているおもちゃやタオルを介してマイコプラズマ肺炎がうつってしまう。

学校や保育園などの集団生活の場では、あっという間にマイコプラズマ肺炎は広がってしまいます。

特に、咳をしている子と長時間同じ部屋にいると、感染リスクは高まります。

驚くほど長いマイコプラズマ肺炎の潜伏期間

一番の注意点は、マイコプラズマ肺炎に感染してから症状が出るまでの期間です。

多くの風邪やインフルエンザは、数日で症状が出ますが、マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は「2〜3週間」と非常に長いです。

この時間差があるため、マイコプラズマ肺炎は家族全員が治るまでに1ヶ月以上かかることも珍しくありません。

マイコプラズマ肺炎の検査と診断の難しさ

病院に行ったのに、「風邪ですね」と言われて終わってしまった経験はありませんか?

実は、マイコプラズマ肺炎の診断には、以下のようなものがあり、マイコプラズマ肺炎の診断が難しいことがあります。

検査の種類とマイコプラズマ肺炎の診断の難しさ

病院で行われるマイコプラズマ肺炎の検査には、主に以下のものがあります。

マイコプラズマ抗原訂正検査は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)感染症が疑われる場合に実施されます。

のどなどをむぐって直接マイコプラズマ抗原を検出できるため,迅速診断として有用と言われています。

PCR検査は非常に正確ですが、結果が出るまで数日かかり、血液検査は、過去に感染したかどうかが分かります。

レントゲン検査は、肺の影を確認するのに有効であると言われています。

このように、マイコプラズマ肺炎は一回の検査ですべてが分かるわけではありません。

そのため、小児科医は「咳の経過」や「周りの流行状況」などを重視します。

検査がマイコプラズマ肺炎陰性であっても、医師が症状や経過からマイコプラズマ肺炎と判断して治療を検討することがあります。

レントゲンを撮るべきタイミング

「胸の音はきれいですね」と言われても、安心しきれないのがマイコプラズマ肺炎という病気です。

マイコプラズマ肺炎は、聴診器では異常が分かりにくいことがあります。

1週間以上、熱が下がらなかったり、夜も眠れないほど咳がひどく呼吸をするのが苦しそうであるなどの場合は、レントゲンを撮ることで肺の影が見つかり、マイコプラズマ肺炎の診断がつくこともあります。

マイコプラズマ肺炎の治療と耐性菌

マイコプラズマ肺炎の治療には、特定の抗菌薬(抗生物質)が必要です。

一般的な風邪薬だけでは原因菌を抑えるのが難しいため、通常は特定の抗菌薬を用いた治療が検討されます。

よく使われるお薬(マクロライド系)

マイコプラズマ肺炎で一番よく使われるのは、「マクロライド系」という種類のお薬です。

お薬の効果が出始めると、飲み始めて数日程度で熱が下がってくることが一般的です。

お薬が効かない「耐性菌」が増えています

最近、マイコプラズマ肺炎のお薬で、とても困った問題があります。

それは、これまでの標準的なお薬が効かない耐性菌の増加です。

お薬を飲み始めて3日経っても、熱が全く下がらない。咳の激しさが、全く変わらない、または悪化している。以前、同じお薬を飲んだことがある。

このような場合は、医師の判断で別の抗菌薬(テトラサイクリン系やニューキノロン系)への変更を検討されることがあります。

お薬を飲んでいるから大丈夫と思い込まず、お子さんの熱が下がっているかをしっかり観察してあげてください。

マイコプラズマ肺炎での登校・登園の目安

仕事を持つ親御さんにとって、一番気になるのが、いつから学校に行けるの?という点です。

マイコプラズマ肺炎は、インフルエンザのように、法律で「◯日間休む」とは決まっていません。

文部科学省のガイドラインでは、マイコプラズマ肺炎に関して以下のように示されています。

「症状が改善し、全身状態が良くなっていること」

登校・登園の目安は、以下のチェックポイントを考え判断されることが一般的です。

学校復帰の具体的なチェックポイント
  • 解熱して24時間以上が経過している
  • 激しい咳き込みが落ち着き、授業に集中できる
  • 食欲が戻り、体力が回復している
  • 睡眠がしっかり取れていて、日中に眠気がない
  • 医師から「登校しても大丈夫」と言われている

ただし、周りのお友達にマイコプラズマ肺炎をうつさないよう、必ずマスクを着用。

また、体育の授業などは無理をせず、数日は見学させるのが安心です。

登校許可証は必要ですか?

学校や幼稚園によって、対応はバラバラです。

二度手間にならないよう、あらかじめ学校のルールを確認しておきましょう。

お家でできるマイコプラズマ肺炎のホームケア

夜中の咳を少しでも楽にしてあげるために、お家でできる工夫がたくさんあります。

看病しているお父さん、お母さんも、以下のことを試してみてください。

咳を楽にするための工夫

加湿器を使い、部屋の湿度を60%程度に保ち、こまめに水分を摂らせて、のどの粘膜を潤したあげてください。

枕やクッションを背中に当てて、上半身を少し高くして寝かせ、部屋の空気を定期的に入れ替えて、空気をきれいにしましょう。

特に、上半身を少し高くしてあげると、呼吸が楽に感じられることが多いようです。

水分補給のポイント

咳き込んでいる時は、一度にたくさん飲むと吐いてしまうことがあります。

スプーン1杯ずつ、回数を分けて飲ませたり、のどごしの良い、少し冷たい、または常温の飲み物を選ぶと良いでしょう。

お茶や水だけでなく、経口補水液やゼリー飲料も活用する、少しずつこまめに補給してあげましょう。

マイコプラズマ肺炎は「元気そう」でも油断禁物。長引く咳には早めの対応を

マイコプラズマ肺炎は「歩く肺炎」と呼ばれる通り、お子さんが比較的元気に見えることも多いため、受診のタイミングに迷いがちです。

しかし、放置すると症状の長期化や周囲への感染につながるため、日々の変化をしっかり観察してあげましょう。

この記事のまとめ
  • 「元気そう」に見えても、長引く激しい咳や熱がある場合は要注意
  • 潜伏期間が2〜3週間と長く、家族や集団生活の場で広がりやすい
  • 薬が効きにくい「耐性菌」も増えているため、服薬後の経過観察が不可欠
  • 登校の目安は、解熱後24時間が経過し、全身の体力が回復していること
  • 医師から「登校しても大丈夫」と言われている

家庭で加湿や水分補給などのホームケアを行いながら、お子さんの様子を注意深く見守ってあげてください。

もし「ただの風邪かな?」「薬を飲んでいるけれど、なかなか咳が止まらない」と判断に迷うことがあれば、一人で抱え込まずに専門家の力を借りましょう。

病院へ行くべきか迷うときや、夜間の咳き込みで不安なときは、スマホで医師に相談できる小児科オンライン診療サービス「あんよ」も活用してみてください。

LP