夜中に「うーうー」と唸る声で目が覚めて、ドキッとしてしまったことはありませんか。
「苦しいのかな?」「これって何かの障害のサインだったらどうしよう」と、スマホで検索した親御さんも多いはずです。
この記事では、赤ちゃんが唸る背景と月齢ごとの経過、そして受診の見きわめ方について解説します。
慌てずに、まずはお子さんの呼吸と顔色から確かめてみてくださいね。
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赤ちゃんが唸るのは障害のサインなのか

先に、いちばん知りたいところからお伝えします。乳児期の唸りの多くは、体のつくりや眠りのリズムから起きる生理的なものと考えられています。唸っているという一点だけで、発達障害かどうかを判断することはできません。
理由はふたつあります。ひとつは、唸りが低月齢の赤ちゃんにとてもよくみられる様子だということ。もうひとつは、発達障害の診断そのものが、乳児期には確定できないという点です。
発達障害は単独の病名ではなく、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などをまとめた呼び方です。
診断には、ことばや対人的なやりとり、行動の特性を一定期間みていく必要があります。乳児期の様子だけで結論を出すものではありません。発達やこころ・行動の困りごとについては、日本小児神経学会の小児神経Q&Aで小児神経医による解説が公開されています。
とはいえ、すべての唸りを心配ないと言い切れるわけでもありません。唸りに呼吸の苦しさが重なっているときは、まったく別の話になります。この記事では、その線引きを順番に見ていきます。
唸りと「呻吟(しんぎん)」は別物
ここは必ず押さえておきたいところです。赤ちゃんの声には、生理的な唸りと、呻吟(しんぎん)と呼ばれる呼吸が苦しいときのサインがあります。
呻吟は英語でグランティングとも呼ばれ、息を吐くたびに「ウーッ」「フーッ」と短くうめく音が規則的に続くのが特徴です。
呻吟が出ているときは、肺に空気をとどめようとして体が無理をしている状態にあたります。眠りが浅くて出る「うーうー」とは、次の点で見分けます。
- 息を吐くたびに毎回、規則的に音が出ている
- 唇や爪、顔色が青白い、または紫がかっている
- 小鼻がピクピクと開く、肋骨の下やのどのくぼみが息のたびにへこむ
- 呼吸が明らかに速く、抱いても飲んでも様子が変わらない
- 眠り続けて起こしても反応が鈍い
ひとつでも当てはまるときは、この記事を読み進めるより先に119番へ連絡してください。判断に迷う要素があるほど、早い連絡のほうが安全です。
赤ちゃんが唸る生理的な背景
ここからは、緊急のサインがない場合の話です。低月齢の赤ちゃんが唸る理由は、ひとつに絞れないことがほとんどです。代表的な背景を整理しました。
| 背景 | 体で起きていること | 家でできること |
|---|---|---|
| 腹圧をかけている | 排便やおならを出そうとして、まだ上手にいきめない | おなかを時計回りにさする、足を軽く曲げ伸ばしする |
| げっぷが残っている | 授乳で飲み込んだ空気がおなかにたまっている | 縦抱きにして背中をさすり、しばらく姿勢を保つ |
| 眠りが浅い | 半分覚醒した状態で声が出ている | 動かさず見守る、それでも続けば抱き上げる |
| 満腹または空腹 | 胃が張っている、あるいは授乳のタイミングが近い | おむつを確認し、欲しがるようなら授乳する |
| 鼻づまり | 鼻の通り道が細く、少しの鼻水で音が変わる | 部屋の湿度を保ち、鼻の入り口をやわらかく拭き取る |
新生児期から生後3か月ごろまでは、直腸に便がたまるようになる一方で、いきむ力の使い方がまだ育っていません。そのため顔を真っ赤にして唸る、体をくねらせる、といった様子が出やすくなります。
うんちが毎日出ていなくても、母乳やミルクの飲みがよく、機嫌が保てていれば、慌てなくてよいケースが多いと考えられます。
明け方に唸りが増えることもあります。生後2〜3か月ごろから昼夜のリズムが少しずつ整い、朝方に眠りが浅くなる時間帯が生まれるためだと考えられています。

赤ちゃんの唸りは月齢でどう変わるのか

唸りは、月齢が進むにつれて形を変えていきます。時期ごとの目安を並べました。あくまで平均的な流れで、前後の幅は大きいものです。
| 時期 | 唸りの様子 | 見ておきたいこと |
|---|---|---|
| 新生児期〜生後3か月 | いきみ型の唸りがもっとも多い。明け方や授乳後に集中しやすい | 呼吸のリズム、顔色、授乳量が保てているか |
| 生後3〜6か月 | 排便のリズムが整い、いきみ型は徐々に減る。声遊びとしての「あー」「うー」が増える | 声を出して笑うか、目が合うか、あやすと反応が返るか |
| 生後6か月以降 | 生理的な唸りは目立たなくなる。力むときや眠い時間帯に一時的に出る程度 | 寝返りやおすわりの育ち、名前を呼んだときの反応 |
生後6か月を過ぎても、力むような唸りが1日の大半を占める、体重が増えていかない、いつも呼吸の音が気になる、といった状態が続くときは、いちど小児科で相談しておくと安心です。
反対に、唸りが減っていくかどうかよりも、声のやりとりや目が合う場面が少しずつ増えているかのほうが、発達をみるうえでは手がかりになります。

赤ちゃんが唸るときの緊急度の見きわめ
ここが、この記事でもっとも大事な部分です。唸りそのものより、唸りに何が重なっているかで動き方が変わります。
| 緊急度 | 重なっているサイン | 動き方 |
|---|---|---|
| すぐに119番 | 息を吐くたびのうめき、顔色や唇が悪い、けいれん、呼びかけへの反応が鈍い、胸やのどが大きくへこむ | ためらわず119番へ連絡する |
| 今日中に受診 | 生後3か月未満の発熱、母乳やミルクを半分以下しか飲まない、半日以上おしっこが出ない、嘔吐を繰り返す、いつもと違う泣き方が長く続く | 診療時間内に小児科を受診する |
| 翌日以降でよい | 機嫌と授乳量が保たれていて、唸りだけが気になる。便が2〜3日出ないが、飲みも機嫌も普段どおり | 様子を書き留めておき、次の受診や健診で相談する |
生後3か月未満の赤ちゃんの発熱は、熱の高さにかかわらず速やかな受診がすすめられています。体温がそれほど高くなくても、この月齢では受診の対象になります。
ここでの「生後3か月」は発熱したときの受診基準で、前の章に挙げた唸りの経過の月齢とは別の軸のものです。日本小児科学会のこどもの救急(ONLINE-QQ)「発熱(38℃以上)」でも、受診の要否を確かめる項目のひとつに「生後3か月未満である」が挙げられています。
判断に迷って、それでも119番ではないと感じるときは、小児救急電話相談 #8000に電話してみてください。全国どこからでも同じ番号でつながり、地域の相談窓口へ転送されます。看護師や医師が、いま受診すべきかどうかを一緒に整理してくれます。
唸っている場面を短い動画に撮っておくと、受診でも電話相談でも役に立ちます。音と呼吸の様子は、ことばで伝えるのが難しいためです。
発達が気になるときに相談できるところ
唸り以外にも気になることがあって、不安が消えないという場合もあると思います。乳児期に発達障害の診断を確定することはできませんが、相談する先はいまの時点でもあります。
- 乳幼児健康診査で、健診の担当者に気になる様子を伝える
- かかりつけの小児科で、日々の困りごとを含めて相談する
- 自治体の保健センターや子育て世代包括支援センターに連絡する
- 発達の心配が続くときは、日本小児神経学会の小児神経専門医のいる施設から地域の施設を調べる
乳幼児健診は市区町村が実施しており、その枠組みはこども家庭庁の乳幼児健診に関する取組みにまとめられています。対象月齢や内容は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村の母子保健担当課にお問い合わせください。
「まだ小さいから相談するには早い」と感じる必要はありません。親御さんが感じている違和感は、記録として意味のある情報です。日付と様子をメモに残しておくと、健診の場でも伝えやすくなります。
赤ちゃんが唸ることについてよくある質問【FAQ】
- 寝ているあいだずっと唸っています。起こしたほうがよいですか。
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呼吸が落ち着いていて顔色も普段どおりなら、そのまま見守って構いません。苦しそうに見えるときは、抱き上げて姿勢を変えたり、背中をさすったりしてみてください。姿勢が変わったことで、そのまま眠りに入る場合もあります。
- うんちが3日出ていません。唸りと関係がありますか。
-
排便のために腹圧をかけていて唸る、というのはよくある形です。飲みと機嫌が普段どおりなら、数日出ないこと自体はすぐの受診にはあたりません。おなかをやさしくさすったり、足を自転車こぎのように動かしたりして様子をみてみてください。おなかが硬く張って泣き方が変わるときは、診療時間内に小児科へ相談しましょう。
- 唸りながら顔が真っ赤になります。大丈夫でしょうか。
-
いきむと一時的に顔が赤くなることはよくあります。判断の分かれ目は色です。赤くなるのではなく、唇や爪が青白い、紫がかっているという場合は、呼吸のサインとして扱ってください。すぐに119番へ連絡します。
- 唸りが多い子は発達障害になりやすいのですか。
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そう考える根拠はありません。発達障害と診断された方の乳児期に唸りがみられたという報告があっても、逆方向には結びつきません。唸る赤ちゃんの大多数は、月齢とともに落ち着いていきます。
- 健診まで待たずに相談してもよいですか。
-
かまいません。かかりつけの小児科でも、自治体の保健センターでも、健診を待たずに相談を受け付けています。不安を抱えたまま眠れない状態が続くほうが、親御さんの負担が大きくなります。
【まとめ】赤ちゃんの唸りは障害のサインとは限りません
乳児期の唸りの多くは、いきみや浅い眠りから起きる生理的なものと考えられています。判断すべきは唸りの有無ではなく、呼吸と顔色、そして飲みと機嫌が保たれているかどうかです。
- 乳児期の唸りだけで発達障害かどうかを判断することはできない
- 息を吐くたびに規則的にうめく呻吟は呼吸が苦しいサインであり、すぐに119番へ連絡する
- いきみ型の唸りは新生児期から生後3か月に多く、生後6か月ごろまでに目立たなくなっていく
- 生後3か月未満の発熱は熱の高さにかかわらず速やかに受診する
- 発達が気になるときは乳幼児健診やかかりつけの小児科、自治体の保健センターに相談できる
オンライン診療には、触診や検査ができないという限界があります。それでも、唸っている様子を映しながら「これは受診したほうがよいのか」を医師と一緒に整理する使い方はできます。
夜間や休日など病院に行く時間がないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
最終的な判断は医師に相談してください。

