赤ちゃんの吐き戻しが多いのは大丈夫? 受診が必要なサインと月齢別の見方を解説

赤ちゃんの吐き戻しが多いのは大丈夫? 受診が必要なサインと月齢別の見方を解説

授乳のたびに口からタラタラと出てくる、着替えもガーゼも足りない——赤ちゃんの吐き戻しが多いと、ドキッとしてしまいますよね。

「こんなに吐いて栄養は足りているの?」「もしかして病気だったらどうしよう」と、不安になる親御さんは少なくありません。

この記事では、吐き戻しが多いときに「様子を見てよいもの」と「受診が必要なもの」をどう見分けるか、月齢別の見方とあわせて解説します。

慌てずに、まずはお子さんの様子から確かめていきましょう。

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目次

赤ちゃんの吐き戻しが多いのは、なぜ起こるのか

赤ちゃんの胃は大人と違い、とっくりのような縦長の形をしています。さらに、胃の入り口を締める筋肉のはたらきがまだ十分ではありません。そのため、飲んだ母乳やミルクが少しの体勢の変化でも食道へ逆流し、口からあふれてしまいます。

この、吐き気を伴わずに自然と口まで戻ってくる現象は「溢乳(いつにゅう)」と呼ばれます。げっぷと一緒に出てくる、口の端からタラリと流れる、といった出方が典型的です。

授乳のたびに起こると回数としては「多い」と感じますが、それだけで異常と決まるわけではありません。飲むスピードが速い赤ちゃん、母乳やミルクと一緒に空気をたくさん飲み込む赤ちゃんでは、より起こりやすくなります。

大切なのは、回数の多さそのものよりも、吐き方・吐いたものの色・そのあとの様子・体重の増え方という4つの見どころです。次の章から順に確認していきます。

吐き戻しが多いとき、溢乳と嘔吐をどう見分けるか

同じ「吐く」でも、生理的な溢乳と、医療機関で診てもらったほうがよい嘔吐では出方が違います。見るところを整理すると、次のようになります。

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見るところ生理的な溢乳に多い受診を考えたい嘔吐
吐き方力まずタラリとあふれる勢いよく噴き出す(噴水状)
吐いたものの色白色(母乳・ミルクのまま、または少し固まった状態)緑色(胆汁様)、茶色や赤色(血性)
吐いたあとの様子機嫌がよく、また飲もうとするぐったりして反応が乏しい、飲もうとしない
体重発育曲線のカーブに沿って増えている増えが止まっている、減っている

「多い」を回数だけで判断しない

吐き戻しの回数は、その日の授乳リズムや体勢で簡単に変わります。回数を数えて一喜一憂するより、体重が増えているかどうかという客観的な指標に寄せて考えるほうが確かです。

母子健康手帳には、乳幼児の身体発育調査をもとにした発育曲線が載っています。こども家庭庁が定める母子健康手帳の様式には、乳幼児身体発育曲線が含まれています。曲線のもとになる調査結果は、乳幼児身体発育調査として公表されています。曲線の帯からはみ出しているかどうかよりも、お子さんなりのカーブに沿って右上がりに伸びているかを見てください。

吐き戻しが多くても、体重が曲線に沿って増え、機嫌よく過ごせているなら、成長とともに落ち着いていくことが多いと考えられます。

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吐き戻しが多いときの受診の目安

嘔吐は、まれに急いで対応すべき状態のサインになります。次の順番で確認してください。

① 今すぐ救急車(119番)を呼ぶ状態

  • けいれんが起きている、または呼びかけても目を覚まさない
  • 呼吸が苦しそう、顔色や唇の色が青白い、吐いたものをのどに詰まらせている
  • 意識がはっきりせず、ぐったりして力が入らない

これらに当てはまるときは、迷わず119番へ連絡してください。

吐いたものが気道に入っている可能性があるときは、顔を横に向けて、口の外に見えているものだけを取り除きます。指を口の奥に入れて探るのは、かえって奥へ押し込むおそれがあるため避けてください。

せき込めない、声が出ない、顔色が青白いといった様子があれば、通報しながら通信指令員の指示を受け、背中を叩く方法(背部叩打法)などの手当てを指示に従って行ってください。

② その日のうちに医療機関を受診する状態

  • 授乳のたびに勢いよく噴き出す嘔吐(噴水状)が続いている
  • 吐いたものに血液(赤色や茶色)や胆汁(緑色)が混じっている
  • おしっこの回数が半日以上減っている、唇や口の中が乾いている、泣いても涙が出ない
  • 発熱や下痢を伴い、水分をほとんど受けつけない
  • 生後3か月未満の赤ちゃんで、嘔吐に発熱を伴っている
  • お腹が張って硬い、触れると激しく泣く
  • 数分おきに顔色を変えて激しく泣き、その合間はぐったりする状態を繰り返している
  • いちご(トマト)ジャムのような赤黒い便が出た

数分おきに激しく泣くことを繰り返す、赤黒いゼリー状の便が出る、といった様子があるときは、腸の一部が重なり込む「腸重積症」の可能性が検討されます。

時間が経つほど治療の負担が大きくなるため、夜間や休日であっても待たずに救急外来へ連絡してください。

生後3か月未満の赤ちゃんは、熱の高さや機嫌にかかわらず、発熱に気づいた時点で速やかに医療機関へ連絡してください。夜間や休日であっても翌日まで待たずに相談します。

生後3〜4か月ごろも症状が現れにくい時期のため、嘔吐に発熱を伴うときはその日のうちに受診してください。月齢の低い時期は症状が現れにくく、家庭での見極めが難しいためです。

子どもの急な症状への対応については、日本小児科学会が子どもの救急で一般向けの情報を公開しています。

③ 翌日以降の診療時間内でよいケース

夜間でも、次のような状態であれば翌日の診療時間内に相談する形で問題ないことが多いと考えられます。

吐き戻しはあるものの機嫌がよく、水分や母乳・ミルクを受けつけていて、おしっこも出ている。

発熱がなく、吐いたものの色も白色のまま。こうした場合は、体重の増え方と吐き方の変化を記録しながら、翌日にかかりつけ医へ相談してください。

④ 迷ったときは #8000 へ

夜間や休日に判断がつかないときは、小児科医や看護師に電話で相談できる窓口があります。厚生労働省の子ども医療電話相談事業(#8000)は、全国の都道府県で実施されており、受診したほうがよいかどうかの相談ができます。

吐き戻しでオンライン診療が使える場面と使えない場面

ここまでの順番、つまり 119番 → その日のうちの受診 → 翌日以降の相談 → #8000 で行き先が決まらなかったとき、もう一つの相談先としてオンライン診療があります。

夜間や休日、上のお子さんがいて外出が難しいといった事情があるときの選択肢です。ただし、使える場面と使えない場面ははっきり分かれます。

オンラインでは判断できないこと

嘔吐の原因を絞り込むには、お腹に触れて張りやしこりを確かめること、超音波(エコー)検査で腸や胃の出口の状態を見ることが必要になります。血液検査で脱水の程度を調べることもできません。画面越しでは、いずれも行えません。

そのため、先ほどの「① 今すぐ救急車(119番)を呼ぶ状態」に当たる様子があるときは、オンライン相談ではなく救急要請を優先してください。

「② その日のうちに医療機関を受診する状態」に一つでも当てはまるときも、オンラインではなく対面での診察が必要です。

特に、腸重積症も肥厚性幽門狭窄症も、超音波検査をもとに医師が診断し、その場で処置や手術の判断をする病気です。疑わしい様子があるときに、オンラインで様子を見る時間を作らないでください。

オンラインで相談できること

一方で、生理的な溢乳と受診が必要な嘔吐のどちらに近いのかを整理する場面では役に立ちます。

  • 吐き方、吐いたものの色、そのあとの様子を伝え、受診の必要があるかを一緒に確認する
  • 母子健康手帳の体重の記録を見せながら、発育曲線に沿って増えているかを確認する
  • げっぷの出し方、授乳後の姿勢、授乳のペースなど、家庭でできる工夫を見直す
  • 哺乳瓶の乳首のサイズや授乳姿勢が合っているかを相談する
  • 受診したほうがよい場合に、何を持参し、何を医師に伝えればよいかを整理する

吐いたものの写真や、授乳と吐き戻しの時間を記録したメモがあると、画面越しでも伝わりやすくなります。

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月齢別|吐き戻しが多いときの見方

同じ吐き戻しでも、月齢によって起こりやすい背景と注目したい点が変わります。

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月齢吐き戻しの起こりやすさ特に見たいところ
新生児〜生後2か月胃の形と筋肉のはたらきが未熟で、授乳のたびに起こりやすい発熱の有無、体重の増え方、噴水状かどうか
生後2〜4か月ごろ飲む量が増え、勢いよく飲むことで回数が増えることがある噴水状の嘔吐が繰り返されていないか、体重の増えが止まっていないか
生後5〜7か月ごろ寝返りやおすわりで体勢が変わり、飲んだ直後に出やすい離乳食開始後に特定の食材で繰り返し吐いていないか
生後8か月以降消化のはたらきが進み、回数は減っていくことが多い発熱・下痢を伴う嘔吐、水分がとれているか

生後2〜4か月ごろに噴水状の嘔吐が増えたとき

授乳のたびに勢いよく噴き出す嘔吐が繰り返され、体重の増えが止まっている場合、胃の出口の筋肉が厚くなって通り道が狭くなる「肥厚性幽門狭窄症」などの可能性が検討されることがあります。生後まもない時期から生後3か月ごろまでに見つかることが多いとされる状態です。

ただし、これは超音波検査などをもとに医師が診断するものです。ご家庭で判断することはできませんので、「噴水状の嘔吐が繰り返される」「体重が増えていない」という2点が重なったら、自己判断せず受診してください。

授乳のあとに繰り返し戻るとき

飲んだものが食道へ逆流する「胃食道逆流」は、乳児期には多くの赤ちゃんに見られる現象です。

多くは成長とともに目立たなくなっていきますが、体重が増えない、むせ込みや呼吸の症状を繰り返すといった場合には、医療機関で相談が必要になることがあります。

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吐き戻しが多いときのよくある誤解とやってはいけないこと

よかれと思ってしたことが、かえって吐き戻しを増やしたり、危険につながったりすることがあります。

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よくある誤解実際のところどうするか
吐いた分だけすぐ足して飲ませる胃に入る量が増え、続けて吐くことがある少し時間をあけ、次の授乳で様子を見る
吐いたあとすぐ仰向けで寝かせる吐いたものがのどに残ると危険口の中をぬぐい、顔を横に向けた姿勢にする
吐き戻しが多いから授乳を減らす水分が不足し、脱水につながることがある減らす前にかかりつけ医へ相談する
うつ伏せに寝かせると吐かないと聞いた睡眠中のうつ伏せ寝は窒息の危険がある眠るときは必ず仰向けにする
市販の胃薬を飲ませてみる乳児への自己判断での薬の使用は避ける薬を使うかどうかは医師に相談する

特に避けたいこと

眠るときにうつ伏せや横向きで固定して寝かせることは避けてください。吐き戻し対策として枕やタオルで体を傾けたまま寝かせるのも、体がずり落ちて口や鼻がふさがる危険があります。

吐いた直後に顔を横に向けるのは「起きていて見守れる時間」に限り、そのまま眠らせるときは仰向けに戻します。

また、赤ちゃんが吐いたあとに無理に水やお茶を口へ入れるのも避けましょう。吐き気が続いているときに一度に多く飲ませると、再び吐いてしまいます。

吐き戻しが多いときに家庭でできる工夫

医療機関を受診するほどではないとき、家庭では次のような工夫ができます。

授乳の途中と授乳後にげっぷを促し、飲み込んだ空気を出してあげてください。授乳のあとはしばらく縦抱きにして、体を起こした姿勢を保つと逆流しにくくなります。おむつ替えなどでお腹を圧迫する動作は、授乳直後を避けるとよいでしょう。

授乳姿勢や哺乳瓶の乳首のサイズが合っているかも確認してみてください。厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)には、授乳の進め方や支援の考え方がまとめられています。飲む量そのものを自己判断で大きく変えるのではなく、姿勢とペースを整えることから始めるのが安全です。

吐いたあとは、口のまわりについたものを湿らせたガーゼでやさしくぬぐい、衣類やタオルを替えて肌を清潔に保ちます。授乳のたびにガーゼを一枚敷いておくと、着替えの負担が減らせます。

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赤ちゃんの吐き戻しが多いときのよくある質問【FAQ】

吐き戻しと嘔吐は何が違いますか?

吐き戻し(溢乳)は、吐き気を伴わず、力まずに胃の内容物が自然と口まで戻ってくる現象です。一方の嘔吐は、お腹に力が入り、勢いよく吐き出されます。顔色が悪くなる、泣いて苦しがるといった様子を伴うことが多く、繰り返す場合は受診を検討してください。

吐き戻しはいつごろ落ち着きますか?

胃の形と筋肉のはたらきが育つにつれて、少しずつ回数は減っていきます。おすわりができるようになり、離乳食が進む時期に目立たなくなっていくことが多いと考えられます。ただし時期には個人差がありますので、月齢だけで判断せず、体重の増え方とあわせて見てください。

吐いたあと、すぐに授乳し直しても大丈夫ですか?

機嫌がよく、欲しがる様子があれば、少し時間をおいてから与えてかまいません。ただし吐いた直後に同じ量を足すと、続けて吐くことがあります。まずはしばらく様子を見て、落ち着いてから少量ずつ試してみてください。

緑色や茶色のものを吐いたときはどうすればよいですか?

緑色は胆汁、茶色や赤色は血液が混じっている可能性があります。どちらもその日のうちの受診が必要です。可能であれば、吐いたものの写真を撮っておくと、診察の際に医師へ伝えやすくなります。

体重が増えていれば、吐き戻しが多くても心配ないですか?

体重が発育曲線に沿って増え、機嫌よく過ごせているなら、経過を見てよいことが多いと考えられます。ただし、噴水状の嘔吐や吐いたものの色の異常、発熱を伴う場合は、体重が増えていても受診の対象です。

受診のとき、何を伝えればよいですか?

いつから、1日に何回、どんな吐き方で、何色のものを吐いたかを伝えてください。あわせて、母子健康手帳の体重の記録、おしっこの回数、発熱や下痢の有無をメモしておくと、診察がスムーズになります。

【まとめ】赤ちゃんの吐き戻しが多いときは、何を見ればよいのか

吐き戻しの回数だけで異常かどうかは決まりません。吐き方・色・そのあとの様子・体重の増え方という4つの見どころで整理し、当てはまるものがあれば受診してください。

この記事のまとめ
  • 力まずタラリとあふれる白色の吐き戻しは、乳児期に多く見られる生理的な現象である
  • けいれんや意識がはっきりしない状態、呼吸が苦しそうなときは迷わず119番へ連絡する
  • 噴水状の嘔吐、血性や胆汁様の吐物、脱水のサインはその日のうちに受診し、生後3か月未満の発熱には速やかに連絡する
  • 数分おきに激しく泣くことを繰り返す、赤黒いゼリー状の便が出るときは腸重積症を疑い、待たずに救急外来へ連絡する
  • 回数を数えるより、母子健康手帳の発育曲線に沿って体重が増えているかを確認する
  • 眠るときは必ず仰向けにし、吐き戻し対策で体を傾けたまま寝かせない

夜間や休日など病院に行く時間がないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。

最終的な判断は医師に相談してください。