「アー!」「キーッ!」と、赤ちゃんが突然の高い声をあげてドキッとしたことはありませんか。
「どこか痛いのかな?」「このまま続いたらどうしよう」と、胸がざわつく親御さんは少なくありません。
この記事では、赤ちゃんの奇声と泣き・癇癪の違い、声をあげる理由、月齢ごとの関わり方、そして受診を考える目安を解説します。
慌てずに、まずはお子さんの今の様子を確かめるところから始めてみてくださいね。
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赤ちゃんの奇声とはどんな声を指すのか

「奇声」は医学の言葉ではありません。ふだんより高くて大きい声、たとえば「キーキー」「アー」といった発声を、保護者の方がまとめてそう呼んでいる暮らしの中の言い方です。
同じ「声が大きい」でも、その中身はひとつではありません。
声で遊んでいるときもあれば、不快を伝えているとき、思いどおりにならず崩れているときもあります。背景が違えば、関わり方も、受診を考えるかどうかの判断も変わります。
まずは、お子さんの声がどれに近いかを切り分けてみましょう。
| 声の種類 | 主な特徴 | 基本の関わり方 |
|---|---|---|
| 奇声(声遊び) | 機嫌がよく、笑顔や手足の動きを伴い、短く途切れる高い声が出ます | 無理に止めず、同じ調子で声を返します |
| 泣き | 涙や苦しげな表情を伴い、空腹やおむつなどの不快が背景にあります | 思いあたる原因をひとつずつ確かめます |
| 癇癪 | 思いどおりにならない場面で起こり、泣き叫びや体をそらす動きを伴います | 安全を確かめ、落ち着くまでそばで待ちます |
| クーイング・喃語 | 「あー」「ばば」など、口や舌の動きを試すような穏やかな発声です | 目を合わせて、言葉でゆっくり返します |
クーイングや喃語は奇声とは別のものです
クーイングは、のどの奥を使って「あー」「うー」と穏やかに響かせる発声で、首がすわる前の時期からみられます。
喃語は「ばばば」「まんまん」のように子音と母音が組み合わさった発声で、少し遅れて出てきます。どちらも、ことばが出てくる前の土台になる発声だと考えられています。
一方で奇声は、声の高さや大きさそのものを確かめている状態に近いものです。声帯の使い方を試し、出した声に周りが反応することを学んでいる最中とも言えます。つまり奇声は、ことばの発達から外れた現象ではなく、その手前にある通り道のひとつです。

赤ちゃんが奇声をあげる主な理由
もっとも多いのは、声を出せること自体が面白いという理由です。手を握ったり足を持ち上げたりするのと同じように、声も試す対象になります。高い声を出すと自分の耳に響き、周りの大人が顔を向けてくれる。この往復が楽しくて、くり返しているのです。
次に多いのが、不快や欲求を伝えたいときです。おなかがすいた、おむつが気持ち悪い、暑い、眠い。まだことばがない時期は、泣くか声を出すかしか手段がありません。抱っこしてほしい、そばにいてほしいという気持ちも、大きな声になって出てきます。
生後半年を過ぎるころからは、自我の芽生えが加わります。したいことがはっきりしてきて、思いどおりにならない場面が増えるためです。
さらに、声を出すと大人が来てくれると学んだお子さんは、注目してほしいときに声を使うようになります。これは駆け引きではなく、伝える力が育ってきた印だと受け止めて差し支えありません。
赤ちゃんの奇声はいつから始まりいつまで続くのか
始まる時期にも終わる時期にも、大きな幅があります。
おおまかな流れとしては、声で遊ぶ時期から、気持ちを表す時期へ、そしてことばに置きかわる時期へと移っていきます。次の表は、その移り変わりの見取り図です。
| 時期 | 奇声の様子 | 関わり方の目安 |
|---|---|---|
| 生後3〜5か月ごろ | 声を出す感覚を確かめるように、高い声が出はじめます | 同じ高さで声を返し、やり取りそのものを楽しみます |
| 生後6〜11か月ごろ | 気持ちの表現として声が大きくなり、場面を選ばず出ます | 求めていそうなことを大人が言葉にして代弁します |
| 1歳〜1歳半ごろ | 思いどおりにならない場面で、強く声を出すことが増えます | 先回りして環境を整え、気持ちの切り替えを助けます |
| 1歳半〜3歳ごろ | 使えることばが増えるにつれ、声で伝える場面が減ります | 言えたことを認め、ことばでの表現を後押しします |
多くのお子さんでは、伝えたいことをことばにできるようになるにつれて、大きな声に頼る場面が自然に減っていきます。ただし発達の道すじには個人差が大きく、月齢だけで早い遅いを決めることはできません。
同じ月齢のお子さんと比べて焦る必要はないと考えられます。

赤ちゃんの奇声で受診を考える目安
奇声そのものは、受診の理由にはなりません。判断のよりどころになるのは声ではなく、そのときに一緒に起きていることです。次の表で、緊急度を三段階に分けて整理します。
| 緊急度 | 一緒にみられる様子 | とる行動 |
|---|---|---|
| 今すぐ | 手足のつっぱりや白目、呼びかけへの反応がない、けいれんが5分以上続く、唇や顔色が青白い、息づかいが苦しそう | ためらわず119番に電話します |
| 今日中 | 熱がある、飲みが悪くぐったりしている、ふだんと声の質が明らかに違う、機嫌が戻らない | その日のうちにかかりつけの小児科を受診します |
| 様子見可 | 機嫌がよく、よく飲み、よく眠り、笑顔や遊びがふだんどおり | 家庭で様子をみて、健診の機会に相談します |
けいれんのような動きを伴うときは119番を優先します
声をあげながら手足がつっぱる、白目をむく、呼びかけても反応が返らない。こうした様子が重なるときは、声の問題として扱わず、けいれんへの対応に切り替えてください。
日本小児神経学会は、ほとんどの熱性けいれんは5分以内に自然におさまるとしたうえで、5分以上けいれん発作が続く場合を「けいれん重積状態」と呼び、救急車を呼ぶ目安として示しています。
このとき大切なのは、口に物を入れない、体を強く押さえつけない、平らな場所で横向きに寝かせる、という三つです。あわてて抱き起こすより、始まった時刻を見て、体の動きを目で追うほうが、あとの診察に役立ちます。
また、生後4か月未満のお子さんに熱がある場合は、熱の高さや機嫌にかかわらず、速やかに医療機関を受診してください。この時期は症状が出そろわないまま進むことがあるためです。
けがや事故が起きたときの家庭での対応は、日本小児科学会「子どもの予防可能な傷害と対策」にまとめられています。
翌日以降の受診でよいことも多くあります
熱がなく、よく飲み、よく眠れていて、笑顔や遊びがふだんどおりであれば、その日のうちに駆け込む必要はないと考えられます。声が大きい日が続いている、夕方だけ声が高くなる、といった相談は、翌日以降の診療時間内や、次の健診の機会で十分に間に合います。
夜間や休日に判断に迷ったときは、こども医療でんわ相談(#8000)に電話をすると、小児科医師や看護師から受診の必要性について助言を受けられます。
厚生労働省が全国の都道府県で実施している事業で、対応できる時間帯は住んでいる地域によって異なります。
赤ちゃんの奇声への家庭での関わり方

まず、無理に止めようとしないことです。声を出すこと自体を叱られても、赤ちゃんには理由が伝わりません。むしろ大人の強い反応そのものが面白くなり、声が増えることもあります。
そのうえで、返事を返してみてください。「あーって言えたね」「楽しいね」と、同じくらいの調子で声をかけると、やり取りが会話の形に近づいていきます。声を出す目的が「試すこと」から「伝えること」へ移っていく、その後押しになります。
不快が背景にありそうなときは、先回りが効きます。おなかがすく時間、眠くなる時間には波がありますから、声が大きくなる時間帯を数日メモしておくと、授乳や寝かしつけを少し前倒しするだけで落ち着くことがあります。
集合住宅での声の響きが気になるときは、環境の工夫で和らげられます。厚手のカーテンやラグは音を吸いますし、隣近所へあらかじめ一言伝えておくと、気持ちの負担が軽くなります。
親御さん自身が疲れているときは、声がいつも以上につらく響きます。少しの時間でも赤ちゃんと離れて休むことは、わがままではありません。自治体の子育て支援の窓口や、地域の一時預かりの仕組みを早めに調べておくと、必要なときに頼りやすくなります。
はなぜ起こる?年齢別の原因と対応法|受診の目安までわかりやすく解説-300x169.webp)
奇声から発達や聞こえが気になったときの相談の道すじ
奇声が続くことをもって、発達の特性があると判断することはできません。声をよく出すお子さんも、あまり出さないお子さんも、育ちの幅の中にいます。ここで大切なのは、心配を一人で抱え込まず、すでに用意されている確認の機会を使うことです。
ひとつめが乳幼児健康診査です。こども家庭庁によると、市町村には1歳6か月児健診と3歳児健診の実施が義務づけられており、多くの自治体ではそれ以外の時期にも健診の機会が設けられています。ことばの出方や人への関心は、この場で相談できます。
ふたつめが聞こえの確認です。声の出方が気になる背景に、聞こえにくさが隠れていることがあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、生まれて間もない時期に行う新生児聴覚スクリーニングについて解説しており、こども家庭庁も新生児聴覚検査の実施状況を公表しています。母子健康手帳に検査の結果が残っていることが多いので、まず確認してみてください。
相談先の選び方は、次のように考えると迷いにくくなります。
- ふだんの育ちの相談は、かかりつけの小児科や地域の保健センターに持ちかけます。
- ことばや人との関わりが気になるときは、健診の場で保健師に具体的な様子を伝えます。
- 聞こえに不安があるときは、耳鼻咽喉科で相談し、必要に応じて専門の検査機関を紹介してもらいます。
心配していることを口に出すのは、決して過保護ではありません。何もなければ安心材料になりますし、支援が必要だとわかった場合も、早く動けたことが力になります。
赤ちゃんの奇声についてよくある質問【FAQ】
- 赤ちゃんの奇声はいつまで続きますか?
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ことばで気持ちを伝えられるようになるにつれて減っていくことが多く、多くのお子さんでは1歳半から3歳ごろにかけて目立たなくなっていきます。ただし個人差が大きく、時期には幅があります。
- 「シー」と言って奇声をやめさせてもよいですか?
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静かにしてほしい場面で伝えること自体は問題ありません。ただし、声を出したこと自体を強く叱るのは避けたいところです。声をさえぎるより、注意の向け先を別のものに移すほうが、結果として静かになりやすいと考えられます。
- 夜中に奇声をあげるのはなぜですか?
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眠りが浅くなるタイミングで声が出ることがあります。日中の刺激が多かった日や、生活のリズムが変わった日に起こりやすい傾向があります。
目を開けていても眠っていることがありますので、まずは声をかけすぎず、様子をみてください。熱がある、苦しそうな息づかいがあるといった場合は、別の対応が必要になります。
- 外出先で奇声をあげたらどうすればよいですか?
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その場から少し離れられるなら、いったんデッキや店の外に出て気持ちを切り替えるのが早道です。窓の外を見せる、ふだん出さないおもちゃを一つ渡すなど、注意を向ける先を変える方法も役立ちます。
- 奇声がほとんど出ないのは心配なことでしょうか?
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声をあまり出さないお子さんもいます。それだけで心配のいるものとは言えません。ただし、大きな音に反応しない、名前を呼んでも振り向かない、笑いかけても表情が返ってこないといった様子が重なるときは、健診を待たずにかかりつけの小児科や耳鼻咽喉科で相談してみてください。
【まとめ】赤ちゃんの奇声とはどう受け止めればよいのか
赤ちゃんの奇声は、声を試し、伝える力を育てている途中の姿であることがほとんどです。見るべきなのは声の大きさではなく、そのときに一緒に起きていることと、日ごとの機嫌や飲み方の変化です。
- 奇声は医学の言葉ではなく、泣き・癇癪・喃語とは背景も関わり方も異なります。
- 声で遊ぶ時期から気持ちを表す時期へ移り、ことばが増えるにつれて減っていきます。
- 受診の判断は声そのものではなく、熱やぐったり感など一緒にみられる様子で決めます。
- けいれんのような動きや反応の乏しさがあるときは、119番への連絡を優先します。
- 発達や聞こえが気になるときは、乳幼児健診と聴覚検査の機会を確認の入り口にします。
オンライン診療では触診や検査ができないため、実際に診てもらう必要があると判断されれば、対面での受診を案内されることがあります。
夜間や休日など病院に行く時間がないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
最終的な判断は医師に相談してください。

