3歳のお子さんを見ていて、ふと胸がざわつくことはありませんか。
「言葉があまり増えないな」「お友だちの輪に入らないけれど大丈夫かな」と、そのまま口に出せずに抱えている親御さんは少なくありません。
この記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の特徴が3歳ごろにどう見えるのか、3歳児健診では何が行われるのか、気になったときにどこへ相談できるのかを順番に解説します。
慌てずに、お子さんの今の姿と照らし合わせながら読み進めてみてくださいね。
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自閉症の特徴を3歳で考える前に知っておきたいこと
「自閉症 特徴 3歳」と調べると項目がずらりと並び、当てはまるものを数えては不安になってしまいます。まず前提を整えておきましょう。
「自閉症」と「自閉スペクトラム症(ASD)」という呼び方
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かつて広く使われていた「自閉症」という言葉は、現在の医療では自閉スペクトラム症(ASD)という呼び方にまとめられています。
国立障害者リハビリテーションセンターの各障害の定義では、自閉症は「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「限定した常同的な興味、行動および活動」という3つの特徴をもち、3歳までには何らかの症状がみられると説明されています。
ここでいう「障害」は、本人の努力不足や家庭の関わりを指す言葉ではなく、生活の場面で生じる困りごとを指しています。
スペクトラムとは「連続体」という意味です。特性の強さや現れ方はひとりずつ違い、はっきりした線引きができるものではありません。
だからこそ、3歳という時期の姿だけを切り取って白黒をつけることには無理があります。
発達障害ナビポータルの自閉スペクトラム症の解説でも、社会的なやりとりの難しさと、限定された反復的な行動や興味という2つの面から特性がとらえられています。
当てはまる項目があっても、それは診断ではありません
この記事に限らず、Web上で見かける項目に当てはまるものがあっても、それだけでASDと決まるわけではありません。診断ができるのは医師だけです。
日本小児神経学会の自閉症はどのように診断されますかでも、診断は特定の検査値ひとつで決まるものではなく、これまでの発達の経過や行動の様子をていねいに確かめたうえで、国際的な診断基準に照らして行われるものだと説明されています。
ですから、この記事の表や項目は「相談するときに伝える材料を整理するためのもの」と考えてください。点数をつけて判定するためのものではありません。
親の育て方や愛情不足が原因ではありません
ASDは生まれつきの脳の働き方の違いによるものと考えられており、しつけの仕方や愛情のかけ方が原因で起こるものではありません。
厚生労働省の発達障害者支援施策でも、発達障害は脳機能の発達に関係する生まれつきの特性としてとらえられ、本人と家族を社会全体で支える対象とされています。
「私の関わり方が悪かったのかな」と自分を責めてしまう親御さんは本当に多いのですが、その必要はありません。むしろ、気になる姿に早く気づけたことは、お子さんに合った関わり方を探すきっかけになります。

3歳によく見られる姿と気になる姿を同じ観点で並べてみる
「気になる姿」だけを並べた情報は、どうしても欠点探しになってしまいます。そこで、同じ観点で「3歳ごろによく見られる姿」と「気になったときに相談で伝えたい姿」を左右に並べてみます。
3歳は、言葉が急に増える子もいれば、ゆっくり育つ子もいる時期です。下の表は一般的な目安をまとめたもので、当てはまらないからといって、すぐに何かがあるという意味ではありません。
| 観点 | 3歳ごろによく見られる姿 | 相談のときに伝えたい姿 |
|---|---|---|
| ことば | 三語文が出てくる、「これなに」と質問が増える | 言葉がほとんど増えない、聞いた言葉をそのまま返すやりとりが続く |
| 人との関わり | 大人と目を合わせて笑い合う、見つけたものを指さして共有する | 呼びかけへの反応が薄い、興味のあるものを見せに来ることが少ない |
| 遊び | 人形に食べさせるなど見立て遊びが育つ、友だちのそばで同じ遊びをする | 物を並べる遊びが長く続く、遊びの流れに人が入りにくい |
| こだわりと感覚 | お気に入りの服や順番があり、崩れると不機嫌になることがある | 順番や道順が変わると切り替えに時間がかかる、特定の音や肌ざわりを強く嫌がる |
| 身のまわり | 手伝ってもらいながら着替えやトイレが進む | 食べられるものが極端に限られる、着替えやトイレの練習が長く進まない |
表を見るときに気をつけたいこと
右の列に当てはまるものがあっても、それだけでASDと判断はできません。3歳は個人差がとても大きい時期で、生活環境や下の子の誕生といった出来事でも様子は変わります。
大切なのは、いくつ当てはまるかを数えることではなく、お子さん自身や家族が生活のなかで困っている場面があるかどうかです。
日本小児神経学会の発達障害児の早期発見のポイントでは、言葉の発達の遅れは1歳6か月児健診や3歳児健診で気づかれることが多い一方、言葉の遅れが目立たない場合は既存の乳幼児健診では気づかれにくいと説明されています。
健診で指摘がなかったからといって、心配がないとは限りません。
早い時期に気づくことは、ラベルを貼るためではなく、その子に合った関わり方につなげるためのものです。
それから、右の列と同じくらい、お子さんの得意なことにも目を向けてみてください。数や文字への興味、記憶のよさ、細かい違いに気づく力といった強みは、園や家庭での工夫を考える手がかりになります。
3歳児健診では発達をどのように見るのか
3歳前後で発達について相談する機会として、多くの家庭がまず出会うのが3歳児健診です。ここは制度としての仕組みがはっきりしているので、知っておくと動きやすくなります。
3歳児健診は法律にもとづく健診で、実施するのは市区町村です
3歳児健診は、母子保健法第12条にもとづいて市町村が行うと定められた健診です。同じ条文で1歳6か月児の健診も定められており、この2つは全国どこでも実施される仕組みになっています。
こども家庭庁の乳幼児健診に関する取組みでは、1歳6か月児健診と3歳児健診が母子保健法第12条により市町村に義務づけられ、地方交付税措置のもとで全国で実施されていることが示されています。
当日どの項目を確認するかは自治体から届く通知に書かれていますので、受け取ったら目を通しておきましょう。
案内が届く時期や会場は自治体によって違います。通知の日程が合わないときも、担当窓口に連絡すれば別の回に振り替えられることが多いので、受けそびれたままにしないでおきましょう。
健診で使われる質問紙は、診断のためのものではありません
健診の場面では、発達の様子をていねいに聞き取るために質問紙が使われることがあります。1歳6か月児健診の時期に使われるM-CHATや、3歳児健診の時期に保護者からの聞き取りで特性の強さを見るPARS-TRといったものが知られています。
ただし、これらはあくまでスクリーニング、つまり「もう少していねいに見たほうがよい子を見つけるための道具」です。得点だけで診断が決まることはありませんし、どの質問紙を使うかは自治体や医療機関によって異なります。
結果を伝えられたときは、点数そのものより「次に何を確認するか」を聞いておくと安心です。
「もう少し経過をみましょう」と言われたときの受けとめ方
健診で「経過をみましょう」「次の機会にまた確認しましょう」と言われることがあります。これは「何もしなくてよい」という意味ではなく、「今の時点では判断を急がず、変化を見ながら考えましょう」という意味で使われることがほとんどです。
とはいえ、その言葉だけを持ち帰ると、家では不安が続いてしまいます。そんなときは、その場で次の3つを確認しておくと、あとの動きが楽になります。
次に相談できるのはいつか、どの窓口に連絡すればよいか、家庭で見ておくとよい様子は何か、の3点です。

3歳児健診のあとにつながる相談先と支援の流れ
健診で気になる点を伝えられても、「では、どこに電話をすればいいのか」がわからないまま止まってしまうことがあります。ここが最もつまずきやすい部分なので、窓口ごとの役割を整理しておきます。
| 相談先 | できること | こんなときに |
|---|---|---|
| 市区町村の保健センター(母子保健の担当課) | 健診の結果を踏まえた発達相談、保健師による家庭訪問、次の相談日の設定 | 健診で気になる点を伝えられた直後、まず連絡したいとき |
| こども家庭センター | 母子保健と児童福祉の窓口が一体となった相談、支援の計画づくり | 発達だけでなく、家庭の状況もあわせて相談したいとき |
| 発達障害者支援センター | 発達障害に関する専門的な相談、関係機関の紹介 | 特性の理解や関わり方を、より専門的に相談したいとき |
| かかりつけの小児科 | 発達以外の要因の確認、専門の医療機関への紹介 | 聞こえや体の育ちなど、ほかの要因も確かめたいとき |
| 児童精神科・小児神経科などの専門外来 | 発達検査や行動の観察を含めた診察、診断 | 医師による評価を受けたいとき |
| 児童発達支援の事業所 | 就学前のお子さんへの通所支援、家族への助言 | 生活や集団参加の場面での工夫を、継続して相談したいとき |
診断がつく前から使える支援もあります
医療機関の予約は数か月先になることも珍しくありません。その待ち時間を「何もできない期間」にしないための仕組みがあります。
未就学のお子さんが通う児童発達支援は、児童福祉法にもとづく通所支援です。利用にあたっては市区町村が交付する受給者証が必要になります。
申請の要件や手続き、診断名の扱いは自治体ごとに異なりますので、お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。
また、都道府県や政令指定都市には発達障害者支援センターが置かれていて、本人や家族からの相談に応じ、必要に応じて保健、医療、福祉、教育などの関係機関を紹介しています。
どこから手をつければよいかわからないという段階でも相談できる場所です。
園や保育所と情報を共有しておく
家庭では気にならないのに園で指摘される、あるいはその逆もよくあることです。3歳は集団で過ごす時間が増え、家庭では見えない姿が出てくるためです。
担任の先生に「どんな場面で、どのくらいの頻度で困っているか」を具体的に聞いておくと、窓口や医療機関で話す内容がはっきりします。
保育所や幼稚園を専門職が訪問して助言する巡回相談の仕組みを設けている自治体もあります。
3歳の今日から家庭でできる関わり方

診断の有無にかかわらず、関わり方の工夫はすぐに始められます。特別な道具はいりません。
- 指示は短く区切り、「おもちゃを箱に入れて」のように具体的な言葉で伝える
- 次に何をするかを絵カードや写真で見せ、見通しをもてるようにする
- できたことをその場で言葉にして返し、成功の場面を増やす
- こだわりを頭ごなしに止めず、切り替えの前に予告する時間をつくる
- 気になった様子は日付とともに短くメモしておき、相談のときに持参する
最後のメモは特に役立ちます。「いつ、どんな場面で、どうだったか」が数件あるだけで、相談の質が変わります。
なお、オンラインでの相談では、触れて診察したり検査を行ったりすることはできません。
発達検査や診断が必要な段階では、対面での受診が前提になります。
それでも、「この様子は相談したほうがよいのか」「どの窓口が合っているのか」を整理する段階では、自宅から話せることが助けになる場面もあります。
3歳の発達に関するよくある質問【FAQ】
- 3歳で言葉が遅いだけで自閉スペクトラム症といえますか
-
言葉の遅れだけで決まるものではありません。聞こえの問題や、言葉に関するほかの特性が背景にあることもあります。まずはかかりつけの小児科や市区町村の窓口で、聞こえの確認を含めて相談してみてください。
- 3歳児健診で自閉スペクトラム症のチェックはしてもらえますか。
-
3歳児健診は発達だけを調べる場ではなく、身体や歯、視覚や聴覚もあわせて確認する健診です。発達については問診や行動の観察で様子を確かめ、必要に応じて次の相談につなぐ流れになっています。質問紙を使うかどうかは自治体によって異なります。
- 診断は3歳でつくのでしょうか。
-
3歳ごろに診断されることもあれば、集団生活が本格的に始まってから特性がはっきりしてくることもあります。診断の時期は一人ひとり違い、早ければよいというものでもありません。困っている場面があるかどうかを軸に、医師と相談していきましょう。
- まず最初に電話するとしたら、どこがよいですか。
-
迷ったときは、住んでいる市区町村の保健センターか、こども家庭センターが入口になります。健診の記録が残っているため話が早く、必要に応じて医療機関や支援の窓口にもつないでもらえます。
- 診断を受けないと支援は受けられませんか。
-
児童発達支援の利用には市区町村が交付する受給者証が必要ですが、申請の要件や診断名の扱いは自治体ごとに異なります。診断を待っている間にできることがあるかどうかも含めて、まずはお住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。
【まとめ】自閉症の特徴を3歳で見るときは、当てはまる数より困りごとで考えます
3歳の姿から自閉スペクトラム症(ASD)の特徴を考えるときは、項目に当てはまる数を数えるのではなく、お子さんと家族が生活のなかで困っているかどうかを軸にしてみてください。
そして、気になったら健診や市区町村の窓口という具体的な入口があることを覚えておいていただけたらと思います。
- 自閉症は現在では自閉スペクトラム症(ASD)と呼ばれ、特性の現れ方には大きな幅がある
- 記事や質問紙の項目に当てはまっても診断ではなく、診断ができるのは医師だけである
- ASDは生まれつきの脳の働き方に関係するもので、育て方や愛情のかけ方が原因ではない
- 3歳児健診は母子保健法にもとづき市区町村が行う健診で、発達についても相談できる
- 健診のあとは保健センターやこども家庭センターが入口になり、支援の要件や手続きは自治体で異なるため窓口で確認するとよい
発達の相談は、どこに話せばよいか迷う段階でつまずきがちです。まずは市区町村の保健センターやこども家庭センターにご相談ください。
そのうえで、「この様子は相談したほうがよいのか」「どの窓口が合っているのか」を整理したいときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用するのも選択肢の一つです。
オンラインでは触れて診察したり検査を行ったりすることはできないため、発達検査や診断が必要な段階では、対面での受診の案内を受けることになります。
最終的な判断は医師に相談してください。

