お子さんの成長を見守るなかで、「あまり目が合わない気がする」「言葉がゆっくりかもしれない」「名前を呼んでも振り向かないことがある」と、ふと気になった経験はありませんか。
「もしかして自閉症なのかな」「私の育て方がいけなかったのかな」と、一人で不安を抱えてしまう親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、お子さんの自閉症(自閉スペクトラム症)とはどのようなものかを、主な特徴や年齢別に見られるサイン、原因、相談先の選び方まで、公的機関の情報をもとにわかりやすく解説します。
気になるサインが当てはまっても、すぐに自閉症と決まるわけではありません。慌てず読み進めながら、お子さんの様子を確認してみてくださいね。
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子どもの自閉症(自閉スペクトラム症)とはどんなもの?

自閉症は、生まれつきの脳の働き方の特性による神経発達症(発達障害)の一つです。しつけや育った環境によって、あとから生じるものではないと考えられています。
大きく分けると、人との関わりやコミュニケーションの難しさと、強いこだわりや興味のかたよりという2つの特性がみられます。あわせて、音や光などへの感覚のちがいをともなうこともあります。
特性のあらわれ方や強さは、一人ひとり大きく異なります。同じ「自閉症」でも、ほとんど困りごとが目立たないお子さんもいれば、日常生活で手厚い支援が必要なお子さんもいます。
「自閉症」と「自閉スペクトラム症(ASD)」という呼び方のちがい
以前は、自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害などが、別々の名前で呼ばれていました。
現在は、これらをひとつの連続したものとしてとらえ、「自閉スペクトラム症(ASD)」という診断名にまとめられています。「スペクトラム」とは「連続体」という意味で、特性が濃い人から薄い人まで境目なくつながっていることを表しています。
この記事では、検索されることの多い「自閉症」という言葉と、現在の診断名である「自閉スペクトラム症(ASD)」を、同じ意味として使っていきます。
自閉症の子どもはどのくらいいるの?
日本自閉症協会によると、自閉スペクトラム症のある人は、およそ20〜40人に1人(2.5〜5%)はいると指摘されています。国内でお子さんを対象に行われた研究でも、これに近い割合が報告されています。
男の子に多くみられる傾向があり、かつては男女でおよそ4対1といわれてきました。近年は、これまで気づかれにくかった女の子の特性にも目が向けられるようになっています。
診断されるお子さんは年々増えていますが、これは自閉症そのものが急に増えたというより、特性への理解が広がり、診断のとらえ方が見直され、早い時期に気づかれるようになったためと考えられています。

子どもの自閉症に見られる主な特徴
自閉症の特徴は、大きく3つの面からとらえるとわかりやすくなります。ここでは、それぞれの様子を具体的に見ていきます。
| 特性の面 | みられやすい様子の例 |
|---|---|
| 人との関わり | 目が合いにくい/指さしで気持ちを共有しにくい/表情や気持ちを読み取りにくい |
| こだわり・行動 | 決まった手順や順番へのこだわり/同じ遊びのくり返し/予定の変更が苦手 |
| 感覚の感じ方 | 大きな音や光を強く嫌がる/特定の肌ざわりが苦手/痛みや暑さに気づきにくい |
人との関わりやコミュニケーションの特徴
人と気持ちをやりとりすることに、難しさをともないやすい特徴があります。目が合いにくかったり、指さしで「見て」と共有することが少なかったりします。
言葉の発達がゆっくりだったり、話せても一方的になりやすかったりすることもあります。相手の表情や、その場の空気を読み取ることが苦手な場合もあります。
こだわりの強さや行動のパターン
自分なりのやり方や順番へのこだわりが強く、変更があると強い不安を感じやすい特徴があります。毎日同じ道を通りたがる、同じ遊びをくり返すなどの様子がみられることもあります。
一方で、興味を持ったことに深く集中し、豊富な知識を身につけるお子さんもいます。こだわりは、困りごとにも強みにもなりうるものと考えられています。
感覚の感じ方の特徴(感覚過敏・感覚鈍麻)
音・光・におい・味・肌ざわりなどへの感じ方が、まわりと異なることがあります。掃除機の音を強く嫌がる、服のタグを気にするといった「感覚過敏」がみられることがあります。
反対に、痛みや気温の変化に気づきにくい「感覚鈍麻(かんかくどんま)」がみられることもあります。感じ方のちがいは、その子の困りごとを理解する大切な手がかりになります。
年齢別に見る子どもの自閉症のサイン
自閉症の特徴は、3歳ごろまでに気づかれることが多いとされていますが、集団生活が始まる就学前後まで目立たないこともあります。
ここで挙げるのは、あくまで気づきのきっかけになりやすい様子の例です。発達には大きな個人差があり、当てはまるからといって自閉症とは限りません。診断ができるのは専門の医療機関だけである点も、あわせて知っておいてくださいね。
| 年齢の目安 | 気づかれやすいサインの例 | 気づく機会 |
|---|---|---|
| 0〜1歳ごろ | 目が合いにくい/あやしても笑い返しが少ない/名前を呼んでも振り向きにくい | 乳児健診 |
| 1歳半〜2歳ごろ | 指さしをしない/意味のある言葉が少ない/まねっこ遊びが出にくい | 1歳6か月児健診 |
| 3歳〜就学前ごろ | 会話のやりとりが続きにくい/お友だちの遊びに入りにくい/強いこだわり | 3歳児健診・5歳児健診 |
日本では、1歳6か月児健診と3歳児健診が母子保健法にもとづいて市区町村で行われており、近年は1か月児健診や5歳児健診の実施も国が後押ししています。こうした健診は、発達の様子に気づく大切な機会になっています。
言葉の発達がゆっくりに感じられるときは、少しずつ言葉が増えていく時期の目安を知っておくと、様子を見守りやすくなります。

子どもが自閉症になる原因は?親の育て方は関係あるの?
「自分の関わり方が原因だったのでは」と、ご自身を責めてしまう親御さんは少なくありません。まずは、原因についての正しい情報を知っておきましょう。
しつけや愛情不足が原因ではない
自閉症は、生まれつきの脳の働き方の特性によるものと考えられています。原因は一つではなく、複数の遺伝的な要因と、さまざまな環境の要因が関わり合っているとされています。
大切なのは、親のしつけや愛情不足、育て方が原因ではないという点です。発達障害の情報をまとめた公的なポータルサイトでも、子育ての結果によるものではないと明確に示されています。
ワクチンやスマホの見せ過ぎで自閉症になるの?
「予防接種が自閉症の原因になる」という話を見聞きしたことがあるかもしれません。しかし、ワクチンと自閉症に関連はないことが、科学的な調査で確かめられています。きっかけとなった論文はデータの問題から取り消されており、その後の多くの調査でも関連は否定されています。
また、スマートフォンや動画の見せ過ぎが自閉症の原因になるという、確かな科学的根拠は今のところありません。ただし、乳幼児期のメディアとの付き合い方については、日本小児科医会が家族のふれあいを大切にするよう呼びかけています。見せる時間のバランスを意識しながら、話しかけや一緒の遊びの時間を持てるとよいですね。
「自閉症かもしれない」と思ったら、どこに相談する?
気になるサインがあるときは、一人で抱え込まず、身近なところから相談してみましょう。相談先はいくつかあり、状況に応じて選べます。
| 相談先 | こんなときにおすすめ |
|---|---|
| 市区町村の保健センター・乳幼児健診 | 何から始めればよいか分からず、まず身近な窓口に相談したいとき |
| かかりつけの小児科 | ふだんの様子を知る医師に、発達の気がかりを相談したいとき |
| 発達障害者支援センター | 発達の専門的な相談や、地域の支援先を紹介してほしいとき |
| 児童発達支援センター・専門の医療機関 | 診断や具体的な支援について、くわしく相談したいとき |
まずは健診やかかりつけの小児科など、話しやすいところから始めるのがおすすめです。より専門的な相談をしたいときは、都道府県などが設置する発達障害者支援センターが、地域の窓口として役立ちます。
「発達の相談をどこにすればいいか分からない」「健診まで待つべきか迷う」といったときは、ご自宅からスマートフォンで医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」を活用して、次の一歩を整理するのも選択肢の一つですよ。
自閉症の診断はどのように進むの?
自閉症は、血液検査やレントゲンなどで一目で分かるものではありません。診断は、専門の医師が総合的に判断します。
具体的には、お子さんの行動の様子を観察したり、これまでの発達の経過を保護者からくわしく聞き取ったりしながら進めます。必要に応じて、発達の状態を調べる検査を組み合わせることもあります。
短い時間で結論が出るとは限らず、時間をかけて経過を見ながら判断することもあります。診断がつくかどうかにかかわらず、その子に合った関わり方を早めに知ることが、日々の過ごしやすさにつながると考えられています。
家庭でできる関わり方と、避けたい対応
診断の有無にかかわらず、家庭での関わり方を少し工夫することで、お子さんが安心して過ごしやすくなることがあります。
子どもに伝わりやすい関わり方の工夫
- 短く具体的な言葉でゆっくり伝える
- 絵や写真など目で見て分かる形で示す
- 次の予定を前もって伝えておく
- できたことを具体的にほめて認める
避けたい対応
- 一度にたくさんの指示を出す
- 「なぜできないの」と問いつめる
- 感覚の苦手さを無理に慣れさせようとする
- ほかの子と発達のペースをくらべる
療育(発達支援)とはどんなもの?
療育(発達支援)とは、お子さんの特性に合わせて関わり方を工夫し、その子が持つ力を伸ばして過ごしやすくしていく取り組みです。自閉症の特性そのものを「治す」ものではなく、生活の困りごとを和らげることを目的としています。
日本では、児童福祉法にもとづく児童発達支援などの仕組みが整えられており、お子さん本人への支援だけでなく、家族への相談やサポートもふくまれます。早い時期から専門機関とつながることで、家庭での関わり方のヒントも得やすくなります。

園や学校と連携するときに大切なこと
集団生活が始まると、家庭では気づきにくかった様子が見えてくることがあります。園や学校の先生と情報を共有しておくと、お子さんが安心して過ごしやすくなります。
苦手な場面や、落ち着ける関わり方を具体的に伝えておくと、家庭と園・学校で対応をそろえやすくなります。必要に応じて、加配の先生の配置や、就学に向けた相談などの支援を利用できる場合もあります。一人で抱えず、まわりと協力しながら進めていきましょう。
自閉症の子どもの将来と、強みを活かすという視点

自閉症の特性は、大人になっても続くものと考えられています。一方で、まわりの理解や環境の工夫があれば、その子らしく力を発揮しながら過ごしていくことは十分に可能とされています。
強い集中力や、興味のあることへの深い知識、細部に気づく力などは、その子の大きな強みになることがあります。特性を「直すべきもの」とだけとらえるのではなく、得意を伸ばす視点も大切にしたいですね。
早い時期から特性を理解し、その子に合った関わりや支援につなげていくことが、本人の自信を育てることにもつながっていきます。
子どもの自閉症に関するよくある質問(FAQ)
- 言葉が遅いだけでも自閉症なのでしょうか?
-
言葉の遅れは、自閉症で気づかれやすいサインの一つですが、言葉がゆっくりというだけで自閉症と決まるわけではありません。耳の聞こえや、そのほかの要因が関わっていることもあります。気になるときは、乳幼児健診やかかりつけの小児科で相談してみてください。
- しばらく様子を見ていても大丈夫ですか?いつ相談すべきでしょうか?
-
「様子を見ましょう」と言われることもありますが、気がかりが続くときは、早めに相談して安心につなげてよいものです。相談は診断のためだけではなく、日々の関わり方のヒントを得る場にもなります。健診のタイミングを待たずに、保健センターやかかりつけ医に相談してかまいません。
- 自閉症は治りますか?
-
自閉症は病気を治すという考え方ではなく、生まれつきの特性ととらえられています。特性そのものはなくなるわけではありませんが、まわりの理解や環境の工夫、その子に合った支援によって、生活の困りごとを和らげ、過ごしやすくしていくことができると考えられています。
- きょうだいや家族に遺伝しますか?
-
自閉症には遺伝的な要因が関わっているとされていますが、遺伝の仕組みは複雑で、家族にいるからといって必ず受けつぐというものではありません。心配なことがあれば、専門の医療機関で相談してみてください。
- 赤ちゃんのうちから分かるものですか?
-
生後まもない時期に確実に見分けることは難しいとされています。名前を呼んでも振り向きにくい、あやしても笑い返しが少ないといった様子が続くときは、健診などで相談する目安になります。気になるサインがあれば、記録しておくと相談のときに役立ちますよ。
【まとめ】子どもの自閉症は特性を理解し、早めの相談から支援につなげよう
お子さんの自閉症は、生まれつきの脳の特性による発達のちがいであり、育て方が原因ではありません。気になるサインがあるときは、自己判断で決めつけず、早めに相談することが安心につながります。
- 自閉症(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳の特性で、しつけや愛情不足が原因ではない
- 主な特徴は人との関わり・こだわり・感覚の感じ方の3つの面からとらえられる
- 気づきのサインは年齢によって異なり、当てはまっても自閉症とは限らない
- ワクチンやスマホの見せ過ぎが原因という科学的根拠はない
- 気になるときは健診・かかりつけ小児科・発達障害者支援センターなどに早めに相談する
「発達の相談をどこにすればいいか分からない」「健診まで待つべきか迷う」といったお悩みがあるときは、ご自宅からスマートフォンで医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」をぜひご活用ください。
気になる様子を一人で抱え込まず、まわりと連携しながら、お子さんに合った関わり方を見つけていきましょう。最終的な判断は医師に相談してくださいね。

