お子さんを療育に通わせたいと調べていくうちに、「受給者証」という言葉で手が止まってしまった親御さんは少なくないと思います。
「診断がないと取れないのかな?」「手続きが難しそうで、どこから始めればいいんだろう」と、ためらってしまいますよね。
この記事では、療育の受給者証(正式には通所受給者証)とは何か、対象になる子ども、申請の流れ、必要な書類、交付までの期間の目安までを順を追って解説します。
慌てずに、まずはお住まいの自治体の窓口に相談するところから始めてみてくださいね。
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療育の受給者証(通所受給者証)とは何か
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療育の受給者証とは、児童発達支援や放課後等デイサービスといった「障害児通所支援」を、公費の助成を受けながら利用するために必要な証書です。正式名称を「通所受給者証」といいます。
これらのサービスは児童福祉法に基づいて運営されており、市区町村が「このお子さんには通所支援が必要」と判断(支給決定)したうえで交付されます。事業所と契約するときに提示するもので、いわば療育サービスの利用証のような役割を持っています。
なお、「医療受給者証」という呼び方は、小児慢性特定疾病の医療費の助成や自立支援医療(育成医療)、自治体のこども医療費の助成など、医療費に関するいくつかの制度で使われています。
いずれも療育(障害児通所支援)とは別の制度です。名前が似ているため混同されやすいのですが、療育に通うために必要なのは通所受給者証のほうだと覚えておくと安心です。
受給者証と療育手帳の違い
もうひとつ混同されやすいのが「療育手帳」です。
療育手帳は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳という3種類ある障害者手帳のうちの一つで、主に知的障害のある方を対象としています。
自治体によっては「愛の手帳」「みどりの手帳」などの名称で運用されています。通所受給者証とは、目的も交付の判断基準も異なります。
| 項目 | 通所受給者証 | 療育手帳 |
|---|---|---|
| 目的 | 障害児通所支援の利用 | 各種の福祉サービスや割引などの利用 |
| 判断する主体 | 市区町村 | 都道府県・指定都市(児童相談所等の判定) |
| 療育に通うとき | 原則として必要 | 必須ではない |
療育手帳を持っていなくても通所受給者証を申請できる場合は多く、逆に療育手帳があるからといって自動的に受給者証が交付されるわけでもありません。ふたつは別々の手続きだと考えてください。
受給者証があると利用できる療育サービス
通所受給者証があると、児童福祉法に基づく障害児通所支援の事業所と契約して、支援を受けられるようになります。代表的なサービスは次のとおりです。
| サービス名 | 主な対象 | 支援の場 |
|---|---|---|
| 児童発達支援 | 就学前のお子さん | 通所(事業所) |
| 放課後等デイサービス | 就学中のお子さん | 通所(事業所) |
| 保育所等訪問支援 | 保育所や学校に通うお子さん | 通っている園・学校 |
| 居宅訪問型児童発達支援 | 外出が著しく困難なお子さん | 自宅 |
サービスの区分や名称は制度改正で見直されることがあります。最新の枠組みはこども家庭庁の障害児支援に関する情報や、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

受給者証の対象になる子ども|診断書が必ず要るとは限らない
ここが、療育の受給者証でもっとも誤解されやすいところです。
通所受給者証は、障害者手帳や確定診断がある子どもだけのものではありません。市区町村が「療育による支援が必要」と判断すれば、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる状態のお子さんでも対象になり得ます。
そのため、申請の際に医師の診断書が必須ではない自治体もあります。
診断書の代わりに、医師の意見書や、乳幼児健診・発達相談での所見、相談支援専門員や保健師の意見などで足りるとしている市区町村もあります。
「診断がないから無理だ」とあきらめてしまう前に、まずは窓口に状況を伝えてみてください。
一方で、診断書や意見書の提出を求める自治体もあります。何が必要かは市区町村ごとに異なるため、必ずお住まいの自治体の担当窓口で確認することが大切です。
発達の気がかりについて医療機関で相談したい場合は、小児科や、日本小児神経学会が紹介する小児神経を専門とする医療機関などが窓口になります。
地域の発達支援センターや保健センターでも相談を受け付けています。都道府県・指定都市には、診断の有無にかかわらず相談できる発達障害者支援センターも置かれています(厚生労働省)。
療育の受給者証の申請の流れ
申請の手順も市区町村によって異なりますが、多くの自治体ではおおむね次のような順で進みます。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 相談 | 自治体の障害福祉担当課や発達支援センターに相談する | まずここから。窓口の名称は自治体で異なる |
| 2 見学 | 利用したい事業所を探して見学・利用相談をする | 空き状況の確認も兼ねる |
| 3 申請 | 窓口で支給申請の書類を提出する | 必要書類は事前に確認しておく |
| 4 調査 | 面接調査でお子さんの様子や家庭の状況を伝える | 自宅訪問の形をとる自治体もある |
| 5 計画案 | 障害児支援利用計画案を提出する | 相談支援事業所に依頼するか、保護者が作成する |
| 6 決定 | 市区町村が支給の要否と支給量を決定する | 1か月に利用できる日数などが決まる |
| 7 交付 | 受給者証が届く | 記載内容に誤りがないか確認する |
| 8 契約 | 事業所と契約し、利用を開始する | 受給者証を提示して手続きする |
相談から見学まで
最初の一歩は、お住まいの市区町村の窓口への相談です。障害福祉課、子ども家庭支援課、発達支援センターなど、担当部署の名前は自治体によってさまざまです。
どこに行けばよいか分からないときは、代表電話で「療育の受給者証について相談したい」と伝えると案内してもらえます。
子育てや発達の相談先そのものに迷うときは、こども家庭庁が相談窓口の一覧を公開しています。
並行して、通いたい事業所の見学や利用相談も進めておくと流れがスムーズになります。事業所には定員があるため、希望どおりの曜日や時間に空きがあるとは限らないからです。
障害児支援利用計画案の作成
申請では、どのようなサービスをどのくらい利用したいかをまとめた「障害児支援利用計画案」が求められます。作成方法は大きく2つです。
- 相談支援事業所の相談支援専門員に依頼して作成してもらう
- 保護者自身が作成する(セルフプランと呼ばれます)
どちらを選べるか、またどちらが原則かは自治体の運用によって異なります。相談支援事業所が混み合っていて依頼までに時間がかかる地域もあるため、この点も早めに窓口で確認しておくとよいでしょう。
支給決定と受給者証の交付
面接調査と計画案の内容をもとに、市区町村が支給の要否と支給量を決定します。支給量とは、1か月あたりに利用できる日数の上限のことです。お子さんの状況や家庭の状況によって決まるため、一律ではありません。
受給者証が届いたら、氏名や有効期間、サービスの種類、支給量の記載に誤りがないかを確認しましょう。その後、事業所と契約を結んで利用開始となります。

受給者証の申請に必要な書類
必要書類は市区町村によって違いがありますが、次のようなものを求められることが多いです。
- 支給申請書など自治体所定の様式
- お子さんと保護者のマイナンバーが確認できるもの
- 世帯の所得や課税状況が確認できる書類
- 障害児支援利用計画案(またはセルフプラン)
- お子さんの状態が分かる資料(医師の意見書、診断書、健診や発達相談の結果、心理検査の結果など)
最後の「お子さんの状態が分かる資料」については、前述のとおり何が認められるかに自治体差があります。診断書しか認めていない自治体もあれば、意見書や相談機関の所見で足りる自治体もあります。
書類をそろえてから窓口に行くよりも、先に窓口で必要書類を確認してから準備を始めるほうが、二度手間になりにくいです。
受給者証の交付までにかかる期間の目安

申請から受給者証が手元に届くまでの期間は自治体によって大きく異なり、全国で共通の目安は示されていません。数週間で交付される自治体もあれば、面接調査や計画案の作成の日程しだいで数か月かかる自治体もあります。
申請が集中する時期はさらに時間がかかることもあります。
年度替わりの前後は申請が増えやすい時期です。新学期から通い始めたいと考えている場合は、余裕をもって相談を始めておくと安心です。実際にどのくらいかかるかは、相談の段階で必ずお住まいの市区町村の窓口に確認してください。
利用者負担と更新について知っておきたいこと
障害児通所支援にかかる費用は、その多くが公費でまかなわれ、保護者は一部を負担する仕組みです。世帯の所得の状況に応じた区分ごとに、1か月あたりの負担の上限額が定められています。
区分の呼び方や具体的な金額は制度改正で見直されることがあります。最新の内容はこども家庭庁の障害児支援に関する情報や、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。
なお、就学前の児童発達支援については、満3歳になって最初の4月1日から小学校入学前までの3年間、保護者の負担が無償となる仕組みが設けられています。
0〜2歳児クラスの間は対象外で、その場合は世帯の所得に応じた負担の上限額が適用されます。対象や適用の時期は制度改正で変わることがあるため、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。
また、受給者証には有効期間があり、継続して利用するには更新の手続きが必要です。
更新の時期や案内の方法、必要書類も自治体ごとに運用が異なります。有効期間は受給者証に記載されているので、届いた時点で確認しておくと更新のし忘れを防げます。
療育の受給者証についてよくある質問【FAQ】
- 診断がないと受給者証は取れないのでしょうか。
-
必ずしもそうとは限りません。市区町村が支援の必要性を認めれば、確定診断がなくても対象になる場合があります。診断書の代わりに医師の意見書や相談機関の所見で足りる自治体もあるため、まずは窓口に相談してみてください。
- 療育手帳がなくても申請できますか。
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できる場合が多いです。通所受給者証と療育手帳は別の制度で、判断する主体も基準も異なります。詳しい取り扱いはお住まいの自治体にご確認ください。
- 複数の事業所を併用することはできますか。
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支給量の範囲内であれば、複数の事業所を組み合わせて利用できる自治体もあります。契約は事業所ごとに行うことになります。可否や手続きは自治体と事業所の双方に確認しましょう。
- 引っ越したら受給者証はそのまま使えますか。
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通所受給者証は市区町村が交付するものです。転出先では改めて手続きが必要になるのが一般的なので、転居が決まった段階で転出元と転入先の両方の窓口に相談してください。
- 受給者証の申請と並行して事業所を探してもよいですか。
-
問題ありません。むしろ、見学や利用相談を早めに進めておくほうが、交付後の利用開始がスムーズです。ただし事業所には定員があるため、希望どおりに通えるとは限らない点は念頭に置いておきましょう。
- 発達の相談はオンラインでもできますか。
-
日ごろの気がかりを相談したり、どこに相談すればよいかの見当をつけたりする場面では、オンラインでのやりとりも選択肢になります。ただしオンラインでは触診や検査、行動の直接観察ができないため、発達の詳しい評価や、申請に使う書類の作成には対応できないことがあります。受給者証の申請そのものは自治体の窓口での手続きになる点にもご注意ください。発達について相談できる医療機関を探すときは、日本小児神経学会の発達障害診療医師名簿で、発達障害の診療に応じると回答した医師の名簿が公開されています(診察の可否や詳細は各施設への問い合わせが必要です)。なお、国立成育医療研究センターこころの診療科のような専門の診療科は、かかりつけの医療機関や保健所などからの紹介状を持参した方のみ予約を受け付けている場合があります。
【まとめ】療育の受給者証は自治体の窓口への相談から始まる
療育の受給者証(通所受給者証)は、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用するために市区町村が交付する証書です。
診断の有無や必要書類、期間、負担の区分はいずれも自治体によって運用が異なるため、最初の一歩は窓口への相談になります。
- 療育の受給者証の正式名称は通所受給者証で、医療受給者証とは別の制度である
- 確定診断がなくても市区町村が必要と判断すれば対象になる場合がある
- 診断書の代わりに医師の意見書や相談機関の所見で足りる自治体もある
- 申請は相談から見学、書類提出、調査、計画案、支給決定、交付、契約という順で進む
- 交付までの期間や必要書類、負担の区分は自治体差が大きいため必ず窓口で確認する
子どもの発達の気がかりについて、病院に行く時間がなかなか取れないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
最終的な判断は医師に相談してください。

