癇癪がひどいのは発達障害?関係と家庭でできる対応、相談を考える目安を解説

癇癪がひどいのは発達障害?関係と家庭でできる対応、相談を考える目安を解説

子どもの癇癪がひどい日が続くと、「発達の特性と関係があるのだろうか」と、寝かしつけのあとに検索してしまう夜がありますよね。

結論からお伝えすると、癇癪の強さや回数だけで発達障害かどうかが決まることはありません。ただし、発達の特性が癇癪の引き金になる場面はあると、学会の資料にも書かれています。

迷いやすいのは、次の3つです。

  • 癇癪と発達障害はどう違い、どこで関わり合うのか
  • 家庭でできる対応と、やめたほうがよい対応
  • 診断がなくても使える相談先と、受診を考える目安

「何分続いたら受診」という数字の基準は、公的な資料では確認できていません。後半で、3歳児健診の設問をもとにした目安を紹介します。

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あんよマガジンは、編集方針に基づき、公的機関の発表資料や学会ガイドライン等の一次情報を確認したうえで記事を制作しています。

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本記事は、疾患や症状に関する一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。また、特定の医薬品・医療機器・治療法の効果を保証・推奨するものでもありません。気になる症状やご不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。

なお、本記事の内容は公開時点の情報に基づいており、最新の医学的知見や制度改正により変わる場合があります。

当社は記事制作にあたり、医療法、医療広告ガイドライン、医薬品医療機器等法(薬機法)、健康増進法、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)等の関係法令・指針を踏まえて制作しています。

目次

癇癪とは?診断名ではなく、子どもの行動の様子を指す言葉です

癇癪とは、泣き叫ぶ、床に寝転がる、物を投げる、自分の頭を打ちつけるといった、感情が一気にあふれて収まりがつかなくなる状態を指す言い方です。医学の診断名ではなく、行動の様子をまとめて呼ぶ言葉として使われています。

ここが最初の分かれ道です。

結論

癇癪は「状態の呼び名」で、「病名」ではありません。そのため、癇癪があるという一点だけで、診断名に結びつけることはできません。

一方で、癇癪という語は専門家の資料にも登場します。自閉スペクトラム症(じへいスペクトラムしょう。英語の略称はASD)は、人との関わり方や、強いこだわりに特性が見られる発達障害のひとつです。日本小児科学会「移行期医療における疾患別ガイド 自閉スペクトラム症」(文責:日本小児精神神経学会 移行期支援委員会、2026年4月16日掲載)は、治療法の項で「特性に起因する行動障害(かんしゃく・パニック・激しい常同行為や自傷など)」への対応に触れています。常同行為とは、同じ動きを何度も繰り返すことです。

この記述の向きには注意が必要です。ガイドが挙げているのは、特性があって、その結果として癇癪が現れる場面です。癇癪があれば診断名が付く、という向きでは書かれていません。

癇癪は何歳ごろまで続く?年齢別の姿と、年齢だけで決めないための4つの観点

癇癪の表れ方は、成長とともに変わっていきます。ただし「何歳までに収まれば心配ない」という線を数字で示した公的な資料は、今回の調査では確認できていません。年齢だけで相談するかどうかを決めず、このあと紹介する4つの観点で様子を見てください。

年齢ごとの癇癪の姿は、2つの力の育ち方から理解できます。「こうしたい」と主張する力と、その気持ちにブレーキをかける自己制御の力です。どちらも時間をかけて育つもので、育ち方には個人差があります。

厚生労働省の「保育所保育指針解説」(平成30年2月)も、1歳以上3歳未満について次のように記しています。

自我が芽生え、1歳半ば頃から強く自己主張することも多くなる。

3歳以上については、「子どもの自己発揮と自己抑制の調和のとれた発達」に触れています。

年齢の目安よく見られる癇癪の姿相談を考えたいサイン
1歳前後思いどおりにならず泣き続ける、のけぞる(言葉より先に体で気持ちを表す時期)泣いたあとに呼吸が止まる、顔色が悪くなる
2〜3歳床に寝転がる、物を投げる、要求が通るまで続く(「自分でしたい」気持ちを行動で表す時期)毎日の生活が回らない、保護者が消耗している
4〜5歳言葉で反発しながら泣く、手が出る(気持ちを言葉でも表そうとする時期)園での困りごとが続いている
就学以降場面を選ばず強い怒りが出る、自分を叩く自傷や他害(人を叩く、かみつくなど)が続き、暮らしに影響が出ている

括弧内は、前出の「保育所保育指針解説」にある発達の流れをもとにしています。乳児期は「表情、発声、体の動きなどで、感情を表現することが多い」、1歳以上3歳未満は子どもの「自分でしたい」という思い、3歳以上は「自分の気持ちを言葉で表現する」ことが挙げられています。中央の列の癇癪の姿は編集部が挙げた例、右の列は相談のきっかけとして編集部が整理したもので、どちらも医学的な基準ではありません。

お子さんの癇癪を振り返るときは、年齢だけでなく、次の4つの観点で見てください。各項目の「|」のあとは、相談のときに話す材料になりやすい様子です。

  • きっかけ|同じ場面(朝の支度、買い物など)で繰り返し起きる
  • 続く時間|長く続く日が増えてきた
  • 収まり方|抱っこや声かけでも収まりにくい
  • 年齢との関係|以前より、起きる回数や場面が増えている

こうした癇癪の様子が続いていても、それで発達障害かどうかが決まるわけではありません。決まるのは、相談するときに何を話すかです。

年齢ごとの一般的な原因と対応は、子どもの癇癪はなぜ起こる?年齢別の原因と対応法で詳しく扱っています。

調べていること自体が後ろめたく感じる方へ

4つの観点に心当たりがあった方もいると思います。調べることは、子どもを決めつけることではありません。相談したからといって、検査の手続きが自動的に始まるわけでもありません。

発達障害ナビポータル「相談できる窓口を教えて欲しい」は、発達障害者支援センターについて「発達障害の診断がなくても相談を受けられます」「相談にかかる費用は無料」と案内しています。

相談した結果「今は様子を見ましょう」となった場合も、家で何を見ておけばよいかが具体的に決まります。4つの観点のうち、どれを記録すればよいかが分かれば、次の相談の材料になります。

癇癪と発達障害は何が違う?癇癪だけでは判断できません

癇癪と発達障害の違いを、2つの円の重なり方で示した図。行動の様子の呼び名である癇癪と、法律で脳機能の障害と定義される発達障害が一部だけ重なり、癇癪は発達の特性の有無にかかわらず起こることを示している

発達障害は、発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第1項で「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

つまり発達障害は、症状が通常は低年齢のうちに現れる脳機能の障害として、法律で位置づけられています。発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」も、自閉スペクトラム症の原因について「子育ての結果によるものではありません」と記しています。

対して癇癪は、その時々の状況で立ち上がる行動です。癇癪は、発達の特性の有無にかかわらず起こります。2つは別の層にある概念で、一部が重なる関係だと考えると整理しやすくなります。

補足

「自分の育て方のせいで癇癪が起きているのでは」と感じている方へ。上の定義のとおり、発達障害は関わり方が原因で生じるものとして書かれていません。自分を責める材料にしないでください。

前出の厚生労働省「保育所保育指針解説」は、1歳以上3歳未満の時期を次のように説明しています。

この時期は、何でも自分でやってみようとするが、まだそれを実現する力が十分には追い付かないことが多い。

そのうえで、ボタンがはまらずに「かんしゃくを起こしてしまう」姿を、この時期の例として挙げています。特性に起因する癇癪があることは、先に紹介した日本小児科学会のガイドのとおりです。

癇癪はそもそもなぜ起きるのでしょうか

癇癪の背景は、大きく3つに分けて考えると見通しが立ちます。ひとつは生理的欲求です。眠い、空腹、暑いといった体の状態が整っていないとき、気持ちの余裕は一気に削られます。夕方に癇癪が集中していると感じるご家庭では、この条件が重なりやすい時間帯であることが、背景のひとつとして考えられます。

2つ目は、要求や拒否が通らなかったときです。「これが欲しい」「これは嫌だ」を伝えたのに通らなかった経験が、そのまま行動に出ます。表の2〜3歳にある「要求が通るまで続く」が、これにあたります。

3つ目が、自己制御の力の未熟さです。気持ちが動いたあとに自分でブレーキをかける力は、時間をかけて育っていきます。3つは重なって働くことも多く、理由をどれかひとつに絞り込めるとは限りません。

補足

この3つの分け方は、癇癪の背景を考えるための目安として編集部が整理したもので、医学的な分類ではありません。

こども家庭庁の「しつけ?体罰?これってどっち??」も、子どもが「言うことを聞かない」背景について、「言われていることをこどもが理解できていない、体調が悪いなど、様々な理由があります」と記しています。

発達障害の特性は、なぜ癇癪の引き金になるのでしょうか

特性そのものが癇癪を生むわけではありません。特性と周りの環境(予定の変わり目や、音・人混みといった刺激など)が噛み合わないとき、その摩擦が癇癪という形で表に出る、という順序で捉えてください。

発達障害の特性と癇癪の関わり方を示した図。発達の特性と、予定の変わり目などの周りの出来事や刺激を2つの歯車にたとえ、癇癪を両者の噛み合わせで捉える見方を、こだわりの強さと予定の変わり目の例で示している

こだわりの強さ

発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」(国立障害者リハビリテーションセンター)は、自閉スペクトラム症の特性として「自分のやり方へのこだわりが強く融通が利かない」「初めてのことや、予定を変更されることは好まず、環境に馴染むのに時間がかかることがある」と記しています。

予定が急に変わる場面は、日常にいくらでもあります。次に何が起きるかの見通しが崩れたときの混乱が、癇癪として現れることがあります。

感覚過敏|音や光の受け取り方の違い

音、光、肌ざわりといった刺激の受け取り方には個人差があります。周囲には気にならない刺激が、その子にとっては耐えがたい負荷になっている場合もあります。

国立障害者リハビリテーションセンター研究所「発達障害者の感覚の問題」(2022年4月19日)は、「大きな音やまぶしい光、チクチクとした肌触りの布が苦手」といった感覚の問題を持つ方が多数いると記しています。その現れ方は「多種多様で個人差も大きく、人によって出方が大きく異なります」としています。

音の大きい場所や人混みで癇癪が起きやすいと感じたら、4つの観点の「きっかけ」に書き留めておくと、相談のときに具体的に伝えられます。

要求や拒否を言葉で伝えにくいこと

発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」は、乳幼児期の様子として「始語が遅く言葉の発達に遅れが認められる場合もあります」と記しています。言葉で説明する力がまだ育っていない段階では、伝えたい中身と伝えられる手段の差が開き、その差が、泣き叫ぶ、叩くといった行動として表に出ることがあります。

こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)も、行動上の課題が表れたときには「その行動の意味等にも着目する」こと、そして「自発的なコミュニケーションスキル等を身につけていくため」の支援を挙げています。

衝動性と、気持ちの切り替えにくさ

発達障害ナビポータル「注意欠如多動症」は、注意欠如多動症(ちゅういけつじょたどうしょう。英語の略称はADHD)の特性として「思いつくと直ぐに行動に移してしまったり」「待つことが苦手」「行動の抑制が難しい」と記しています。

同じページには「ADHDの子どもたちは学校や家庭での失敗が多く、友達とのトラブルも多いので、つらい思いをしがちです」という記述もあります。叱られる経験が積み重なること自体が、その子の負荷になっている場合があります。

発達障害の種類によって、癇癪との関わりは違うのでしょうか

種類はいくつかあり、特性の表れ方もそれぞれ違います。ここでは、よく名前が挙がる3つを取り上げます。発達障害の特徴全般については発達障害のある子どもの特徴もあわせてご覧ください。

ASD(自閉スペクトラム症)の特性と癇癪

自閉スペクトラム症は「人生早期から社会的コミュニケーション及び対人的相互反応において持続的な困難があり、行動、興味、又は活動の限定された反復的な様式が認められる」状態として説明されています[3]。こだわりの強さや、予定の変更への対応しにくさが、癇癪の場面と結びつきやすい特性です。

ADHD(注意欠如多動症)の特性と癇癪

注意欠如多動症は、不注意、落ち着きのなさ(多動性)、思いついたらすぐ動く傾向(衝動性)が特性として挙げられます。「待つことが苦手」という記述のとおり、待たされる場面や、遊びを途中で止められる場面が負荷になりやすいと考えられます。

SLD(限局性学習症)の特性と癇癪

限局性学習症(げんきょくせいがくしゅうしょう。英語の略称はSLD)は、発達障害者支援法では学習障害と呼ばれます。文部科学省の学習障害の定義では、聞く、話す、読む、書く、計算するといった能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態とされています[2]。困りが出やすいのは主に就学後の学習の場面です。小学生になって宿題の時間に癇癪が集中する場合は、この特性も相談の場で話題にしてみてください。

癇癪を起こしにくくするために、事前にできる工夫は?

癇癪は、特性や体の状態と周りの環境が噛み合わないときに起きやすくなると整理してきました。そこで家庭でできるのは、その噛み合わなさを先に減らしておくことです。

まず、次に何が起きるかを先に伝え、見通しを持てるようにします。予定の変わり目で気持ちを切り替える負担が下がり、癇癪の場面が減ることがあります。予告を試しても変わらなかった場合は、次の3ステップのSTEP3(落ち着いたあとの関わり)から試してください。

言葉だけで伝わりにくいときは、絵や写真を使った視覚的支援が助けになることがあります。たとえば次のような方法です。

  • 順番を絵カードで示す
  • 時計の針の位置で終わりの時間を示す

自閉スペクトラム症の支援でも、「視覚化・構造化を用いた支援」が挙げられています[1]。

生理的な条件も見落とせません。眠気と空腹が重なる時間帯は、どの子どもにとっても踏ん張りが利きにくい時間です。買い物や外出の予定をその時間からずらすだけで、癇癪の起きる場面が減ることがあります。

こども家庭庁の「しつけ?体罰?これってどっち??」も、「こどもが困った行動をする場合、こども自身も困っていることがあります」として、子どもが自分でできるように教えることや、環境を整えることを勧めています。

補足

先に予告する工夫と、眠気や空腹の重なる時間帯を避ける工夫は、一般的な関わり方の工夫として編集部が整理したものです。

癇癪が起きたら、どう対応する?落ち着くまでの3ステップ

予告や見守りを試しても変わらなかった、という方もいると思います。多くの説明は、癇癪が収まるまでで終わっています。抜けているのは、収まったあとの場面です。

  • STEP 1 安全を確保する。頭を打ちつけている、物を投げているといった自傷や危険のある場面では、まわりの物をどけて、体がぶつからない場所へ移すことを最優先にします。癇癪の最中の説得は後回しで構いません。
  • STEP 2 落ち着くまで待つ。感情が高ぶっている最中の言葉は届きにくいため、静かな場所で気持ちが下がるのを待ちます。刺激の少ない場所を、気持ちを落ち着かせる場所(クールダウンの場所)として決めておくと、その都度迷わずに済みます。
  • STEP 3 落ち着いたあとに伝える。ここが見落とされがちな場面です。自分で収められたことを褒める言葉をかけ、何が嫌だったのかを一緒に短く言葉にします。叱る場面ではなく、次の癇癪を短くするための場面として使ってください。

順番を入れ替えないことが肝心です。落ち着く前に言い聞かせても届かず、STEP3を飛ばすと、次の癇癪につながる学びが残りにくくなります。

待つことと、落ち着いたあとに認める声をかけることは、公的な資料にも書かれています。こども家庭庁の「しつけ?体罰?これってどっち??」は、「こどもはすぐに気持ちを切り替えるのが難しいこともあります。時間的に可能なら、待つことで子どもの気持ちや行動が変化するかもしれません」と記しています。お菓子売り場で駄々をこねる場面の解説でも、「気持ちを切り替えることができたら、認める声がけをしましょう」としています。

補足

3つのステップの順番と、安全を確保する具体的な方法は、一般的な関わり方の工夫として編集部が整理したものです。

癇癪への対応で、やってはいけないことは?

怒鳴る、脅す、置いていくと言う。これらは一時的に行動が止まったように見えても、子どもの側には「怖かった」という記憶が残りやすい関わり方です。こども家庭庁の「しつけ?体罰?これってどっち??」は、「体罰や暴言は、こどもの身体や心を傷つける行為です」と記し、「著しい暴言や著しく拒絶的な対応をすること」は「虐待」として禁止されていると説明しています。

要求を飲んで物を与えることも避けたい対応です。泣き叫べば通ったという経験が積み重なると、その行動が続きやすくなり、次の癇癪が長引くことがあります。

補足

要求を飲まないことと、次に挙げるほかの子と比べないことは、一般的な関わり方の工夫として編集部が整理したものです。

きょうだいや他の子どもと比べる言い方も、避けたい対応です。代わりにできるのは、その子の良いところを具体的に褒めることです。同じページは「こどもの良い態度や行動を褒めることは、こどもにとって嬉しいだけでなく、自己肯定感を育むことにもなります」と記しています。

怒鳴ってしまった日があっても、落ち着いたあとにSTEP3の声かけをすれば、次の癇癪に向けた関わりに戻せます。

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どこに相談すればいい?発達障害の相談先の使い分け

相談先は6つありますが、最初に行く場所は「かかりつけの小児科」と「市町村の保健センター」の2つに絞れます。園から何も言われていなくても、保護者が気になった時点で相談して構いません。

相談先できること利用のしかた
かかりつけの小児科体の状態の確認、必要に応じた紹介すでに通っている場所から始められる
乳幼児健診・保健センター健康診査(1歳6か月児・3歳児は母子保健法第12条)と保健指導(同法第10条)。どちらも市町村が実施対象年齢であれば案内が届く
子育て支援センター子育て等に関する相談・援助、地域の子育て関連情報の提供子育て中の親子が気軽に集い、相談できる場として市町村が設けている
児童発達支援センター・児童発達支援事業所発達の特性に合わせた支援。利用には市町村が認める手続き(給付決定)が必要申請の手続きを経て利用する
発達障害者支援センター相談支援、発達支援、関係機関の紹介診断がなくても相談でき、相談は無料
児童相談所養護・障害・非行・育成などの各種相談子どもに関する家庭などからの相談を受け付けている

健診の案内が届いている時期なら、その場が最初の相談の機会になります。3歳児健診を終えたあとも、次の健診を待たずに、お住まいの市町村の保健センターへ問い合わせることができます。

順番は、まず小児科か保健センターで話すところからです。そのうえで必要に応じて、子育ての困りごとを続けて話したいなら子育て支援センター、制度や機関の案内がほしいなら発達障害者支援センター、支援そのものを受けたいなら児童発達支援を利用する、と考えると迷いません。

診断名がないと支援は受けられないのでしょうか

多くの保護者が迷うのは、「相談したら診断が付いてしまう」「診断がないと何も始まらない」という、正反対の2つの不安です。

1つ目の不安について。相談しただけで診断名が付くことはありません。診断は、生育歴や行動の観察、検査などを総合して医師が行うものです。発達障害ナビポータル「相談できる窓口を教えて欲しい」は、発達障害者支援センターについて次のように案内しています。

また、発達障害の診断がなくても相談を受けられますし、ご家族や会社の同僚など周囲の方々からの相談も受けています。

2つ目の不安について。発達の特性に合わせた支援を受けることを、療育(りょういく)と呼びます。こども家庭庁「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」(令和8年3月)には、通所給付決定について「医学的診断名又は障害者手帳を有することは必須要件ではなく、療育を受けなければ福祉を損なうおそれのある児童を含むもの」と記されています。

同じ資料には「年齢等を考慮して、必ずしも診断名を有しなくても、障害が想定され支援の必要性が認められればよい」という記述もあります。こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)も、対象を「主に就学前の障害のあるこども又はその可能性のあるこども」としています。

補足

支援を利用するかどうかは最終的に市町村が決めるため、地域差はあります。それでも、診断がないことを理由に相談をためらう必要はありません。

癇癪について相談・受診を考える目安は?

目安の手がかりは、公的な健診の問診項目にあります。

こども家庭庁の母子保健指導者養成研修資料(令和6年度)によれば、3歳児健診を含む乳幼児健診に共通する問診項目として、「あなたは、お子さんに対して育てにくさを感じていますか」という設問が置かれています。癇癪の回数を数えるだけでなく、保護者のこの実感も相談の理由にしてよいということです。

3つの層に分けた目安を見る前に、先に確認しておきたい様子が2つあります。

休日・夜間に、子どもの症状にどう対処するか、病院を受診したほうがよいか判断に迷うときは、子ども医療電話相談(♯8000)で小児科医師・看護師に電話で相談できます。

目安は3つの層に分けて考えてください。表の下の層ほど、医療機関で様子を見てもらう必要が高くなります。どの層か迷うときは、下の層として相談してください。

目安の層見ておきたい様子次にとる行動
家で見ていく収まったあとは普段どおりに過ごせている4つの観点の記録を続け、気になったら保健センターや小児科で話す
まず相談してみる育てにくさを感じている、園での困りごとが続いているかかりつけの小児科、保健センター、発達障害者支援センターへ
早めに受診する自傷や他害(人を叩く、かみつくなど)が続き、暮らしに影響が出ている小児科、発達外来のある医療機関へ
補足

この3つの層は、健診の設問と上記の学会・公的資料をもとに編集部が整理した目安で、医学的な基準ではありません。

癇癪と発達障害の見分け方はありますか

癇癪の様子だけで、家庭で見分けることはできません。診断は医師が行うもので、日本小児科学会「移行期医療における疾患別ガイド 自閉スペクトラム症」は「診断にあたっては生育歴・発達歴、行動観察、心理検査、医学的検査などを用いて総合的に判断する必要がある」としています。

家でできるのは、見分けることではなく、医師や相談員が判断に使える材料をそろえることです。自己判断のチェックを重ねるより、4つの観点で記録して持っていくほうが、家庭での様子を正確に伝えられます。

相談の前に記録しておくとよい4つのこと

診療や相談の場では、生育歴や行動の観察、園など集団での様子が手がかりになります。そこで役立つのが、4つの観点に沿った短いメモです。

  1. きっかけ(いつ、どこで、何の直前に起きたか)
  2. 続く時間(収まるまでにかかった時間)
  3. 収まり方(誰がどう関わって収まったか)
  4. 年齢との関係(いつごろから増えたか)

この4項目は公的な様式を写したものではなく、相談の場で話しやすくするための整理です。オンライン診療の予約で「相談したいこと」を書く欄にも、そのまま使えます。母子健康手帳の交付・活用の手引きは、健診のときだけでなく小児科を受診する際にも母子健康手帳を持参することを勧めています。手帳の余白に書き足す形でも十分です。

癇癪に薬が処方されることはありますか

薬の話は、相談の最初に決めるものではありません。服薬や薬物療法を行うかどうかは、医師が診察で様子を確かめたうえで判断します。薬について聞いてみたいときは、4つの観点の記録を持って、小児科や発達外来のある医療機関で相談してください。

オンライン診療では、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が初診で処方しない薬を定めており、医師の判断により処方できない場合もあります。

癇癪の相談を、夜に子どもを連れ出さずにするには

癇癪と発達の特性の関係は家庭で白黒をつけるものではなく、診断がなくても相談できます。とはいえ、子どもを連れて昼間に窓口へ行くのは簡単ではありません。

小児科オンライン診療「あんよ」では、提携医療機関の医師が6時から23時まで診療しています。夜の時間帯でも、自宅から、子どもを連れ出さずに提携医療機関の小児科医に相談できます。その場で診断名が付くものではありません。いま家で何を見ておけばよいか、次にどこへつなぐとよいかを一緒に整理する場です。相談したからといって、検査の手続きが始まるわけでもありません。

区分内容
オンラインで相談できること家庭での対応の相談、4つの観点の記録の整理、どこへ相談すればよいかの見立て
対面での診察が必要なこと発達障害の診断、発達検査(専門職が遊びや課題を通して発達の様子を確かめる検査)
十分な情報が得られないとき厚生労働省の指針は、十分な情報が得られないと医師が判断した場合、オンライン診療を中止して対面の診療を行うよう定めています

あんよでの相談が合うのは、次のような場面です。

  • 癇癪への家での関わり方を、小児科医と一緒に整理したい
  • 4つの観点の記録をもとに、次にどこへ相談すればよいかの見立てがほしい
  • 夜の時間帯に、子どもを連れ出さずに相談したい

反対に、次の場面はオンラインでの相談を待たないでください。

  • けいれんが続いている、意識が戻らない、ぐったりしている:命に関わると感じたときは、迷わず119番に電話してください
  • 発達障害の診断や発達検査を受けたい:対面での診察が必要です

相談の前に、4つの観点のメモを用意しておくと、予約で「相談したいこと」を書く欄にそのまま使えます。

利用料は無料で、診療料は健康保険の対象です。子ども医療費助成は、あんよが対応している都道府県で使えます。お住まいの地域が対象かは公式サイトで確認してください。予約はLINEで友だち追加をして行います。夜のうちに相談したいことを整理しておきたいときは、小児科オンライン診療サービスあんよへ相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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癇癪と発達障害についてよくある質問【FAQ】

育て方が原因で癇癪がひどくなっているのでしょうか。

発達障害は法律上、低年齢で現れる脳の機能の特性として定義されており、関わり方によって生じるものとは書かれていません。対応の工夫で癇癪の場面を減らせることはありますが、原因を保護者に求めるのは正確ではありません。

3歳児健診で何も言われなかったのに、相談してよいのでしょうか。

相談して構いません。3歳児健診を含む乳幼児健診が「育てにくさを感じていますか」と保護者に尋ねているとおり、保護者の実感は相談の理由になります。

小学生になっても癇癪が続いています。

年齢が上がると、場面や表れ方が変わっていきます。自傷や他害が続いている、暮らしへの影響が出ているときは、年齢にかかわらず相談の対象になります。

療育を受けるには診断が必要ですか。

こども家庭庁の資料「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」には「医学的診断名又は障害者手帳を有することは必須要件ではなく」と記されています。手続きは市町村ごとに異なるため、お住まいの自治体の窓口で確認してください。

保護者だけで相談してもよいのでしょうか。

はい。発達障害者支援センターは家族からの相談も受け付けており、相談にかかる費用は無料です。お住まいの市町村の保健センターにも、保護者から問い合わせることができます。保護者への保健指導は、母子保健法第10条で市町村の業務とされています。

【まとめ】癇癪だけで発達障害かは判断できず、診断がなくても相談できます

この記事のまとめ
  • 癇癪は行動の様子を指す言葉で、診断名ではありません。癇癪だけで発達障害かどうかは判断できません
  • 発達の特性は、環境と噛み合わないときに癇癪の引き金になることがあります
  • 対応は、安全を確保する、落ち着くまで待つ、落ち着いたあとに伝える、の順序で組み立てます
  • 相談の目安となる公的な数値の基準は、確認できていません。健診では保護者が育てにくさを感じているかも尋ねており、その実感自体が相談の理由になります
  • 診断名は支援の必須要件ではありません。きっかけ・続く時間・収まり方・年齢との関係の4つを記録して、相談の材料にしてください

癇癪が続く毎日のなかで、保護者自身が消耗しているご家庭も多いでしょう。子どもの様子と同じくらい、ご自身の状態も相談してよい材料です。

そのほかの子どもの症状や発達に関する記事はあんよマガジンに掲載しています。

参考資料(出典一覧)

公開日:2026年9月30日

最終更新日:2026年9月30日

最終調査日:2026年9月27日

次回見直しの目安:2027年3月(相談先の制度、オンライン診療の指針、学会のガイドの改訂を中心に確認する編集部の予定)

更新履歴

  • 2026年9月30日:初版公開