園で「音の大きいホールも苦手みたいですね」と言われ、家では服のタグを嫌がって泣く。感覚過敏なのか、どこに相談すればよいか分からず困りますよね。
感覚過敏とは、感覚の刺激を過剰に強く感じ、苦痛と感じるような状態を指す言葉です[1]。病気の名前ではありません。この状態の子どもは、音や肌ざわりを強く、つらく受け取っています。
- 感覚過敏は診断名ではなく、刺激の感じ方の「状態」を指す言葉です
- 聴覚や触覚など感覚ごとに現れ方が違い、合う工夫も変わります
- 困りごとが続けば、園や小児科、市区町村の窓口に相談できます
本記事の編集方針について
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本記事は、疾患や症状に関する一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。また、特定の医薬品・医療機器・治療法の効果を保証・推奨するものでもありません。気になる症状やご不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。
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感覚過敏とは?相談の前に知っておきたい基本
感覚過敏は診断名ではなく「状態」を指す言葉
同じ音や肌ざわりでも、ほかの人より強く、つらく届いてしまう。それが感覚過敏です。反対に、刺激を感じにくい状態は感覚鈍麻と呼びます[1]。
日本小児神経学会は自閉スペクトラム症(ASD)の説明の中で、音や光に過敏な一方で、痛みや満腹感など体の内側の感覚には鈍い場合も少なくないと述べています[2]。過敏と鈍さが、1人の中に両方あることもあります。
聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚の現れ方の要点
同学会がASDに見られる過敏として挙げるのは、音・光・におい・味・触覚です。特定の食べ物や衣類しか受けつけない例もあります[2]。家庭では、次のような場面が気づくきっかけになります。
| 感覚の種類 | 家庭で見かけやすい様子 |
|---|---|
| 聴覚過敏 | 掃除機などの生活音で耳をふさぐ |
| 視覚過敏 | 日差しや照明をまぶしがる |
| 触覚過敏 | 服のタグや袖口を嫌がる |
| 味覚過敏 | 苦手な味や舌ざわりのものを吐き出す |
| 嗅覚過敏 | 洗剤や給食のにおいを避ける |
感覚過敏かどうかは、当てはまる項目の数で決まるものではありません。好き嫌いとの区別も、家庭では見分けにくいものです。特定の食べ物しか口にしない、苦手な舌ざわりのものを吐き出す、といった様子があれば、困る場面をメモしてかかりつけ小児科で伝えてください。
明日の朝から試せるのは、服のタグを取り除く、音がつらいときにイヤーマフを使うといった工夫です。どちらも発達障害のある人のセルフケアとして、国の研究機関が紹介しているものです[3]。
感覚ごとの家庭での工夫と、やりがちなNG対応は感覚過敏の子どもに見られる様子と家庭での工夫で詳しく紹介しています。
感覚過敏の原因は?発達障害との関係と治療の考え方
保護者の育て方や関わり方が原因ではありません。国の発達障害情報・支援センターも、子どもの発達の特徴を親に伝えることで、「親の育て方の問題」「子どものわがまま」という解釈を修正できると説明しています[4]。

脳の感覚処理の違いとして考えられていること
目や耳、肌から入った情報は、脳の別々の場所で処理され、まとめ上げられて初めて「何が起きているか」として分かります[5]。
感覚の調整の働きに違いがあると、ほかの人ならやがて慣れて気にならなくなる音が、気になり続けることがあると考えられています。自閉スペクトラム症のある人を対象にした研究では、必要のない刺激を無視しにくいこと、音に慣れにくいことが紹介されています[6]。
この違いがどこから来るのかは、まだはっきりしていません。米国小児科学会は、脳の感覚の通り道そのものの問題なのか、自閉スペクトラム症や不安症などに伴う特徴なのかは分かっていないとしています[7]。
原因や診断名を家庭で見極める必要はありません。どの場面で困り、何をしたら楽になったかを書き留めておけば、園や小児科に相談するときの材料になります。
発達障害との関係
発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障害)などが含まれます[8]。このうちASDでは、特徴として「音や光、におい、味、触覚の過敏などがあります」と日本小児神経学会が説明しています[2]。
ただ、感覚の過敏さだけで発達障害と決まるわけではありません。発達障害かどうかを家庭で見極める必要はありません。人とのやりとりや行動の特徴も含めて気になるときは、医療機関で相談してみてください。
診断がついていなくても、後の節で紹介する家庭の工夫や園での配慮は今日から始められます。発達障害の種類ごとの特徴は、子どもの発達障害に見られる特徴やADHDの子どものサインをご覧ください。
感覚過敏に治療はある?感覚統合療法の位置づけ
感覚過敏そのものをなくす治療として、確立したと示す公的機関や学会の資料は見当たりません。年齢とともに消えると言い切れる資料もなく、変わり方は一人ひとり違います。
感覚統合療法とは、主に作業療法士が、ブラシやブランコ、ボールなどの道具を使って、揺れや体の位置・動き、音、触る感覚の刺激を与える方法です[7]。
この感覚統合療法も、効果を調べた研究は限られ、結論が出ていません。米国小児科学会は、総合的な治療計画の一部として取り入れることはありうるとしたうえで、この点を保護者に伝えるよう求めています[7]。国内の研究をまとめた2006年の論文も、勧められるだけの根拠はまだ十分でないとしています[9]。
一方で、国の研究機関は、発達障害のある人のセルフケアとしてイヤーマフやサングラスなどを紹介し、配慮は一人ひとりの状態に合わせて考えることが大切だとしています[3]。年齢のせいだと待つだけにせず、困る場面が変わったら、そのつど相談先を使ってください。
感覚過敏はどこに相談する?受診・相談の目安と相談先

園の先生や小児科に話すことは、診断を受けに行くことと同じではありません。先に、急な体調の変化だけは相談とは分けて考えます。
- 急な体調の変化は、感覚過敏とは別の話です。下の表の相談先ではなく救急の番号を使ってください。けいれんがある、くちびるの色が紫色、呼吸が苦しそうといった様子なら、迷わず119番に連絡してください[10]。休日や夜間に子どもの急な症状で受診を迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)で小児科医師や看護師に電話で聞けます[11]。
そのうえで、この記事では相談を、困りごとの急ぎ具合で次の2つの段階に分けて整理します。
- 1つめの段階は、困る日が続くときです。着替えや食事、園の行事でつまずく日が続くなら、下の表の「園の担任」「かかりつけ小児科」「オンライン診療」が相談先です。予防接種や健診で受診する機会に、困っている場面を伝えてみる方法もあります。
- 2つめの段階は、気になり始めたときです。まず下の表の「市区町村の窓口」に相談すると、地域のどこで話を聞いてもらえるかを教えてもらえます。相談先の名前や使い方は地域で違うため、最初に窓口へ聞いておくと迷いません。
その先の相談先が、下の表の「児童発達支援センター」です。発達が気になる子どもと家族の相談を受け、通って受ける支援も行う地域の施設です。国のガイドラインは、家族が不安を感じ始めた段階から相談に応じる役割をセンターに求めています[12]。
相談の前に様子を整理するチェックシート
相談先に話す前に、ここ最近の様子を感覚ごとに思い返してみましょう。
- 聴覚|掃除機やドライヤーの音で耳をふさぐ
- 聴覚|運動会のピストルや、音が響くホールで動けなくなる
- 視覚|蛍光灯や日差しを嫌がり、目を細める
- 触覚|タグ付きの服や長袖の袖口で、着替えが止まる
- 触覚|水遊びや砂遊びなど、肌がぬれたり汚れたりする遊びを嫌がる
- 味覚|決まった舌ざわりのものしか口に入れない
- 嗅覚|特定のにおいがする場所に入りたがらない
チェックシートは診断ではなく、園の先生やかかりつけ小児科に様子を伝えるときのメモとして使ってください。
相談の段階に合わせた話しやすい相談先の選び方
メモができたら、上の2つの段階に合わせて、次の表から話しやすい相談先を選びます。
スクロールできます
| 相談先 | どんなときに | 何をしてもらえるか |
|---|---|---|
| 保育園・幼稚園の担任、巡回相談 | 園での集団生活で困りごとが出ている | 園での様子の共有、巡回に来る専門員の助言 |
| かかりつけ小児科、乳幼児健診 | 家での困りごとを医師に相談したい | 診察、次の相談先の案内 |
| 市区町村の窓口、こども家庭センター | どこに相談すればよいか分からない | 子育てと発達の相談、支援先の紹介 |
| 児童発達支援センター | 気になり始めた段階の相談、継続した支援が必要と考えられる | 発達の相談、集団生活に慣れる支援、家族への支援 |
| オンライン診療 | 夜間や平日に受診の時間が取れない | 映像と音声での診察、受診先の案内 |
園で困りごとが出ている年中さんなら、まず担任に園での様子を聞き、並行してかかりつけ小児科に相談する順番が取りやすいはずです。
どこに行けばよいか迷ったら、市区町村のこども家庭センターが入口になります。子育ての相談を福祉と保健の両面から受ける窓口で、国は2026年度末までにすべての市区町村への設置を目指しています[13]。呼び名は自治体で違うため、市区町村のサイトで「こども家庭センター」と検索するか、役所の代表電話で発達相談の窓口を尋ねると見つかります。
オンライン診療で相談できること・できないこと
画面越しでは体に触れて確かめることができません。そのため、医師がオンラインでは適切に診られないと判断したときは、対面の診療につなぐよう国の指針が定めています[14]。
向いているのは、困る日が続き、どこから手をつけるか迷っているときに、医師に様子を話して次の相談先の見当をつけることです。本人がうまく話せなくても、保護者が困る場面を伝えられます。
困りごとが生活にどれだけ響いているか、ほかに気にかけることがないかは、記事の一般的な情報だけでは判断できません。様子を医師に伝えれば、家での工夫を試すか続けるか、別の相談先へ進むかを医師と一緒に考えられます。
オンライン診療が合うかどうかは、困りごとの状況しだいです。
- 合いやすい: 平日の日中に受診の時間が取りにくい、困る場面を先に医師へ話しておきたい
- 合いにくい: けいれんや呼吸の苦しさなど急な体調の変化がある(119番や#8000へ)、体に触れての診察や発達の検査を受けたい(対面の医療機関へ)
後者に当てはまるなら、上の表の対面の相談先を先に使ってください。前者に当てはまるなら、オンライン診療も選択肢になります。相談の前に用意するものは、よくある質問のQ3にまとめています。
家庭・園での対応と先生への伝え方
家庭での工夫は困る場面から1つずつ
着替えが止まるなら、前の晩に服を一緒に選んでおくと、朝のやりとりが楽になることがあります。大きな音の前に「これから掃除機の音がするよ」と声をかけてみるのも一つの方法です。
タグを取り除く、音がつらいときはイヤーマフを使う、まぶしいときはサングラスやカーテンで強い光を弱めるといった工夫は、発達障害のある人のセルフケアとして国の研究機関が紹介しています[3]。子どもだけを調べた結果ではないため、様子に合わせて取り入れてください。
味覚と嗅覚については、出典のある工夫ではなく家庭で試しやすい例です。食べられる料理を毎食1品は用意して無理に食べさせない、においの強い場所から離れる、といった方法があります。合わなくても本人の努力不足ではないので、別の工夫に切り替えていきましょう。
見通しの伝え方や逃げ場のつくり方は、家庭で試せる工夫の具体例で紹介しています。
保育園や幼稚園の先生に伝えるときの言葉
保育園では、障害や発達上の課題が見られる子どもについて、家庭や関係機関と連携して個別に支援を考えることが保育所保育指針で求められています[15]。遠慮はいりません。
伝えるのは診断名ではなく、困っている行動、家で効いた工夫、園にお願いしたいことの3点です。
連絡帳の例文「大きな音が苦手で、ホールでは耳をふさいで動けなくなるようです。家では音の前に声をかけると落ち着いて過ごせています。行事の前に、園でも一言教えていただけると助かります」
できる配慮は園の体制で違います。先生と一緒に試しながら調整していきましょう。
感覚過敏についてよくある質問【FAQ】
- 感覚過敏は何歳ごろから気づくものですか?
-
何歳から出るという目安を示した公的な資料は、見当たりません。年齢の区切りを待たず、困りごとに気づいた時点で相談してかまいません。5歳児健診は実施している自治体とそうでない自治体があるので、お住まいの市区町村のサイトで確かめてください[16]。乳児期から音への反応が気になっていた方は、生後4ヶ月ごろの発達のサインもどうぞ。
- 相談したら、園に勝手に連絡がいきますか?
-
気になるときは、相談の最初に医師へ「園に伝えることはありますか」と聞いてかまいません。
- 相談の前に用意するものは?
-
困る場面と時間帯、試した工夫と結果を書き出しておくと、短い時間でも伝わります。あんよのオンライン診療では、次の3つが必要です[19]。
- 保険証
- 子ども医療証
- 保護者の身分証明書
困る日が続いているのに、平日に受診の時間が取れないときは、オンライン診療という入口も使えます。あんよは、提携医療機関の医師が診療する小児科オンライン診療サービスです。診療時間は6時〜23時で、予約はLINEから行います[19]。寝かしつけたあとの時間でも、書き出したメモを見ながら医師に様子を話せるのが利点です。
利用料は無料で、診療料は健康保険の対象です[19]。子ども医療費助成制度は、お住まいの地域によっては適用されます。
オンライン診療だけで診断が決まるわけではありません。国の指針では、オンラインで判断できない場合は対面の診療につなぐことになっています[14]。そのうえで、次にどこへ相談するかの見当をつけたい段階なら、小児科オンライン診療サービスあんよへ相談を検討してみてはいかがでしょうか。LINEで友だち追加をしてから予約する流れです。
【まとめ】感覚過敏の子どもは困りごとが続いたら相談先へ
- 感覚過敏の原因はまだはっきりしておらず、保護者の育て方や関わり方が原因ではない
- 感覚の過敏さだけで発達障害と決まるわけではない
- 感覚過敏をなくす治療として、確立したと示す資料は見当たらない
- 生活の困りごとは園の担任とかかりつけ小児科へ。迷ったら市区町村の窓口へ
- 先生には、困っている行動、家で効いた工夫、園にお願いしたいことの3点を伝える
まずはチェックシートで、最近の様子を書き出してみてください。
最終更新:2026年9月30日
出典一覧
- 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 2023年 ↩
- 日本小児神経学会 Q94 2023年 ↩
- 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 2023年 ↩
- 発達障害情報・支援センター「親に伝える」 ↩
- 発達障害情報・支援センター 2023年 ↩
- 発達障害情報・支援センター 2022年 ↩
- 米国小児科学会 2012年 ↩
- 文部科学省 発達障害者支援法 ↩
- 有川真弓ほか 日本保健科学学会誌 2006年 ↩
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119」 ↩
- 厚生労働省「子どもの症状は♯8000」 ↩
- こども家庭庁 児童発達支援ガイドライン 令和6年7月 ↩
- こども家庭庁 2026年6月8日公表 ↩
- 厚生労働省 オンライン診療指針 令和8年4月改訂 ↩
- 厚生労働省 保育所保育指針 平成29年告示 ↩
- こども家庭庁 5歳児健診の意義と実施体制 令和7年8月 ↩
- 個人情報保護法 第27条・第58条 ↩
- 個人情報保護委員会・厚生労働省 医療・介護関係事業者ガイダンス 令和8年4月一部改正 ↩
- 小児科オンライン診療あんよ 公式サイト 2026年9月23日確認 ↩

