寝ている赤ちゃんが急にビクッと手足を広げたり、しゃっくりのような動きを繰り返したりすると、思わずドキッとしてしまいますよね。
「もしかして、てんかんなのでは?」「点頭てんかんって聞いたことがあるけれど、うちの子は大丈夫かな」と、不安に感じる親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、赤ちゃんのモロー反射と、てんかんの一種であるウエスト症候群(点頭てんかん)の見分け方を、5つのチェックポイントで分かりやすく解説します。
受診の目安や、医師の診断に役立つ動画撮影のコツまでまとめましたので、慌てずにお子さんの様子を確認してみてくださいね。
本記事は難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センター・国立成育医療研究センターの公的情報をもとに内容を確認しています。
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本記事は一般的な医学情報の解説を目的としており、個別の診断・治療を指示するものではありません。最終的な判断は医師にご相談ください。
赤ちゃんのモロー反射とてんかんの動きが似ている理由
モロー反射とてんかん(ウエスト症候群)の動きは、両手をパッと広げる、手足が瞬間的にピクッとなるなど、見た目がよく似ています。

発症する時期も重なっているため、親御さんが見分けにくいのは当然のことです。
まずは、それぞれの動きの基本的な特徴を整理しておきましょう。
モロー反射とは|生後4か月ごろまでに見られる原始反射
モロー反射は、新生児に見られる原始反射の一つです。
大きな音や明るい光、急に体勢が変わったときなどの外からの刺激に反応して、両手をビクッと広げ、何かにしがみつくように腕をゆっくり閉じる動きが特徴です。
国立成育医療研究センターの乳幼児健康診査身体診察マニュアルでは、モロー反射は生後4か月ごろまでに消失するとされています。
赤ちゃんが周囲の危険を察知しにくいため、身を守るために備わっている無意識の反射と考えられています。
ウエスト症候群(点頭てんかん)とは
ウエスト症候群は、乳児期に発症するてんかんの一つで、別名「点頭てんかん」「乳児てんかん性スパズム症候群」とも呼ばれています。
「点頭(てんとう)」とは頭が前にカクンと垂れる動きを指し、頭部や手足が瞬間的にピクッと縮まる発作が特徴です。
難病情報センターによると、ウエスト症候群は多くが生後3〜11か月時に発症し、国の指定難病145に含まれています。
モロー反射が見られる時期と発症のピークが重なっているため、見分けに迷われる親御さんが多い疾患です。
モロー反射とてんかん(ウエスト症候群)の見分け方|5つのチェックポイント
ここからは、モロー反射とウエスト症候群(点頭てんかん)の発作を見分けるための5つのポイントを整理します。
難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センター・MSDマニュアル家庭版など、複数の公的情報をもとに整理しました。
見分けの5つのチェックポイント早見表
| チェック項目 | モロー反射 | ウエスト症候群の発作 |
|---|---|---|
| きっかけ | 大きな音・光・体勢変化などの刺激 | きっかけなく突然始まる |
| 動きの繰り返し | 単発のことが多い | 5〜40秒ごとに何度も繰り返す |
| 起こりやすい時間 | 刺激があったとき | 寝起き・寝入りに多い |
| 動きの方向 | 両手を広げて抱きつくような動き | 頭が前にカクン、四肢を瞬時に縮める |
| 発達への影響 | 発達は順調 | 笑わなくなる・首すわりが消えるなどの退行 |
特に重要なのは、「動きの繰り返し」と「発達の退行」の2点です。
難病情報センターでは、ウエスト症候群の発作は5〜40秒ごとに繰り返す「シリーズ形成」が特徴的で、1日に何回もそのシリーズが現れると説明されています。
また、発症の前後から赤ちゃんが笑わなくなったり、できていた首すわりやお座りができなくなったりすることがあるとされています。
モロー反射に当てはまりやすい動きの例
モロー反射の場合は、次のような動きが見られます。
- 大きな音や急な体勢変化のあとにビクッと反応する
- 両手を広げてバンザイのような動きをする
- 動きが単発で、続けて何度も繰り返さない
- 抱っこやあやしで落ち着くことが多い
ウエスト症候群の発作に当てはまりやすい動きの例
一方、ウエスト症候群の発作には次の特徴があります。
- きっかけがないのに、頭が前にカクンと垂れる
- 両手を持ち上げるしぐさを5〜40秒ごとに繰り返す
- 寝起きや寝入りの時間帯に出やすい
- 抱っこやあやしでも繰り返しが止まらない
- 発作の前後から表情が乏しくなったり、できていた動作が減ったりする
これらに当てはまる動きがあるときは、自己判断で様子を見ず、医療機関に相談してください。
モロー反射と間違えやすい他の動きの見分け方
赤ちゃんに見られる「ピクッとする動き」は、モロー反射とウエスト症候群以外にも複数あります。
それぞれを区別しておくと、必要以上に不安にならずに済みます。
| 動きの名前 | 主な特徴 | 病的かどうか |
|---|---|---|
| モロー反射 | 刺激への反応として両手を広げる | 生理的(生後4か月ごろまで) |
| 良性新生児睡眠時ミオクローヌス | 寝ているときに手足が不規則にピクピクする | 生理的(異常ではない) |
| しゃっくり | お腹が動くようなリズムで連続する | 生理的(胃の刺激による) |
| 身震い発作(シャダリング) | 食事中などに数秒間ブルッと身震いする | 生理的(病的ではない) |
| ウエスト症候群の発作 | きっかけなく頭がカクン・手足を縮める動きを繰り返す | てんかんの一種(早期治療が必要) |
小児慢性特定疾病情報センターによると、ウエスト症候群の発作は最初は1日に1〜2回しか起こらず、しゃっくりや赤ちゃんのくせと間違われやすい時期があります。
「いつもと違う」と感じる動きがあるときは、見過ごさずに記録を残しておきましょう。
受診の目安|こんな動きが見られたら相談を
「動画を撮ったけれど、すぐ病院に行くべきか分からない」というご相談を多くいただきます。
ここでは、受診を判断するためのフローチャートを紹介します。
受診判断フローチャート(モロー反射?それとも?)
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緊急度別の受診目安
| 緊急度 | 状況 | 対応 |
|---|---|---|
| できるだけ早く受診 | 同じ動きを数秒〜数十秒ごとに繰り返す/発達の退行が見られる | 平日日中なら当日中に小児科・小児神経科へ |
| 数日以内に相談 | 月齢が3〜11か月で、寝起きや寝入りにピクッとする動きが気になる | 動画を撮ってかかりつけ小児科へ |
| 救急受診を検討 | 全身のけいれんが5分以上続く/呼びかけに反応しない | ためらわず救急車(119)を呼ぶ |
難病情報センター・MSDマニュアル家庭版では、ウエスト症候群は早期発見・早期治療が予後に大きく影響するとされており、迷う場合は早めの相談が推奨されています。
迷ったときは、小児救急電話相談(#8000)や救急安心センター事業(#7119)も活用できます。
動画撮影のコツ|医師の診断に役立つ撮り方
赤ちゃんの動きは数秒で終わってしまうため、診察時にその場で再現するのは難しいことがほとんどです。
スマートフォンで動画を残しておくと、診断の精度が大きく上がります。
動画撮影で押さえたい4つのポイント
| ポイント | 具体的な撮り方 |
|---|---|
| 赤ちゃん全体を映す | 顔・両手・両足が画面に入るように引きで撮影する |
| 動きが止まるまで撮る | 数秒で消えても、その後の様子も含めて10秒以上は撮影する |
| 時間帯をメモする | 寝起き・授乳後など、いつ起きたかをメモアプリに残す |
| 回数と間隔を記録する | 何回繰り返したか、何秒間隔かを動画と一緒に記録する |
撮影時に医師に伝えると役立つ情報
- 動きが始まったときに何かきっかけがあったか
- 動きを始めてから何秒間続いたか
- 1日に何回くらい見られるか
- 抱っこや声かけで止まったか、止まらなかったか
これらを記録しておくと、小児神経専門医がモロー反射・ウエスト症候群・その他の動きを見分ける重要な手がかりになります。

ウエスト症候群(点頭てんかん)の治療と予後について
ウエスト症候群と診断された場合の治療や経過について、よくある質問にお答えします。
過度に不安を感じる必要はありませんが、早期発見と早期治療が大切な疾患であることを知っておきましょう。
主な治療方法
難病情報センターでは、次の治療法が紹介されています。
| 治療法 | 発作抑制率の目安 |
|---|---|
| ACTH治療(副腎皮質刺激ホルモン) | 50〜80% |
| ビガバトリン治療 | 40〜50% |
| その他の抗てんかん発作薬 | 20〜40% |
ACTH治療やビガバトリンが効きにくい場合は、ケトン食療法やてんかん外科治療が選択肢になることもあります。
治療の判断や選択は、小児神経専門医による診断のもとで行われます。
発症割合と予後
難病情報センターによると、日本では少なくとも約4,000人の患者がいると推測されており、13歳以下の小児てんかんの約4.93%を占めています。
予後については個人差が大きく、長期的に発作が続く場合もあれば、適切な治療で発作が落ち着き発達が改善するお子さんもいます。
MSDマニュアル家庭版では、発作を早期にコントロールできれば発達への影響を抑えやすいとされており、気になる動きがあるときは早めの相談が推奨されています。
モロー反射とてんかんの見分けに関するよくある質問
最後に、ご相談の多いご質問をまとめました。
- モロー反射が激しいだけで、てんかんを疑うべきですか?
-
モロー反射は刺激への自然な反応で、激しさだけでてんかんと判断する必要はありません。
ただし、きっかけがないのに同じ動きを繰り返す、月齢が4か月を過ぎても頻繁に見られるといった場合は、念のため小児科に相談しましょう。
- 寝ているときにピクッとするのはモロー反射ですか?
-
寝ているときの小さなピクッは、良性新生児睡眠時ミオクローヌスと呼ばれる生理的な動きの可能性があります。
刺激なく数秒間隔で大きく繰り返す場合は、てんかんの発作と区別する必要があるため、動画を撮って受診してください。
- しゃっくりとウエスト症候群はどう違いますか?
-
しゃっくりは胃が膨らんで横隔膜を刺激することで起こり、リズムが規則的でゲップなどで止まることがあります。
ウエスト症候群の発作は1回の動きがより短く、寝起きや寝入りに出やすく、抱っこなどで止まらないという違いがあります。
- 生後4か月を過ぎてもモロー反射が見られるのは異常ですか?
-
個人差があり、4か月を少し過ぎても見られる赤ちゃんはいます。
ただし、生後6か月を過ぎても頻繁に見られる場合や、発達の遅れが気になる場合は、乳幼児健診や小児科で相談しましょう。
- 動画を撮ったあと、どこに相談したらよいですか?
-
まずはかかりつけの小児科に動画を持参するのが第一選択です。
ウエスト症候群が疑われる場合は、日本小児神経学会の小児神経専門医が在籍する施設への紹介を依頼してください。
【まとめ】モロー反射とてんかんは「繰り返し・きっかけ・退行」で見分ける
赤ちゃんのモロー反射とてんかん(ウエスト症候群)は動きが似ていますが、「きっかけの有無」「繰り返しの有無」「発達の変化」の3点に注目すると見分けやすくなります。
- モロー反射は刺激への反応で、生後4か月ごろまでに消失する原始反射
- ウエスト症候群の発作はきっかけなく始まり、5〜40秒ごとに繰り返す
- 笑わなくなる・首すわりが消えるなどの発達の退行はウエスト症候群を疑うサイン
- 寝起きや寝入りに繰り返す動きがあれば、動画を撮って小児科へ相談
- 早期発見・早期治療が予後に影響するため、迷ったら早めの受診を検討する
気になる動きがあったときは、動画を撮ってかかりつけの小児科や小児神経科にご相談ください。
夜間や休日など、対面での受診が難しい時間帯には、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
撮影した動画を見ながら医師に相談できるため、「すぐに病院へ行くべきか」「数日様子を見てよいか」の判断のヒントを得られます。
最終的な判断は医師に相談してください。

