生後半年を過ぎたころ、周りの赤ちゃんが少しずつハイハイを始めると、「うちの子はまだかな」とふと気になりますよね。
「同じ月齢の子はもう動き回っているのに、少し遅れているのかな」「このままハイハイをしないと、発達に影響が出たりしないかな」と、不安に感じる親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、赤ちゃんがハイハイをしない主な原因や、最新の調査にもとづく発達の目安、シャフリングベビーと呼ばれるタイプの特徴、家庭でできる工夫、そして受診を考えたいサインまでを、公的機関の情報をもとにわかりやすく解説します。
ハイハイには、個人差がとても大きいものです。「どんなときに相談すればいいか」の目安もまとめましたので、焦らずお子さんの様子を確かめていきましょう。
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ハイハイはいつから?発達の目安を月齢で確認

まずは、赤ちゃんの運動の発達がどのくらいの時期に進んでいくのか、全体の目安を確認しておきましょう。
こども家庭庁が公表した令和5年乳幼児身体発育調査(2024年12月公表)では、それぞれの動きをおよそ9割の赤ちゃんができるようになる時期が示されています。
| 発達の様子 | 9割ほどの赤ちゃんができるようになる時期の目安 |
|---|---|
| 首すわり | 生後4〜5か月ごろ |
| 寝返り | 生後6〜7か月ごろ |
| ひとりすわり(おすわり) | 生後9〜10か月ごろ |
| はいはい | 生後10〜11か月ごろ |
| つかまり立ち | 生後11〜12か月ごろ |
| ひとり歩き | 1歳4〜5か月ごろ |
表からもわかるように、ハイハイはおよそ生後10〜11か月ごろまでに、多くの赤ちゃんが始めます。
ただし、これはあくまで目安です。早い赤ちゃんでは生後半年ごろから始めることもあれば、1歳前後とゆっくりな赤ちゃんもいて、始まる時期には大きな幅があります。運動の発達のスピードには、生まれた季節などによっても個人差があることがわかっています。
母子健康手帳でも、生後9〜10か月ごろの記録欄に「はいはいをしますか」といった項目があり、この時期がひとつの目安とされています。
大切なのは、月齢どおりに進んでいるかどうかよりも、赤ちゃんなりに少しずつできることが増えているかどうかです。
発達の順序にも、個人差があります。「寝返り→おすわり→ずりばい→ハイハイ」と進む赤ちゃんもいれば、ずりばいやハイハイをとばして、つかまり立ちや歩行へ進む赤ちゃんもいます。順番どおりでないからといって、それだけで発達に問題があるとは限らないと考えられています。
ハイハイしない主な原因は?考えられる4つの背景
赤ちゃんがなかなかハイハイをしないとき、その背景にはいくつかの理由が考えられます。多くは病気や発達の遅れではなく、その子の個性や環境によるものとされています。代表的な4つの背景を見ていきましょう。
発達のペースや順序の個人差
赤ちゃんの発達のペースは、一人ひとり違います。ハイハイをする時期が少しゆっくり、あるいはハイハイをとばして次の段階に進む、というのも個人差の範囲であることが多いです。周りの子と比べると気になりますが、その子なりに動きが育っていれば、あわてなくてよいでしょう。
生活環境や動く機会
うつぶせで過ごす時間が少なかったり、動き回れるスペースが限られていたりすると、ハイハイを始めるきっかけがつかみにくいことがあります。抱っこで過ごす時間が長い、手の届く場所におもちゃがそろっている、といった場合も、赤ちゃんが自分から動く必要を感じにくいと考えられています。
シャフリングベビー(いざりっこ)
ハイハイをせずに、おすわりの姿勢のままお尻をつけて移動する赤ちゃんもいます。こうしたタイプは、シャフリングベビー(いざりっこ)と呼ばれます。その子の体質的なものであることが多く、詳しい特徴は次の章でくわしく解説します。
まれに医学的な背景があること
ほとんどは心配のいらないものですが、ごくまれに、筋肉の緊張の状態や発達のようすに医学的な背景が隠れていることもあります。気になるサインがある場合の目安は、後半の「受診・相談を考えたいサインは?」でまとめています。
ハイハイをしない赤ちゃんに多いタイプ

シャフリングベビー(いざりっこ)の特徴
シャフリングベビーは、ハイハイやつかまり立ちをせずに、座ったままお尻で移動する赤ちゃんのことをいいます。「いざりっこ」とも呼ばれます。
大阪小児科医会や広島県立総合リハビリテーションセンターの解説によると、次のような特徴が見られるとされています。
- うつぶせの姿勢を嫌がり、寝返りもゆっくりめのことがあります
- 抱き上げて立たせようとしても、足を曲げたまま床につけたがりません
- ハイハイをせず、おすわりのままお尻を軸にして移動します
- 歩き始めは1歳6か月〜2歳ごろと、やや遅めになる傾向があります
シャフリングベビーの多くは、いったん歩き始めればその後は問題なく発達していくことが多く、知的な発達も正常とされています。歩き始めれば、足全体の動きもほかの子に少しずつ追いついていくと説明されています。
そのため、シャフリングベビーだとわかっても、過度に心配する必要はないと考えられています。ただし、ほかの発達もゆっくりで気になるときは、一度小児科で相談すると安心です。
ハイハイをとばしてつかまり立ちや歩行に進むタイプ
ハイハイをほとんどせずに、つかまり立ちやつたい歩きへ進む赤ちゃんもいます。立ちたい、つかまりたいという意欲が強いタイプで、これも発達の個人差のひとつと考えられています。この場合も、ほかの発達が順調であれば、あわてなくてよいことが多いです。
ハイハイしないときに家庭でできる工夫
ハイハイを無理にさせる必要はありませんが、赤ちゃんが体を動かしたくなるような環境を整えてあげることはできます。遊びの延長として、次のような工夫を取り入れてみましょう。
- 起きている間の見守りのもとで、うつぶせで遊ぶ時間を少しずつ増やしてみる
- 少し離れた場所に興味を引くおもちゃを置いて、手を伸ばしたくなる状況をつくる
- 滑りにくく安全なスペースを広めに確保し、動きやすい服装にする
- 大人が並んで四つ這いの見本を見せたり、一緒に遊んだりする
- 赤ちゃんが嫌がるときは無理に続けず、機嫌のよいときに短い時間から始める
ひとつ、大切な注意点があります。発達をうながす「うつぶせ遊び」は、必ず赤ちゃんが起きていて、そばで見守れるときに行いましょう。
こども家庭庁は、乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐために、1歳になるまでは寝かせるときはあおむけにすることをすすめています。遊びの途中で眠ってしまったときは、あおむけに戻してあげてくださいね。
受診・相談を考えたいサインは?
ハイハイをしないこと自体は、多くの場合、それほど心配なものではありません。とはいえ、「どんなときに相談すればいいの」という目安を知っておくと安心ですよね。
ここでは、様子を見ながら見守ってよいことが多いケースと、早めに相談を考えたいサインを整理しました。
| 目安 | 赤ちゃんの様子 |
|---|---|
| 見守ってよいことが多い | ハイハイはしないが、おすわり・寝返り・つかまり立ちなど、ほかの動きは少しずつ育っている |
| 表情が豊かで目が合い、あやすと笑ったり声を出したりする | |
| シャフリングやずりばいなど、その子なりの方法で移動している | |
| 早めに相談を考えたい | 手や足の動きに左右差があり、片側だけを使うことが多い |
| 体が極端に硬い、または力が入らずぐにゃっと柔らかい | |
| 目が合いにくい、呼びかけへの反応が乏しい、表情が少ない | |
| 首すわりなど、これまでの発達もゆっくりで気になる | |
| できていた動きが、できなくなってきた |
こうしたサインがあるときは、乳幼児健康診査(乳幼児健診)の機会や、かかりつけの小児科で相談してみましょう。
多くの自治体では、生後9〜10か月ごろと1歳6か月ごろに健診があり、ハイハイや歩行などの運動発達を確認します。健診を待たずに気になるときは、地域の保健センターや子育て世代包括支援センターも相談先になります。
なお、シャフリングベビーの場合も、ミルクの飲みが弱く泣き方も弱い、首のすわりがゆっくり、言葉の理解や手指の動きの発達もゆっくり、といったようすが重なるときは、一度小児科で相談すると安心です。
「受診すべきか迷う」「夜間や休日で近くの小児科が開いていない」というときは、ご自宅からスマートフォンで医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」を活用するのもひとつの方法です。
ハイハイをしないまま成長しても大丈夫?発達への影響
「ハイハイをとばすと、体や運動の発達によくないのでは」と気になる親御さんもいらっしゃいます。
しかし、ハイハイは成長に欠かせない必須のステップというわけではないと考えられています。ハイハイをする期間が長いほうがよいという説もありますが、それを裏づけるはっきりとした研究データは、まだ十分にそろっていないのが現状です。
実際に、運動発達には大きな個人差があり、ハイハイをしなかった赤ちゃんも、その後つかまり立ちや歩行へと進んでいくことが多いとされています。
一方で、ハイハイの動きには、手や足、背中、お腹まわりの筋肉をバランスよく使う、手と目の連携を育てる、といったよい面もあると考えられています。
だからこそ、「させなきゃ」と気負うよりも、遊びのなかで体を動かす機会を楽しくつくってあげることが大切です。

ハイハイしない赤ちゃんに関するよくある質問(FAQ)
- ハイハイをしないまま歩き始めることはありますか?
-
はい、あります。ハイハイをほとんどせずに、つかまり立ちやつたい歩きを経て歩き始める赤ちゃんは珍しくありません。ほかの発達が順調であれば、過度に心配しなくてよいことが多いと考えられています。
- ハイハイの練習はさせたほうがよいですか?
-
無理に練習させる必要はありません。ただ、起きている間の見守りのもとでうつぶせ遊びを取り入れたり、少し離れた場所におもちゃを置いたりして、体を動かしたくなる環境をつくってあげるとよいでしょう。
- シャフリングベビーは発達障害と関係がありますか?
-
シャフリングベビーの多くは、いったん歩き始めればその後は問題なく育っていくとされ、知的な発達も正常とされています。ただし、ほかの発達もゆっくりで気になるときは、小児科で相談すると安心です。
- 体格がしっかりしていると、ハイハイは遅くなりますか?
-
体格による動きやすさの差が多少あることはありますが、体格そのものが問題というわけではありません。筋肉の発達が進むにつれて、少しずつ動けるようになっていくことが多いとされています。
- ずりばいはするのにハイハイをしません。大丈夫でしょうか?
-
ずりばいで上手に移動できているなら、その子なりに体を使えているサインです。ずりばいからハイハイへ進む時期にも個人差があり、しばらく見守ってよいことが多いと考えられています。
- 何か月ごろまで様子を見てよいですか?
-
はっきりとした期限があるわけではありません。ただ、1歳6か月ごろになっても座る姿勢が安定しない、移動しようとしない、といった場合や、ほかに気になるサインがあるときは、健診やかかりつけの小児科で相談しましょう。
【まとめ】焦らず、赤ちゃんの成長のペースを見守りましょう
赤ちゃんがハイハイをしない背景には、発達の個人差や生活環境、シャフリングベビーといったタイプなど、さまざまな理由が考えられます。多くの場合は、その子なりの成長のペースによるものです。
- ハイハイには大きな個人差があり、令和5年の調査では生後10〜11か月ごろまでにおよそ9割の赤ちゃんが始めるとされています
- ハイハイをとばして歩き始める赤ちゃんや、お尻で移動するシャフリングベビーも珍しくありません
- ほかの発達が順調なら、ハイハイをしないこと自体は過度に心配しなくてよい場合が多いと考えられています
- うつぶせ遊びは起きている間の見守りのもとで行い、寝かせるときは1歳まであおむけにしましょう
- 手足の左右差や筋緊張の異常など気になるサインがあるときは、早めに小児科や健診で相談しましょう
赤ちゃんの発達には、その子ならではのリズムがあります。周りと比べて焦ってしまいそうなときこそ、できるようになったことにも目を向けて、成長を見守っていけるとよいですね。
夜間や休日など、受診すべきか迷うときは、ご自宅からスマートフォンで医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」をご活用いただけます。
気になることがあるときは、最終的な判断をかかりつけの医師にご相談くださいね。

