赤ちゃんのおむつを開けたら、いつもよりゆるくて水っぽいうんちが出ていて、不安になったことはありませんか。
「これって下痢?」「すぐ病院に行くべき?」「ミルクや離乳食はいつも通りでいいの?」と、判断に迷う親御さんはとても多くいらっしゃいます。
赤ちゃんはもともとうんちがゆるく、回数も多いため、健康なうんちと下痢の見分けがつきにくいのが特徴です。
この記事では、赤ちゃんの下痢の見分け方、月齢別の主な原因、家庭でできる5ステップのケア、そして緊急度別の受診の目安までを整理しました。
読み終えた頃には、お子さんの様子に合わせて「今すぐ受診」「翌日受診」「家庭で様子見」のどれを選べばよいかが判断できるようになります。
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本記事は一般的な医学情報の解説を目的としており、個別の診断・治療を指示するものではありません。最終的な判断は医師にご相談ください。
赤ちゃんの下痢とは?普段のうんちとの見分け方
赤ちゃんのうんちは、大人と比べてもともとゆるく、回数も多いものです。
特に母乳栄養の赤ちゃんはやわらかいうんちが1日数回出ることが珍しくありません。

そのため、健康なうんちと下痢を見分けるには、普段の状態をよく観察しておくことが大切になります。
下痢と判断する3つのポイント
次の3つに当てはまるときは下痢と考えてよいとされています。
| ポイント | 目安 |
|---|---|
| 回数 | 普段より明らかに多い(1日に何回も出る) |
| 性状 | 水のようにシャバシャバで、おむつからしみ出すほど |
| におい | 普段より酸っぱい、または腐敗臭のような強いにおいがする |
ふだんから「いつものうんち」を見ておくと、変化に気づきやすくなります。
月齢別のうんちと下痢の特徴
| 月齢 | 普段のうんちの傾向 | 下痢のサイン |
|---|---|---|
| 新生児〜生後3か月 | 黄色〜緑がかった水様便。1日数回〜10回前後 | おむつから漏れるほどの水様便が続く |
| 生後4〜6か月 | やわらかいクリーム状。回数はやや減る | 普段より回数が増え、においが強くなる |
| 離乳食開始後(生後5〜6か月〜) | 形が出始める | 形が崩れて水っぽくなる、未消化物が混ざる |
| 1歳前後〜 | 大人のうんちに近づく | 水様便が続き、量も多い |
うんちがゆるいだけで、機嫌や食欲がいつも通りなら、しばらく様子を見ても大丈夫なことが多いと考えられています。
赤ちゃんが下痢になる主な原因
赤ちゃんは消化器官がまだ未熟なため、さまざまな理由で下痢を起こします。
ここでは、頻度の高い原因を順に解説します。
ウイルス性胃腸炎(ロタ・ノロ・アデノ)
赤ちゃんの下痢でもっとも多いのが、ウイルスによる急性胃腸炎です。
厚生労働省によると、ロタウイルスは5歳までにほぼすべての子どもが感染するとされ、1〜3日の潜伏期間ののち、発熱と嘔吐から始まり、24〜48時間後から水のような下痢が繰り返し出てきます。
便が白っぽくなるのも特徴の一つです。
| ウイルス | 主な流行時期 | 主な症状 |
|---|---|---|
| ロタウイルス | 冬〜春 | 嘔吐→水様便。便が白っぽくなることも |
| ノロウイルス | 冬 | 突然の嘔吐と下痢。発熱は軽め |
| アデノウイルス | 通年(夏に多い) | 発熱・下痢が長引きやすい |
2020年10月からロタウイルスワクチンは定期接種になっており、生後6週〜32週の間に2回または3回の接種が推奨されています。
細菌性胃腸炎
サルモネラ・カンピロバクター・病原性大腸菌などが原因で、ウイルス性よりも症状が重くなりやすいといわれています。
血便、高熱、強い腹痛をともなう場合は早めの受診が必要です。
一過性乳糖不耐症
ウイルス性胃腸炎のあとに、母乳やミルクに含まれる「乳糖」を分解する酵素の働きが一時的に落ちて起こるとされています。
小児慢性特定疾病情報センターによると、無乳糖ミルク(ノンラクトミルクなど)への一時的な変更で症状が和らぐことがあります。
アレルギーとは異なる一時的な状態と考えられています。
食物アレルギー・離乳食の影響
新しい食材を始めたあとに繰り返し下痢が出る場合は、食物アレルギーや消化管アレルギーが隠れていることがあります。
日本アレルギー学会も、同じ食材で同じ症状を繰り返す場合は医師への相談を推奨しています。
果汁の与えすぎ、油分や繊維の多い食事も、赤ちゃんの腸への刺激になりやすいとされています。
抗菌薬(抗生物質)の副作用
風邪などで処方された抗菌薬が腸内の善玉菌まで減らしてしまい、下痢を起こすことがあります。
下痢の程度が強いときは、自己判断で中止せず、処方した医師に相談してください。
風邪(かぜ症候群)にともなう下痢
ウイルスが胃腸にも感染すると、鼻水や咳と一緒に下痢が出ることがあります。
機嫌がよく食欲もあるなら、回復とともに自然に落ち着くことが多いとされています。
赤ちゃんの下痢でまずやるべき家庭でのケア(5ステップ)
下痢が出始めたら、次の5つのステップを順番に意識してケアしてください。

ステップ1|こまめな水分補給
下痢で一番気をつけたいのが脱水です。
日本小児救急医学会の小児急性胃腸炎診療ガイドラインでは、軽度〜中等度の脱水に対しては経口補水療法が第一選択とされています。
| 与えるもの | 目安 |
|---|---|
| 母乳・ミルク | いつもどおり。飲みたがるだけ与えてよい |
| 経口補水液(乳児用) | 1回20mlを10分間隔で目安 |
| 麦茶・湯ざまし | 補助的に少量ずつ |
- 砂糖の多いジュース・スポーツ飲料(下痢を悪化させることがあります)
- 冷たすぎる飲み物
- 牛乳(下痢が長引いている時期)
嘔吐があるときは、一気に飲ませず、5mlずつスプーンやスポイトでゆっくり与えるのがコツです。
ステップ2|母乳・ミルク・離乳食の続け方
以前は「下痢のときは絶食」とすすめられた時期もありましたが、現在は、脱水を経口補水で是正したあとは年齢相応の通常の食事を可及的速やかに再開することが推奨されています。
| 月齢 | 食事のすすめ方 |
|---|---|
| 母乳・ミルク期 | いつもどおりに。回数を少し増やすのも可 |
| 離乳食初期(5〜6か月) | 様子を見ながら、消化のよいもの中心にいったん前段階に戻すのも選択肢 |
| 離乳食中・後期(7か月〜) | おかゆ・うどん・すりおろしりんごなど、消化しやすいものから少量ずつ |
| 1歳以上 | バランスのよい普段の食事をやさしい味付けで |
- 脂っこいもの(バター、揚げ物、脂の多い肉)
- 食物繊維の多いもの(ごぼう、海藻、きのこ)
- 柑橘類のジュース、果汁の多いもの
- ヨーグルト・チーズなど乳糖を含むもの(下痢が長引くとき)
ステップ3|おむつかぶれを防ぐケア
下痢のうんちは肌への刺激が強く、おむつかぶれを起こしやすくなります。
- 排便のたびにこまめにおむつを替える
- お湯やシャワーでやさしく洗い流す
- やわらかいタオルで押さえるように水分を取る
- 完全に乾いてから新しいおむつをつける
赤みが続くときや、ただれが見られるときは、自己判断で薬を塗らず、かかりつけ医に相談してください。
ステップ4|二次感染を防ぐ家族のケア
下痢のうんちにはウイルスや細菌が含まれていることが多くあります。
おむつ替えのあとは、必ず石けんで20秒以上手を洗いましょう。
おむつはビニール袋に密閉して捨て、汚れた衣類は分けて洗うと安心です。
家族にも同じ症状が出てきた場合は、感染性胃腸炎の可能性を考えて医療機関に相談してください。
ステップ5|症状を記録する
受診時に医師が状態を把握しやすくなるよう、次の項目を簡単にメモしておくと役立ちます。
| 記録項目 | メモする内容 |
|---|---|
| いつから | 下痢が始まった日時 |
| 回数 | 1日あたりの回数 |
| 性状 | 水様・泥状・血や粘液の有無・色 |
| 食欲・水分 | 母乳・ミルク・食事・水分の摂取状況 |
| 機嫌・活気 | いつも通りか、ぐったりしているか |
| 発熱・嘔吐 | 体温、嘔吐の回数 |
| おしっこ | 量と回数(おむつが重くなるか) |
スマートフォンで便の写真を撮っておくと、診察がよりスムーズです。
やってはいけないNG行動
良かれと思ってやっているケアが、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。
| NG行動 | 理由 |
|---|---|
| 自己判断で大人用の下痢止めを飲ませる | ロペラミド(ロペミン)は6か月未満には禁忌、2歳未満も原則使用しないとされています。感染性下痢では悪化リスクもあります |
| スポーツ飲料・甘いジュースをたっぷり与える | 糖分が多く、下痢を悪化させることがあります |
| 食事を完全にストップする | 必要な栄養と水分が不足し、回復が遅れることがあります |
| 体を冷やす | 腸の動きをさらに乱す可能性があります |
| お風呂で長湯する | 体力を消耗します。ぬるめのシャワーで短時間に |
「下痢を早く止めたい」と感じても、感染性の下痢はウイルスや細菌を体の外へ出すための防御反応である面もあるため、無理に止めないことが基本と考えられています。
緊急度別|赤ちゃんの下痢で受診すべきサイン
赤ちゃんの下痢で迷いやすいのが「いつ病院に行くべきか」です。
ここでは、緊急度別に判断の目安を整理しました。
すぐ救急受診すべき「脱水サイン」
次のサインが一つでも見られたら、夜間・休日でもためらわず救急外来や小児救急電話相談(#8000)、救急安心センター事業(#7119)に相談してください。
厚生労働省の救急受診ガイドで示されている重度脱水のサインです。
- 6時間以上おしっこが出ない、おむつが濡れない
- 泣いても涙が出ない、目がくぼんでいる
- 口の中や唇がカサカサに乾いている
- 頭のてっぺん(大泉門)がへこんでいる
- ぐったりして視線が合わない
- 顔色が悪く、手足が冷たい
- 意識がぼんやりしている、けいれんがある
- うんちに鮮やかな血が混ざる、赤黒い便(イチゴジャム状)が出る
当日中に小児科を受診したいサイン
夜間でなくても、できるだけ早めの受診を検討すべき状態です。
- 38.5℃以上の発熱が続く
- 嘔吐を繰り返し、水分が取れない
- 便に粘液や少量の血が混ざる
- 機嫌が悪く、ぐずりが強い
- 生後3か月未満で下痢が始まった
翌日の診療時間内に受診したいサイン
急ぎではないものの、診療時間内に一度かかりつけ医を受診すると安心です。
- 機嫌はよいが、ゆるい便が1週間以上続く
- 鼻水・咳と下痢が同時にある
- 体重が増えていない、または減っている
- 同じ食材で繰り返し下痢が出る
- 抗菌薬を飲み始めてから下痢になった
家庭で様子を見てよいサイン
MSDマニュアル家庭版で示されている観察ポイントを参考にした目安です。
すべてに当てはまるなら、家庭でのケアで回復を待てるとされています。
- いつも通り母乳・ミルク・離乳食が摂れている
- 機嫌がよく、おもちゃで遊ぶなど活気がある
- うんちに鮮やかな血が混ざっていない
- おむつが重くなる程度におしっこが出ている
- 体重が減っておらず、成長曲線に沿っている
赤ちゃんの下痢はいつまで続く?回復までの目安
下痢の続く期間は原因によって変わります。
下痢は持続期間で次のように分類されています。
| 分類 | 持続期間 | 主な原因の例 |
|---|---|---|
| 急性下痢 | 2週間未満 | ウイルス性・細菌性の胃腸炎、食事の影響 |
| 遷延性下痢 | 2〜4週間 | 一過性乳糖不耐症、腸の炎症の回復過程 |
| 慢性下痢 | 4週間以上 | 食物アレルギー、炎症性腸疾患などの可能性 |
ウイルス性の急性胃腸炎なら、嘔吐は1〜2日でおさまり、下痢は1週間前後で改善することが多いとされています。
ただし胃腸炎のあとに乳糖不耐症が重なると、軟便が数週間続くことも珍しくありません。
機嫌・食欲・体重が保たれていれば、長引いても過度に心配しすぎる必要はないと考えられています。

赤ちゃんの下痢に関するよくある質問(FAQ)
- 赤ちゃんの下痢は何日続いたら病院に行くべきですか?
-
機嫌がよく食欲も保たれていれば、1週間ほど様子を見ても問題ないことが多いとされています。
ただし、ゆるい便が1週間以上続く、体重が減っている、ぐったりしているなどの様子が見られる場合は、機嫌がよくても受診をおすすめします。
- 新生児が下痢のときは、母乳やミルクをやめたほうがよいですか?
-
基本的に、母乳やミルクはいつも通り続けてよいとされています。
赤ちゃんが飲みたがるなら、回数を少し増やしてあげても構いません。
ただし、嘔吐を繰り返している、ぐったりしているなどの様子があるときは、自己判断せず受診を検討してください。
- 経口補水液は赤ちゃんに与えても大丈夫ですか?
-
乳児用の経口補水液は、医師の指示があれば乳児にも使用できます。
一気に飲ませず、スプーンやスポイトでこまめに与えるのがポイントです。
- 下痢が長引くと、おしりが真っ赤になります。どうすればよいですか?
-
下痢のうんちは肌への刺激が強いため、おむつかぶれを起こしやすくなります。
排便のたびにシャワーで洗い流し、押さえるように水分を取って、完全に乾いてから新しいおむつをつけてください。
赤みやただれが続く場合は、自己判断で薬を塗らず、小児科または皮膚科を受診しましょう。
- 保育園にはいつから行けますか?
-
ウイルス性胃腸炎の場合、下痢が落ち着き、普段通りに食事と水分が取れることが復帰の目安とされています。
園ごとに登園基準が異なるため、最終的にはかかりつけ医と園に確認してください。
- ロタウイルスワクチンは受けたほうがよいですか?
-
厚生労働省によると、ロタウイルスワクチンは2020年10月から定期接種となっています。
接種スケジュールは生後6週から始められるため、出産前後にかかりつけ医と相談しておくと安心です。
- 下痢止めの市販薬を飲ませてもよいですか?
-
赤ちゃんに大人用の下痢止めを使うのは避けてください。
止瀉薬は、6か月未満では禁忌、2歳未満でも原則として推奨されていません。
感染性の下痢では、無理に止めると症状が悪化することがあります。
【まとめ】赤ちゃんの下痢はどうすればいい?基本のケアと受診の判断基準
赤ちゃんの下痢は、ウイルス感染や離乳食の影響など、消化器がまだ未熟なゆえに起こる身近なトラブルです。
家庭でのケアの基本は「水分補給」「いつも通りの母乳・ミルク」「おむつかぶれ予防」「症状の記録」の4つで、無理に下痢を止める必要はないと考えられています。
- 下痢は「普段より回数が多く、水っぽいうんちが続く」状態を目安に判断する
- 主な原因はウイルス性胃腸炎・一過性乳糖不耐症・食事の影響・抗菌薬の副作用など
- 家庭でのケアの基本は経口補水でのこまめな水分補給とおむつかぶれ予防
- 大泉門のへこみ・涙が出ない・おしっこが半日以上出ないなどの脱水サインは救急受診の目安
- 機嫌・食欲・体重が保たれていれば1週間ほど様子を見られることが多い
「夜間で病院が開いていない」「受診すべきか判断に迷う」というときは、ご自宅からスマートフォンで医師に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」もぜひご活用ください。
便の写真や、これまでの経過のメモを準備してご相談いただくと、診察がよりスムーズに進みます。
最終的な判断は医師にご相談ください。

