おむつを替えたときや、うんちをふいたときに、赤ちゃんの便に血のようなものが混じっているのを見つけると、思わずドキッとしてしまいますよね。
「これって血便なのかな?」「何か大きな病気だったらどうしよう」「今すぐ病院に連れて行った方がいいの?」と、不安でいっぱいになる親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、赤ちゃんの血便で考えられる原因を、便の色や年齢・症状別にわかりやすく整理し、家庭で様子を見てよいのか、それともすぐに受診した方がよいのかの目安までまとめました。
便の写真の残し方や、受診のときに医師へ伝えるとよいポイントもご紹介します。慌てずにお子さんの様子を確認してみてくださいね。
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赤ちゃんの血便とは?まず便の「色」と「混じり方」を確認しましょう

ひとくちに血便といっても、便の色や血の混じり方はさまざまです。そして、その色や状態には、体のどのあたりから出血しているかのヒントが隠れています。
赤ちゃんの血便は、大きく次の3つのタイプに分けて考えると整理しやすくなります。
| 便のタイプ | 見た目の特徴 | 考えられる主な出血部位 |
|---|---|---|
| 鮮血(あざやかな赤) | 便の表面に赤い血がつく、糸のように混じる、便器やおしりふきに赤くつく | 肛門やその近くなど、腸の下のほう |
| 粘血便(イチゴゼリー状) | ゼリー状の粘液に血が混じった、いちごジャムのような便 | 大腸など、腸の途中(腸重積や炎症など) |
| 黒色便(タール便) | 墨のように黒く、ねっとりとした便 | 胃や十二指腸など、腸の上のほう |
あざやかな赤い血は、肛門の近くなど出口に近い場所からの出血であることが多いと考えられています。一方で、黒くねっとりしたタール便は、胃や十二指腸といった上のほうからの出血が、消化される間に酸化して黒くなったものとされています。赤ちゃんの黒いタール便は比較的まれで、注意が必要なサインのひとつです。
便の色や状態は、原因を探るうえでとても大切な手がかりになります。受診の前に、便の写真を撮っておいたり、汚れたおむつをビニール袋に入れて持参したりしていただけると、診察のときにとても役立ちますよ。
血便に見えて、実は血ではないこともあります
「血便だ!」と思っても、よく見ると血液ではないケースも少なくありません。食べたものや飲んでいる薬の影響で、便が赤くなったり黒くなったりすることがあるためです。
| 便の見た目 | 血ではない場合に考えられるもの |
|---|---|
| 赤い便・赤いつぶが混じる | にんじん、トマト、すいか、赤い色の飲みものやゼリーなど |
| 黒っぽい便 | 鉄分を補うお薬(鉄剤)、のり、青汁など |
| 赤〜レンガ色の便 | 一部の抗菌薬(抗生物質)を飲んでいるとき |
このように、離乳食が始まったばかりの赤ちゃんでは、食べたものの色がそのまま便に出てくることがよくあります。とはいえ、家庭で「これは血ではない」と自己判断で決めてしまうのは難しいものです。血液かどうか迷うときは、便の写真を撮ったうえで、かかりつけの小児科に相談してみると安心です。
赤ちゃんの血便で考えられる原因を年齢と症状別に整理
赤ちゃんの血便には、いくつもの原因が考えられます。しかも、生まれて間もない新生児期と、離乳食が進む乳児期以降とでは、起こりやすい原因が少しずつ変わってきます。ここでは、月齢・年齢の段階ごとに、代表的な原因を整理していきましょう。
新生児期(生後1か月ごろまで)に多い原因
生まれて間もない時期の血便として知られているのが「新生児メレナ」です。これには、大きく2つのタイプがあります。
ひとつは、赤ちゃん自身の腸などから出血するタイプです。新生児はもともと出血を止める働きにかかわるビタミンKが不足しやすく、このことが関係すると考えられています。
もうひとつは、赤ちゃんがお母さんの血液を飲み込んで、それが便に出てくるタイプです。分娩のときや、授乳中に切れてしまった乳首の傷から出た血液を飲み込むことで起こるとされ、赤ちゃん自身は元気なことがほとんどです。
なお、ビタミンK不足による出血を防ぐため、現在は生まれた赤ちゃんにビタミンKのシロップを飲ませる予防が広く行われています。
日本小児科学会などの提言では、2021年に予防法が見直され、生後3か月ごろまで週に1回ビタミンKを飲ませる方法(3か月法)がすすめられるようになりました。新生児期に血便が見られたときは、自己判断せず、産科や小児科で診てもらいましょう。
乳児期(生後数か月〜1歳ごろ)に多い原因
ハイハイやよちよち歩きを始めるころまでの赤ちゃんには、次のような原因がよく見られます。
切れ痔(裂肛) は、便秘などで硬くなった便を出すときに、肛門の皮膚が切れて出血するものです。便の表面に少量のあざやかな血がつくことが多く、排便のときに痛がって泣くこともあります。赤ちゃんの血便の原因としてはとくに多いものとされています。
消化管アレルギー(新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症) は、ミルクや母乳に含まれる牛乳などのたんぱく質に、腸が反応して炎症を起こすものです。粘液の混じった血便や、嘔吐・下痢が見られることがあります。重い場合には、体重の増えが悪くなったり、ぐったりしたりすることも。
診断や対応の考え方は、新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症の診療ガイドラインにまとめられています。牛乳が原因と考えられるときは、医師の指導のもとで、アレルギー用のミルク(加水分解乳やアミノ酸乳)へ変えるといった対応がとられます。
リンパ濾胞増殖症 は、腸にあるリンパ組織が一時的に増えて、その表面から少量の血がにじむものです。母乳を飲んでいる赤ちゃんに多く見られ、「母乳血便」と呼ばれることもあります。赤ちゃんは元気で機嫌もよく、多くは成長とともに自然に落ち着いていくと考えられています。
腸重積症 は、腸の一部が隣の腸の中にはまり込んでしまう病気で、赤ちゃんの血便のなかでもとくに注意したい原因です。くわしくは次の章でご説明します。
細菌性腸炎 は、サルモネラやカンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157など)といった細菌に感染して腸に炎症が起こるものです。発熱・腹痛・下痢をともなって、粘液や血の混じった便が出ることが多く、水分がとれずぐったりすることもあります。とくに腸管出血性大腸菌は、乳幼児で重い合併症(溶血性尿毒症症候群)につながることがあるため、注意が必要です。

幼児期以降に見られる原因
離乳が進み、幼児期に入ってからも、血便が見られることがあります。
かぜのような感染性の腸炎のほか、若年性ポリープが関係することも。これは大腸にできる良性のできもので、痛みをともなわずに少量の出血が起こることがあります。
また、まれではありますが、メッケル憩室が原因になる場合もあります。生まれつき小腸の一部に袋状の突起が残ったもので、日本小児外科学会によると、およそ2%の人に見られるとされています。その突起の一部に胃の粘膜と同じ組織があると、胃酸によって腸が傷つき、前ぶれなく大量の下血が起こることもあるのです。
原因ごとの便や症状の特徴、受診の目安をまとめると、次のようになります。
| 考えられる原因 | よく見られる便・症状 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 切れ痔(裂肛) | 便の表面に少量の鮮血、排便時に痛がる | 元気なら診療時間内の受診・相談で様子を確認 |
| 消化管アレルギー | 粘血便、嘔吐や下痢、体重の増え方が悪い | 早めに小児科を受診 |
| リンパ濾胞増殖症 | 少量の血、元気で機嫌もよい | 診療時間内に受診・相談 |
| 腸重積症 | イチゴゼリー状の便、激しく泣く、嘔吐 | 夜間・休日でもすぐに受診 |
| 細菌性腸炎 | 発熱・腹痛をともなう粘血便や血の混じった下痢 | 早めに受診(ぐったり時はすぐ受診) |
今すぐ受診すべき危険なサインと受診の目安

血便が見られたとき、いちばん大切なのは、便の様子だけでなく赤ちゃん全体の様子をあわせて見ることです。「出血の量」「くり返す嘔吐や発熱の有無」「顔色や機嫌」を手がかりに、緊急度を落ち着いて確認していきましょう。
とくに気をつけたいのが腸重積症です。もともと元気だった赤ちゃんが、急に激しく泣いては少し落ち着く、ということをくり返します。嘔吐やイチゴゼリー状の血便が見られるときは、この病気の可能性があります。
日本小児外科学会によると、腸重積症は生後3か月から2歳ごろまでの赤ちゃんに多く見られます。発症からの時間が短いうちであれば、おなかから空気や造影剤を入れて、腸のはまり込みをもとに戻す治療ができることが多いとされています。時間がたつほど対応が難しくなることもあるため、早めに受診しましょう。
受診の目安を、緊急度の3段階で整理すると次のようになります。
| 緊急度 | こんなサインがあるとき | 対応の目安 |
|---|---|---|
| すぐに受診 | イチゴゼリー状の便と激しい泣き・嘔吐、黒いタール便、おむつが染まるほどの出血、ぐったり・顔色が悪い | 夜間・休日でも受診を検討 |
| 早めに受診 | 発熱・下痢・腹痛をともなう、出血がくり返す・増えていく、1週間以上続く、体重の増えが悪い | できるだけ早く診療時間内に受診 |
| 様子を見ながら相談 | 便の表面に少量の血、機嫌も食欲もいつもどおりで元気 | 便の写真を残し、診療時間内に相談 |
判断に迷ったときは、無理にご家庭だけで抱え込まず、公的な相談窓口も活用してみましょう。夜間や休日に子どもの急な症状で困ったときは、子ども医療電話相談(#8000)で、小児科の医師や看護師に相談できます。
救急車を呼んだほうがよいか迷うときには、救急安心センター事業(#7119)を実施している地域もあります。お住まいの地域の窓口を、あらかじめ確認しておくと安心ですね。
家庭でできることと、受診前に準備しておきたいこと
血便の背景に切れ痔があるときは、便をやわらかく保って便秘をやわらげる工夫が、くり返しを防ぐことにつながると考えられています。月齢に応じて水分をこまめにとらせる、離乳食が始まっていれば食物繊維を意識する、おなかのマッサージや適度に体を動かす機会をつくる、といったケアが役立ちます。ただし、出血が続くときや原因がはっきりしないときは、家庭でのケアだけで様子を見続けず、医師に相談してくださいね。
受診のときは、次のような情報を伝えられるように準備しておくと、診察がスムーズになります。
- 便の色・混じり方・回数(できれば写真やおむつを持参する)
- いつから、どのくらいの量の血が出ているか
- 発熱・嘔吐・下痢・機嫌など、便以外の様子
- 最近食べたものや、飲んでいる薬(鉄剤や抗菌薬など)
こうした記録があると、医師が原因を考えるときの大きな助けになります。便は時間がたつと色が変わることもあるため、できるだけ新しい状態で写真を撮っておくのがおすすめです。
夜間や休日で病院に行けないときの選択肢
赤ちゃんの血便は、夜間や休日、あるいは受診しようか迷う時間帯に気づくことも少なくありません。「すぐ受診すべきか、朝まで待ってよいか判断がつかない」というときに、家庭だけで抱え込むと不安が大きくなってしまいますよね。
そんなときは、自宅から医師や助産師に相談できる小児科オンライン診療を活用するのもひとつの方法です。便の写真を見てもらいながら、いま受診したほうがよいのか、翌日の診療時間まで様子を見てよいのかといった相談ができます。
もちろん、イチゴゼリー状の血便や大量の出血、ぐったりした様子など、緊急性が高いと考えられるサインがあるときは、オンラインでの相談を待たずに受診してくださいね。オンライン診療は、あくまで受診の判断や日ごろの相談に役立てる選択肢のひとつです。
赤ちゃんの血便に関するよくある質問(Q&A)
- 母乳を飲んでいる赤ちゃんの少量の血便は、様子を見ても大丈夫ですか?
-
母乳の赤ちゃんでは、リンパ濾胞増殖症などにより、少量の血がにじむことがあります。赤ちゃんが元気で、機嫌も食欲もいつもどおりであれば、あわてる必要はないことが多いと考えられています。
ただし、自己判断で放置せず、便の写真を残したうえで、診療時間内にかかりつけの小児科へ相談しておくと安心です。出血が増えたり、くり返したりする場合は、早めに受診しましょう。
- 血便が出ているのに、赤ちゃんが元気そうなのはなぜですか?
-
切れ痔やリンパ濾胞増殖症など、出血の量が少ない原因では、赤ちゃんが元気なことも珍しくありません。元気かどうかは大切な目安のひとつですが、それだけで安全と決めつけるのは難しい面もあります。
便の様子や、発熱・嘔吐といったほかの症状もあわせて確認し、気になるときは医師に相談してみてくださいね。
- 便に黒い粒や繊維のようなものが混じっていました。血便でしょうか?
-
黒い粒や繊維状のものは、飲んでいる鉄剤や、のり・バナナなどの食べもの、母乳のかすなどであることもあります。一方で、墨のように黒くねっとりしたタール便は、上のほうからの出血の可能性があります。
見分けがつきにくいため、心配なときは便の写真を撮って、小児科で確認してもらうとよいでしょう。
- 離乳食を始めてから便が赤いのですが、血便と見分ける方法はありますか?
-
にんじんやトマト、すいかなどを食べたあとは、その色が便に出て赤く見えることがあります。食べたものと便の色に関連がありそうか、赤い部分が血のように広がっているかなどが手がかりになります。
家庭で見分けるのが難しいときは、無理に判断せず、食べたものの記録と便の写真を持って受診すると確認しやすくなります。
- 受診のとき、便の写真はどのように撮っておくとよいですか?
-
明るい場所で、便全体の色と、血の混じり方がわかるように撮っておくのがおすすめです。おむつごと撮ると、量の目安も伝わりやすくなります。
便は時間がたつと色が変わることがあるため、気づいたときのなるべく新しい状態で撮影しておくと、診察のときに役立ちます。
【まとめ】赤ちゃんの血便は元気で少量なら様子を見られることも。危険なサインは早めの受診を
赤ちゃんの血便は、便の色や混じり方、そして赤ちゃん全体の様子によって、考えられる原因や緊急度が変わってきます。少量の血で元気なら家庭で様子を見られることもありますが、なかには早めの対応が必要なものもあるため、落ち着いて見きわめることが大切です。
- 血便は「鮮血」「イチゴゼリー状の粘血便」「黒いタール便」の3タイプで考えると整理しやすい
- 食べものや薬で便が赤・黒くなり、血に見えることもある
- 起こりやすい原因は新生児期・乳児期・幼児期で少しずつ異なる
- イチゴゼリー状の便と激しい泣き・嘔吐は腸重積症の可能性があり、夜間・休日でもすぐに受診する
- 受診のときは便の写真やおむつ、食べたもの・薬の情報を伝えると診察に役立つ
判断に迷うときや、夜間・休日ですぐに病院へ行けないときは、子ども医療電話相談(#8000)などの公的な窓口や、自宅から相談できる小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも、選択肢のひとつですよ。
気になる症状があるときや、最終的に受診が必要かどうかは、お子さんの様子を直接確認できる医師に相談して判断してくださいね。

