ふと目を離したすきに、赤ちゃんが手元にあった小さなものを口に入れていた……。そんな場面にヒヤッとした経験のある親御さんは、少なくありません。
「飲み込んでしまったかもしれない」「吐かせたほうがいいの?」「すぐ病院に行くべき?」と、頭が真っ白になってしまいますよね。
この記事では、赤ちゃんが誤飲したときにまず確認したいこと、飲み込んだものごとの危険度と対処の目安、家庭での予防や相談先までを、公的機関の情報をもとにわかりやすくまとめました。
いざというときに落ち着いて動けるよう、お子さんの様子を思い浮かべながら読み進めてみてくださいね。
本記事の編集方針について
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赤ちゃんの誤飲でまずやってはいけない3つのこと

赤ちゃんが誤飲したとき、あわてて対応すると、かえって状態を悪くしてしまうことがあります。まずは「やってはいけないこと」から確認しておきましょう。
| やってはいけないこと | なぜ避けたいか |
|---|---|
| 無理に吐かせる | 吐いたものがのどや気管に入り、かえって危険なことがあるため |
| 自己判断で水や牛乳を飲ませる | 飲んだものによっては、吸収が早まったり症状が悪化したりすることがあるため |
| 口の奥を指でさぐる | 異物を奥に押し込んだり、口の中を傷つけたりすることがあるため |
以前は「まず吐かせる」と考えられていた時期もありましたが、現在の考え方は少し異なります。日本中毒情報センターも、家庭で吐かせることは勧めていません。吐いたものが気管に入ってしまうことがあり、危険だと考えられているためです。
とくに灯油やマニキュアなどの石油製品、漂白剤やトイレ用洗剤などの酸性・アルカリ性の強いもの、防虫剤は、吐かせてはいけないものとされています。判断に迷うときは、無理に処置をせず、次の項目で紹介する相談先に連絡してくださいね。
赤ちゃんが誤飲したときに最初に確認したいこと
落ち着いて対応するために、受診の前に次のことを確認しておきましょう。医師に伝えると、診察や処置の判断に役立ちます。
- 何を飲み込んだ可能性があるか
- いつ頃、どのくらいの量を飲んだか
- 咳き込み、ゼーゼーした呼吸、嘔吐、機嫌の悪さなどの変化はないか
液体を飲んだ可能性があるときは、減った量を誤飲した量の目安と考えます。飲み込んだものと同じもの(同じ製品の予備や、残っているかけらなど)があれば、受診のときに持参してください。実物があると、大きさや材質、形が正確に伝わり、判断の助けになります。
誤飲しても、すぐには症状が出ないことも少なくありません。はっきり確認できなくても「飲み込んだかもしれない」と考えて対応することが大切です。
【緊急度別】赤ちゃんの誤飲で受診・救急を判断する目安
飲み込んだものや症状によって、対応の急ぎ方は変わります。まずは次の表を目安にしてみてください。
| 緊急度 | こんな様子・飲んだものの例 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 今すぐ救急 | 呼吸が苦しそう、声が出せない、顔色が青白い、唇が紫色、ぐったり、けいれん/灯油・除光液・農薬などを飲んだ | ためらわず119番。判断に迷うときは♯7119へ |
| 急いで受診(異物) | ボタン電池・磁石・先のとがったもの・釘・画びょう | 夜間・休日でも早めに医療機関を受診。何も飲ませず・吐かせない。迷うときは♯8000/♯7119(※これらの異物は中毒110番の対象外) |
| 急いで受診(化学物質・薬) | たばこ・洗剤・漂白剤・薬などを飲んだ(症状がなくても) | 早めに受診、または中毒110番へ相談(大阪072-727-2499/つくば029-852-9999、365日24時間)。たばこは特に何も飲ませない |
| まず相談・診療時間内に受診 | 少量のクレヨンや粘土などを口にした程度で、変わった様子がない | 中毒110番や♯8000で相談し、必要に応じて受診 |
症状がなくても、飲んだものによっては早めの受診がすすめられます。迷ったときの相談先は、記事の後半でまとめています。こども家庭庁や消費者庁の情報をもとにした政府広報オンラインの解説も参考になりますよ。
とくに危険な誤飲と対処の目安
飲み込むと命に関わることもある、注意したいものを紹介します。いずれも、家庭で無理に吐かせず、早めに受診することが大切とされています。
ボタン電池(コイン形リチウム電池)
ボタン電池は、体の中にとどまって電流が流れると、周囲の組織を傷つけることがあります。粘膜に触れると化学やけど(化学熱傷)を起こし、食道や胃の壁に短い時間で穴があくこともあるとされています。とくに電圧の高いコイン形リチウム電池は危険とされ、注意が必要です。
飲み込んだ可能性があるときは、何も飲ませず、吐かせず、できるだけ早く受診してください。くわしくは国民生活センターの注意喚起でも解説されています。
複数の磁石
小さな磁石を2個以上飲み込むと、磁石同士が胃や腸の壁をはさんでくっつき、穴があく(穿孔)などの危険があるとされています。症状がなくても受診が必要と考えられています。
釘・画びょうなどの先のとがったもの
先のとがったものは、消化管を傷つけて出血などを起こすことがあります。こちらも症状がなくても受診をおすすめします。
たばこ・加熱式たばこ
たばこにはニコチンが含まれ、飲み込むと中毒を起こすことがあります。水を飲ませるとニコチンの吸収が早まるおそれがあるため、何も飲ませず、早めに受診してください。とくに、吸い殻がつかった水を飲んでしまった場合は危険とされています。加熱式たばこのスティックも、一口で口に入りやすいため注意が必要です。
洗剤・漂白剤・灯油などの家庭用品
これらは含まれる成分や量によって対応が大きく変わります。無理に吐かせず、日本中毒情報センターなどの相談窓口に連絡し、指示を受けながら対応することが大切です。近年は、水に溶けるフィルムで包んだパック型の液体洗剤を、乳幼児がなめたり握りつぶしたりする事故も起きています。
少量なら大きく心配しないでよいとされるもの
飲み込んだものによっては、少量であれば大きな心配はいらないとされるものもあります。たとえば、クレヨン、粘土、シャボン玉液、乾燥剤(シリカゲル)、少量の石けんや化粧品、水彩絵の具などです。多くは自然に便と一緒に排出されると考えられています。
ただし、これは「まったく受診しなくてよい」という意味ではありません。飲んだ量がはっきりしないときや、いつもと様子が違うときは、相談や受診を検討してくださいね。
硬貨や小さなおもちゃなどは、一刻を争うことは多くありませんが、念のため受診しておくと安心です。胃まで入ったものの多くは、数日から2週間ほどで便と一緒に出てくるとされています。排出を確認できるまでは、便の様子を注意深く見守りましょう。大きめのものは胃に残ることもあり、経過を見ながら処置が必要になる場合もあります。
のどに詰まって苦しそうなときの応急手当
「誤飲」と、のどや気管にものが詰まる「窒息」は紙一重です。急に激しく咳き込む、声が出せない、顔色が青白くなる、といったときは窒息のサインかもしれません。ためらわず119番通報をし、同時に次の応急手当を始めてください。
1歳未満の赤ちゃんの場合
背中を叩く方法(背部叩打法)と、胸を押す方法(胸部突き上げ法)を交互に繰り返します。
- 赤ちゃんをうつぶせにし、頭を体より低くして、下あごを手で支えます
- もう一方の手のひらのつけ根で、背中の真ん中(肩甲骨の間)を数回続けて叩きます
- 次にあお向けにし、後頭部を手で支えます
- 左右の乳首を結んだ線の中央より少し足側を、指2本で数回押します
異物が出るか、反応がなくなるまで、①〜④を繰り返します。反応がなくなったときは、ただちに心肺蘇生を始め、救急隊の指示に従ってください。手順はこども家庭庁や、日本医師会の救急蘇生法のページでも確認できます。
1歳以上のお子さんでは、背中を叩く方法を試したあと、うしろから両腕を回してみぞおちの下を上方へ突き上げる方法(腹部突き上げ法)を行います。
赤ちゃんの誤飲を防ぐために家庭でできること

誤飲は、日ごろの環境づくりで防ぎやすくなる事故でもあります。赤ちゃんは首すわりの時期を過ぎるころから、手にしたものを口に運んで確かめるようになります。生後5〜6か月ごろから増えるこうした行動は順調な発達のあらわれですが、その分、誤飲への注意も必要になります。
目安として、トイレットペーパーの芯(直径およそ39mm)を通る大きさのものは、赤ちゃんが飲み込む可能性があると考えておきましょう。次のような点に気をつけてみてください。
- 床やテーブルなど、手の届くところに小さなものを置いたままにしない
- ボタン電池を使う製品は、電池のふたをテープで留めるなど外れにくくする
- たばこ・薬・洗剤・化粧品は、手の届かない場所や鍵付きの場所に保管する
- おもちゃは対象年齢を守って選ぶ
手を伸ばして届く範囲は、台に登ることも考えると1歳で約90cm、2歳で約110cm、3歳で約120cmまで広がるとされています。また、硬い豆やナッツ類は、のどに詰まらせたり気管に入って肺炎などを起こしたりするおそれがあるため、消費者庁は5歳ごろまで控えるようすすめています。
判断に迷うときの相談先
「受診したほうがいいのか迷う」というときのために、相談先を知っておくと安心です。
飲み込んだものが心配なときは、公益財団法人 日本中毒情報センターの中毒110番に相談できます。大阪(072-727-2499)とつくば(029-852-9999)があり、どちらも365日24時間対応で、情報提供料は無料です(通話料はかかります)。たばこ専用の電話(072-726-9922)もあります。
受診の目安に迷うときは、子ども医療電話相談(♯8000)で、看護師などに相談することもできます。夜間や休日の急な症状のときに役立つ、全国共通の窓口です。
また、夜間や休日など、すぐに病院へ行きにくいときは、ご自宅から小児科医に相談できる小児科オンライン診療「あんよ」を利用するのも選択肢の一つです。画面越しにお子さんの様子を見てもらいながら、受診の目安を相談できます。ただし、症状によっては対面での受診をすすめられることもあります。

赤ちゃんの誤飲に関するよくある質問(Q&A)
- 飲み込んだかどうか、はっきり分からないときはどうすればいいですか?
-
「飲み込んだ瞬間を見ていない」「気づいたら物がなくなっていた」というご相談はよくあります。はっきり確認できなくても、まずは「誤飲した可能性がある」と考えて対応するのが安心です。飲み込んだものが危険なものかどうかで対応が変わるため、心配なときは中毒110番や♯8000に相談してみてくださいね。
- とくに症状がなければ、受診しなくても大丈夫ですか?
-
飲み込んだものによっては、しばらくたってから症状が出ることもあります。ボタン電池、磁石、先のとがったもの、たばこ、洗剤、薬などは、症状がなくても早めの受診がすすめられています。飲んだものがはっきりしないときも、自己判断で様子を見続けず、相談することをおすすめします。
- たばこを少しかじったかもしれません。すぐ吐かせたほうがよいですか?
-
家庭で無理に吐かせることはすすめられていません。とくにたばこは、水を飲ませるとニコチンの吸収が早まるおそれがあるため、何も飲ませず、早めに受診してください。飲んだ量や様子を、受診時に伝えられるようにしておくとよいでしょう。
- 硬貨を飲み込んだようです。便で出るのを待っていてもよいですか?
-
硬貨などは一刻を争うことは多くありませんが、念のため受診しておくと安心です。多くは数日から2週間ほどで便と一緒に排出されるとされていますが、大きめのものは胃に残ることもあります。受診したうえで、医師と相談しながら経過を見守りましょう。
- 誤飲を防ぐには、どのくらいの大きさのものに気をつければよいですか?
-
トイレットペーパーの芯(直径およそ39mm)を通る大きさのものは、赤ちゃんが口に入れて飲み込む可能性があると考えておくとよいでしょう。芯を目安に、手の届くところに小さなものを置かないようにするのがおすすめです。
【まとめ】赤ちゃんが誤飲したら「吐かせず・飲ませず・すぐ相談」で落ち着いて対応しましょう
赤ちゃんの誤飲は、飲み込んだものと様子を確認し、落ち着いて相談・受診することが大切です。最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- 家庭で無理に吐かせず、自己判断で水や牛乳を飲ませない
- 何を・いつ・どのくらい飲んだかを確認し、同じものがあれば持参する
- ボタン電池・磁石・とがったもの・たばこ・洗剤・薬は症状がなくても早めに受診する
- 呼吸が苦しそう・声が出せないなど窒息のサインがあれば、119番と応急手当を
- 迷うときは中毒110番や♯8000、オンライン診療などの相談先を活用する
赤ちゃんの誤飲は、親御さんもとても不安になりますが、あわてず様子を確認すれば、多くは落ち着いて対応できます。
夜間や休日など、すぐに病院に行けないときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談するのも選択肢の一つですよ。
最終的な判断は医師にご相談ください。

