夜中に突然、お子さんが泣き叫んで起き上がり、呼びかけても反応しない——。そんな様子を目にすると、思わず不安になってしまいますよね。
「うちの子だけなのかな?」「何か悪い病気なのでは?」と、心配になる親御さんも多いのではないでしょうか。
これは「夜驚症(やきょうしょう)」と呼ばれる、幼児期のお子さんによくみられる睡眠中の反応かもしれません。この記事では、夜驚症になりやすい子の特徴や原因、なりやすい年齢、夜泣きや悪夢との見分け方、家庭での対処法と受診の目安までを、公的機関の情報をもとにわかりやすく解説します。
「なりやすい子」に共通する傾向を知っておくと、慌てずに見守りやすくなりますので、お子さんの様子と照らし合わせながら読んでみてくださいね。
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夜驚症とは?ノンレム睡眠中に突然起こる子どもの反応

夜驚症は、眠っている途中に突然、強い恐怖に襲われたように泣き叫んだり、起き上がってパニックのようになったりする状態です。医学的には睡眠時随伴症(パラソムニア)のひとつで、「睡眠時驚愕症(すいみんじきょうがくしょう)」とも呼ばれます。
多くは、眠りについてから最初の数時間のうちに起こります。深いノンレム睡眠から抜け出そうとするときに生じると考えられています。
発作中のお子さんは、目を開けていても呼びかけに反応しないことが多く、翌朝には本人がほとんど覚えていないのも特徴です。
夜驚症でよくみられる様子
夜驚症のときには、次のような様子がみられることがあります。
- 眠っていたのに突然、大きな声で泣き叫ぶ
- 起き上がって、おびえた表情で暴れることがある
- 汗をかき、心臓がドキドキして呼吸が速くなる
- 呼びかけても目線が合わず、なかなか反応しない
- 数分ほどでまた眠りにつき、朝は本人が覚えていない
これらは脳の睡眠の仕組みが発達の途中にあることによって起こると説明されています。お子さんの性格や育て方が原因というわけではないと考えられています。
夜驚症が起こりやすい時間帯と続く長さ
夜驚症は、眠りはじめてからおおよそ1〜3時間後の、睡眠の前半に多くみられます。続く時間は数分ほどのことが多く、長い場合でも15分程度でおさまっていくとされています。
ひと晩に何度も繰り返すことは少なく、たいていは一度おさまるとそのまま朝まで眠ることが多いようです。
夜驚症になりやすい子の特徴と共通する傾向
夜驚症になりやすい子には、体質や生活のなかにいくつか共通した傾向があると考えられています。ただし、どれかに当てはまるからといって必ず夜驚症になるわけではありません。あくまで起こりやすくする要因のひとつとして知っておくと安心です。
主に挙げられるのは、次のような傾向です。
| なりやすさに関わる傾向 | 背景にあると考えられること |
|---|---|
| 睡眠不足や生活リズムの乱れがある | 眠りのリズムが不安定になり、深い眠りから急に覚めやすくなる |
| 日中に強い興奮や緊張、刺激を受けやすい | 興奮や緊張が夜まで続き、眠りに影響することがある |
| 家族に夜驚症や夢遊病がみられた | 体質的に起こりやすい傾向が家族内でみられることがある |
| 発熱や体調不良、強い疲れがある | 一時的に眠りが浅く乱れ、発作の引き金になりやすい |
睡眠不足や生活リズムが乱れやすい子
睡眠が足りていなかったり、就寝時刻が日によってバラバラだったりすると、眠りのリズムが乱れて夜驚症が起こりやすくなると考えられています。
厚生労働省は、こどもの推奨される睡眠時間の目安として、3〜5歳で10〜13時間、小学生で9〜12時間を紹介しています。まずは年齢に合った睡眠時間を確保することが、生活リズムを整える第一歩になります。
強い興奮や緊張を受けやすい子
まわりの様子に敏感で、うれしいことにも怖いことにも強く反応しやすいお子さんは、日中の興奮や緊張を夜まで持ち越しやすいことがあると説明されています。
こうした感じやすさそのものは個性のひとつであり、悪いことではありません。大きな行事や初めての経験が続いたときなどに、一時的に夜驚症がみられやすくなることがあると考えられています。
家族に夜驚症や夢遊病がみられた子
夜驚症は、家族に同じような睡眠中の反応(夜驚症や夢遊病)がみられた場合に、起こりやすい傾向があると報告されています。
これは体質的なものと考えられており、家族の接し方のせいではありません。「自分が子どもの頃にもあった」という親御さんも少なくないようです。
発熱や強い疲れ、興奮があるとき
発熱や体調不良、日中の遊びすぎによる強い疲れ、寝る前の激しい興奮なども、夜驚症の引き金になりやすいとされています。
これらは一時的な要因であることが多く、体調が戻ったり生活リズムが整ったりすると、自然に落ち着いていくことが多いといわれています。
夜驚症になりやすい年齢は?何歳ごろに多い?
夜驚症は、おおむね3〜7歳ごろの幼児期に多くみられます。海外の研究報告では、1〜12歳のお子さんのおよそ1〜6.5%程度にみられたとの報告もあります。
脳の眠りを調整する働きが育つにつれて、多くは思春期を迎える頃までに、自然におさまっていくと考えられています。
小学校の高学年になっても頻繁に続く場合や、8〜10歳を過ぎてから初めてみられた場合には、一度医師に相談すると安心です。
夜驚症になりやすい子は「頭がいい」って本当?
インターネットでは「夜驚症のお子さんは頭がいい」「感性が豊か」といった話を見かけることがあります。心配な気持ちのなかで、こうした情報に少し安心する方もいるかもしれません。
ただ、現時点では、夜驚症と知能の高さを直接結びつける医学的な根拠は確認されていません。夜驚症は幼児期のお子さんに広くみられる眠りの反応であり、頭のよさや才能の有無を示すものではないと考えておくとよいでしょう。
夜驚症と発達障害の関係は?
「夜驚症は発達障害と関係があるのでは」と心配される親御さんもいます。この点は誤解が広がりやすいところなので、ていねいに整理しておきます。
まず、夜驚症の多くは、発達に問題のないお子さんにみられる、成長の過程でよくある反応です。夜驚症があること自体が、発達障害を意味するわけではありません。
一方で、発達障害(ADHDや自閉スペクトラム症など)の特性があるお子さんは、寝つきにくさや途中で目覚めやすいといった睡眠の悩みを持ちやすいことが知られています。その一つとして、夜驚症のような反応がみられることもあります。
また、睡眠不足が続くと、日中のぼんやりや落ち着きのなさが目立ち、発達障害と間違われてしまうことがあると厚生労働省も紹介しています。気になる様子が続くときは、自己判断せず、小児科や専門の窓口に相談することをおすすめします。

夜驚症と間違えやすいものとの見分け方
夜驚症は、夜泣きや悪夢、夢遊病(睡眠時遊行症)などと似ているため、迷いやすいものです。主な違いを整理すると、次のようになります。
| 比べる対象 | 夜驚症の特徴 | 似たものとの違い |
|---|---|---|
| 夜泣き | 幼児期に多く、呼びかけに反応しにくい | 夜泣きは乳児期に多く、あやすと落ち着きやすい |
| 悪夢 | 深いノンレム睡眠中に起こり、本人は覚えていない | 悪夢はレム睡眠中に起こり、夢の内容を覚えていることが多い |
| 夢遊病 | 突然の強い恐怖と叫びが中心 | 夢遊病は眠ったまま歩き回る行動が中心 |
夜泣きとの違い
夜泣きは主に生後まもない乳児期にみられ、抱っこやあやしで落ち着くことが多いものです。一方、夜驚症は幼児期以降にみられ、呼びかけてもなかなか反応せず、本人が覚えていない点が異なります。
悪夢(悪夢障害)との違い
悪夢は、夢を見るレム睡眠のときに起こり、目が覚めたあとに夢の内容をはっきり覚えていることが多いものです。夜驚症は深いノンレム睡眠中に起こり、本人は覚えていないことが多い点で区別されます。
夢遊病(睡眠時遊行症)との関係
夢遊病は、夜驚症と同じくノンレム睡眠から起こる反応で、眠ったまま歩き回ったりします。夜驚症のあとに夢遊病がみられることもあり、どちらも成長とともに落ち着いていくことが多いとされています。
けいれんなど、いつもと違う様子が心配なとき
体が硬直する、手足が規則的にガクガクとふるえる、毎回まったく同じ動きを繰り返すといった様子があるときは、別の原因が隠れていないかを確かめるため、医師に相談しておくと安心です。

夜驚症の子どもへの家庭での対処法

夜驚症は、多くの場合、家庭での落ち着いた対応と生活リズムの見直しで見守っていける反応です。発作中の対応と、ふだんの生活の工夫に分けて紹介します。
発作が起きているときの対応
発作の最中は、次のような対応を心がけると安心です。
- 無理に起こそうとせず、落ち着いておさまるのを待つ
- ぶつかってケガをしないよう、まわりの危険なものを片づける
- 大声で呼んだり強く揺さぶったりせず、静かに見守る
- 落ち着いてきたら、やさしく声をかけて寝かせてあげる
無理に起こすと、かえって混乱してしまうことがあるといわれています。数分でおさまることが多いので、あわてず安全を確保しながら見守ってあげてください。
夜驚症を起こしにくくするための生活の工夫
くり返し起こるときは、ふだんの生活のなかで次のような工夫をしてみましょう。
- 毎日できるだけ同じ時刻に寝起きして、睡眠リズムを整える
- 年齢に合った睡眠時間を確保し、睡眠不足をためない
- 寝る前は激しい遊びや動画を控え、静かに過ごす
- 部屋を暗く静かにして、安心して眠れる環境をつくる
こうした工夫は、すぐに変化が出るとは限りません。それでも、眠りの土台を整えることが夜驚症の起こりにくさにつながると考えられています。
病院を受診する目安と相談のしかた
夜驚症の多くは成長とともに落ち着いていきます。ただし、次のような様子がみられるときは、一度医師に相談することをおすすめします。
| こんなときは相談を | 理由・目安 |
|---|---|
| 週に何度もくり返す状態が続く | 睡眠不足や別の原因が隠れていないか確認するため |
| 1回が15分以上と長い、または朝まで何度も起こる | 眠りへの影響が大きく、対応の相談が必要なため |
| 暴れてケガをしそう、実際にケガをした | 安全のための環境づくりや対応を一緒に考えるため |
| 8〜10歳を過ぎても続く、または初めてみられた | 年齢的に別の原因も含めて確認しておくと安心なため |
| 体の硬直やけいれんなど、いつもと違う様子がある | 夜驚症以外の可能性を確かめる必要があるため |
| 大きないびきや睡眠中の呼吸の乱れが続く | 睡眠の質に関わる別の原因がないか確認するため |
日中の眠気で園や学校の生活に支障が出ているときも、早めの相談が安心につながります。
夜間や休日など、すぐに受診できない時間帯に様子が気になったときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談してみるのもひとつの方法です。実際の受診が必要かどうかを考えるうえでも役立ちます。
夜驚症に関するよくある質問(Q&A)
- 夜驚症はいつごろまでに落ち着きますか?
-
多くは成長とともに落ち着き、思春期を迎える頃までにみられなくなっていくとされています。ただし経過には個人差があるため、心配なときは医師に相談してみてください。
- 夜驚症が起きたとき、起こしたほうがよいですか?
-
無理に起こす必要はないと考えられています。ケガをしないよう安全を確保しながら、落ち着いておさまるのを静かに見守ってあげましょう。
- 毎晩のように起こります。何か問題があるのでしょうか?
-
頻繁にくり返す場合は、睡眠不足や生活リズムの乱れ、別の原因が隠れていることもあります。週に何度も続くようであれば、一度医師に相談すると安心です。
- 親の関わり方や愛情不足が原因なのでしょうか?
-
愛情不足が原因という医学的な根拠は確認されていません。夜驚症は脳の眠りの仕組みが育つ途中で起こる反応と考えられており、育て方のせいではないとされています。
- 夜驚症は予防できますか?
-
確実に防ぐ方法はありませんが、十分な睡眠と規則正しい生活リズム、寝る前に落ち着いて過ごすことが、起こりにくさにつながると考えられています。
【まとめ】夜驚症になりやすい子の特徴を知って落ち着いて見守りましょう
夜驚症になりやすい子には、睡眠不足や感受性の強さ、家族歴、発熱や強い疲れといった共通した傾向があると考えられています。多くは成長とともに自然に落ち着いていく反応です。
- 夜驚症は深いノンレム睡眠から起こる、幼児期に多い睡眠中の反応です
- なりやすい子には睡眠不足や強い興奮・緊張、家族歴などの傾向がみられます
- おおむね3〜7歳ごろに多く、思春期までに落ち着くことが多いとされています
- 発作中は無理に起こさず、安全を確保して静かに見守ることが大切です
- 週に何度も続く、長い、8〜10歳以降も続くときは医師に相談すると安心です
お子さんの夜驚症が気になるときや、夜間・休日で受診を迷うときは、小児科オンライン診療「あんよ」を活用して相談してみるのもひとつの方法です。
最終的な判断は医師に相談してくださいね。

